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本編
剣舞祭(前日.3)
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タイミング良く、小道具に関する買い出しをしていた先生が保健室の先生も連れて戻ってきた。治癒のエキスパートだから来るのは分かるんだけど、何か、おおごとになっているような。
「事情は聞いたわ。それで、出来たの?」
証拠代わりに歪になったハンカチを見せると目を丸くした。それもすぐに直って、急いでマリと交代する。そろそろ魔力切れする気配があったから、正直心強い助っ人にホッとした。
マリもそれを分かっているのか、先生が買ってきてくれた魔力供給のための、ゼリーのような補助食品を口にしてる。悪くなりかけていた顔色が戻って一安心だ。
「それにしても、修復魔法なんてよく思いついたわね。今まで誰も思い浮かばなかったわよ」
「え、と。その、あれば良いなと昔から思っていたんです。修繕屋で直らなかった物が、魔法でどうにかできれば良いのにと」
「そういうことね。でも、理論上は可能だとして詠唱の組み合わせはどうやって考えついたの?」
「ラナからお話を聞いた時思ったんです。人に対して使用する詠唱は内側から外側へ作用するもの、それなら、逆にしてみれば上手くいくのではないかと思いまして」
私とマリで交互に話したことは、十分納得のいくものだったらしい。笑顔で友情の力ねと言われた時は気恥ずかしかったけど。
材料も時間も、このままいけばギリギリ間に合いそう。お昼の時間にもさしかかってきてるけど、何とかなりそうだ。
だから皆にお昼を食べにいくことと、当初の目的である衣装運びをお願いする。ここまできたら最後までする! って言われた時は嬉しかったけど、そういう訳にもいかないのは全員分かってる。
すぐに終わらせて戻ると言って、駆けていった。
「しかし、一体誰がこんなことをしたんだろうね? 倉庫には鍵がかかってるんだから、先生に許可を得ないと入れないのに」
不思議だ、と首をかしげるアランの言葉は、先生達も同じことを考えていたみたいで、ここに来る前に確認してきたという。
結果は誰もいなかったらしい。内緒で持ち運ぶことが出来るような場所にも置いてないとのこと。そうなると先生の中から犯人がいるかもしれない、と言われてしまった。
それだけはないと信じたい、と空気が重くなりそうな瞬間、直ったという言葉に霧散した。保健室の先生、空気読むの何気にうまい。
「サイズ確認もするんでしょ? そろそろ練習時間にもなるし、着替えたら?」
「あ、はい。じゃあ更衣室で」
「着替えた服をまたボロボロにされるかもしれないから、良かったら使う?」
「へ?」
というわけで保健室で着替える事になりました。服も預かってくれるとか、何この手厚さ。後が怖い。
衣装は薄い絹のようなもので作られた袴に似てるから、一人で着れなくもない。あくまでぽいってだけだし、学生が一人で着るってこともあって凄い楽。
「わあ……! 綺麗ですね、まるで物語に出てくる女神様のようです!」
「うん、本当。大昔にいたとされる戦女神みたいだ」
「二人とも、大げさだよ」
悪い気はしないけどもね。褒められ慣れてないからむず痒い。
時間も時間なので会場へ向かっている時気づいた。お昼、買い忘れた……。
「事情は聞いたわ。それで、出来たの?」
証拠代わりに歪になったハンカチを見せると目を丸くした。それもすぐに直って、急いでマリと交代する。そろそろ魔力切れする気配があったから、正直心強い助っ人にホッとした。
マリもそれを分かっているのか、先生が買ってきてくれた魔力供給のための、ゼリーのような補助食品を口にしてる。悪くなりかけていた顔色が戻って一安心だ。
「それにしても、修復魔法なんてよく思いついたわね。今まで誰も思い浮かばなかったわよ」
「え、と。その、あれば良いなと昔から思っていたんです。修繕屋で直らなかった物が、魔法でどうにかできれば良いのにと」
「そういうことね。でも、理論上は可能だとして詠唱の組み合わせはどうやって考えついたの?」
「ラナからお話を聞いた時思ったんです。人に対して使用する詠唱は内側から外側へ作用するもの、それなら、逆にしてみれば上手くいくのではないかと思いまして」
私とマリで交互に話したことは、十分納得のいくものだったらしい。笑顔で友情の力ねと言われた時は気恥ずかしかったけど。
材料も時間も、このままいけばギリギリ間に合いそう。お昼の時間にもさしかかってきてるけど、何とかなりそうだ。
だから皆にお昼を食べにいくことと、当初の目的である衣装運びをお願いする。ここまできたら最後までする! って言われた時は嬉しかったけど、そういう訳にもいかないのは全員分かってる。
すぐに終わらせて戻ると言って、駆けていった。
「しかし、一体誰がこんなことをしたんだろうね? 倉庫には鍵がかかってるんだから、先生に許可を得ないと入れないのに」
不思議だ、と首をかしげるアランの言葉は、先生達も同じことを考えていたみたいで、ここに来る前に確認してきたという。
結果は誰もいなかったらしい。内緒で持ち運ぶことが出来るような場所にも置いてないとのこと。そうなると先生の中から犯人がいるかもしれない、と言われてしまった。
それだけはないと信じたい、と空気が重くなりそうな瞬間、直ったという言葉に霧散した。保健室の先生、空気読むの何気にうまい。
「サイズ確認もするんでしょ? そろそろ練習時間にもなるし、着替えたら?」
「あ、はい。じゃあ更衣室で」
「着替えた服をまたボロボロにされるかもしれないから、良かったら使う?」
「へ?」
というわけで保健室で着替える事になりました。服も預かってくれるとか、何この手厚さ。後が怖い。
衣装は薄い絹のようなもので作られた袴に似てるから、一人で着れなくもない。あくまでぽいってだけだし、学生が一人で着るってこともあって凄い楽。
「わあ……! 綺麗ですね、まるで物語に出てくる女神様のようです!」
「うん、本当。大昔にいたとされる戦女神みたいだ」
「二人とも、大げさだよ」
悪い気はしないけどもね。褒められ慣れてないからむず痒い。
時間も時間なので会場へ向かっている時気づいた。お昼、買い忘れた……。
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