女剣士の道は険しい?

星野 夜空

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本編

剣舞祭(前日.2)

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 はたして、私の手にはハンカチと当て布がしっかりとついた物があった。素材が違うから違和感のある仕上がりになってるけど、軽く引っ張っても揉みくちゃにしてもばらける様子はない。くっついていると見て大丈夫かな、これは。

「出来てる、いける! 急ごう、もう時間がない!」

 そう、本番は明日とはいえ、今日は最初から最後まで、失敗してもそのまま続く通しが行われる。午前中は会場作り、午後は出来上がったそこで動く幅の確認をした後すぐに始まる予定だ。
 その通しは、一回しかやらない。しかも今日の練習は、衣装が破けた場合を考えてそれしかない。今日やらなければ明日そのまま本番を迎えるというわけだ。
 間合いが把握できないことは、当日、もしかしたら取り返しのつかない怪我を招くかもしれない。その恐怖は、武器を使用する人なら分かることだと思う。
 だから私含め、皆焦ってる。午後の練習開始まで、お昼の時間をいれても二時間あるかないかだ。それまでにこれが直らなければ、最悪さっきも話していたように辞退も視野に入れないといけない。
 治癒適性がない人は次々と当て布を作り、ある人はできる範囲の物を直していく。大きく切られた箇所はマリにしか直せないのが歯がゆいけど、そう多くないのが幸いして、体力の面では不安にならない。魔力切れしたらどうしようと思うけど、始まったばかりの今はまだまだいけそうだ。

「……それにしても、一体誰がこんなこと……」

 誰かがぽつりと呟いたそれには、悔しさと怒りが入っているように感じた。他人のために怒れる人なのかと思ってると、その人に悔しくないのかと聞かれた。
 悔しくないと言ったら、それは嘘になると分かるほど私も悔しい。だからと言って怒りがあるのかと問われると、それはそれでまた別なことなのかないんだよね。
 どう説明したら良いか分からず、黙っていると周りが話し始めた。

「ラナさんは努力してる。頑張ってるよ。それを馬鹿にされたのって、辛くない?」
「俺達が真面目にやってない時もちゃんとやっててさ。思い出したら今でも恥ずかしいくらいだ」
「分かる分かる。そう思ったら負けたくないって思ってさ、気がついたらちゃんとやろうって決めたんだよ」
「私としては剣に心得がある女の子って、中々いないでしょ? クラスも系統も違うから、これに参加すればいるかなって思って参加したんだよね。不純な動機だけど、だからやりきるって最初から決めてた!」
「あー、大丈夫それ私もだから。話しかける機会探ってたら、ここまできちゃったよ」

 何と、私の周りにいた人は先生がいることを知っていたからじゃなく、私自身の様子からやる気になっていたようだ。それも少数の女の子二人は、私目的で演舞役を買って出たという。
 全く予想外の言葉に目をパチクリさせてると、マリとアランが笑っているのが見えて顔が熱くなる。なんだかんだで二人が一緒にいるから気にしないようにしてるけど、クラスでの扱いが微妙だから、学園で好意的な態度や言動は二人以外受けたことがない。
 うん、その、恥ずかしい。照れる。誰か助けてください。
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