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本編
予想外れました
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翌日、最初は馬で帰ろうと思ったけど連れがいるからということで馬車で帰ることにした。乗合だから時間がかかる代わりに安い。王都を出る直前で送った手紙が着く時間稼ぎにもなるし、悪いことじゃないよね、うん。
マリはというと、王都の外へ出たことがないどころか家関連と学園しか知らないとのことで、こうした街の外が珍しいらしい。事あるごとにあれは何だこれは何だと聞いてきた。
目を輝かせて、頰を紅潮させて聞いてくるものだからこっちも丁寧に教えてしまう。一緒に乗った人も微笑ましいという顔で見てくるからありがたい。時折私が分からないことや付け加えてもらうこともあって、予想してたより楽しく故郷へ帰れそうだった。
流石に一日で帰ることは無理だったから宿を取らざるを得ない、という時に問題が発生したくらいだ。その問題もどういう宿が良いか、私一人が悶々としただけだけど。
結局、汗を流したい理由から、それと折半したらそう高くもないことからほんの少しだけ良い宿に泊まることにした。女の子だけの旅は何があるか分からないから、というアランの事前アドバイスも思い出したからっていうのもあるかな。私一人ならともかく、マリに何かあったら自分が許せなくなる。
そして今、部屋でゆっくり寛いでるというとこだ。長い間乗ってるだけとはいえ、揺れが激しいものに乗ってたから体中が固くなってる気がする。
でもマリからすると、移動しただけでも大冒険だったらしい。お互い水浴びをしてさっぱりした後、どうだったか聞くと楽しい! と満面の笑みで伝えてきた。
「本当にありがとうございます。急な話で断られることを覚悟で聞いたので」
「いや、うん、それは良いんだけどね。ああいう根回しが必要なくらい、親がそんな、厳しい人なの?」
ああ、と何か合点がいったように頷き、苦笑しながら今更ですが、と事情を説明してくれた。私自身どう聞いたものかと悩んでいたから、話してもらえることに内心ホッとする。
私の予想が外れて安心した反面、また別の問題があったようで少し頭を悩ましたのは内緒だ。
「学園で身分における会話は、例え家族のことでも禁止されていますよね? だから話しづらかったのですが」
「そこはまあ、しょうがないかなって分かってるけど。不穏な感じだったからちょっと心配でさ」
「そんな、深刻さのある話ではありませんよ。はたから見れば贅沢な話となりますでしょうし」
淡く笑いながら話す彼女の両親は、言ってしまえば過保護だった。溺愛とも言われるほどその愛を受け止めていた彼女は、だからこそ、その「愛」に疲れてしまったのだという。
自分が危険なことをしても、自身を叱らずにその周りの子を責め、体力のないことを気にして相談すればそのままで良いと言われた。それじゃ駄目なんだと言っても何故だと取り合ってくれない。
何というか、どこの世界であってもそういう話ってあるもんなんだね。これはこれで虐待だと言われて良いはずなのに、目に見える傷がないから誰にも分からないものなんだろうな。
「私が適性の儀を受けた時もそうでした。両親は国の奴隷になどさせたくないと、わざと普通の魔力持ちである子どもの平均値を申告しようとしたそうです。魔力持ちであったら家庭教師になる先生も同席していたので、ことなきを得ましたが」
「……奴隷は言い得て妙だけど、それが犯罪行為だって分かってやるなら……」
「ええ。先生には感謝しても仕切れないです」
そして話は、アランへの頼みごとについてに変わった。どうも貴族でも上下関係はあるらしく、マリとアランの家でいえばアランの方が上らしい。その事を利用して今回この旅というか、旅行というか、家出? を実行したとのこと。
代わりにアランの誕生日パーティはいけないかもしれない、と寂しそうな笑みになったのに、自分のことじゃないのに胸がずきりと痛んだ。
マリはというと、王都の外へ出たことがないどころか家関連と学園しか知らないとのことで、こうした街の外が珍しいらしい。事あるごとにあれは何だこれは何だと聞いてきた。
目を輝かせて、頰を紅潮させて聞いてくるものだからこっちも丁寧に教えてしまう。一緒に乗った人も微笑ましいという顔で見てくるからありがたい。時折私が分からないことや付け加えてもらうこともあって、予想してたより楽しく故郷へ帰れそうだった。
流石に一日で帰ることは無理だったから宿を取らざるを得ない、という時に問題が発生したくらいだ。その問題もどういう宿が良いか、私一人が悶々としただけだけど。
結局、汗を流したい理由から、それと折半したらそう高くもないことからほんの少しだけ良い宿に泊まることにした。女の子だけの旅は何があるか分からないから、というアランの事前アドバイスも思い出したからっていうのもあるかな。私一人ならともかく、マリに何かあったら自分が許せなくなる。
そして今、部屋でゆっくり寛いでるというとこだ。長い間乗ってるだけとはいえ、揺れが激しいものに乗ってたから体中が固くなってる気がする。
でもマリからすると、移動しただけでも大冒険だったらしい。お互い水浴びをしてさっぱりした後、どうだったか聞くと楽しい! と満面の笑みで伝えてきた。
「本当にありがとうございます。急な話で断られることを覚悟で聞いたので」
「いや、うん、それは良いんだけどね。ああいう根回しが必要なくらい、親がそんな、厳しい人なの?」
ああ、と何か合点がいったように頷き、苦笑しながら今更ですが、と事情を説明してくれた。私自身どう聞いたものかと悩んでいたから、話してもらえることに内心ホッとする。
私の予想が外れて安心した反面、また別の問題があったようで少し頭を悩ましたのは内緒だ。
「学園で身分における会話は、例え家族のことでも禁止されていますよね? だから話しづらかったのですが」
「そこはまあ、しょうがないかなって分かってるけど。不穏な感じだったからちょっと心配でさ」
「そんな、深刻さのある話ではありませんよ。はたから見れば贅沢な話となりますでしょうし」
淡く笑いながら話す彼女の両親は、言ってしまえば過保護だった。溺愛とも言われるほどその愛を受け止めていた彼女は、だからこそ、その「愛」に疲れてしまったのだという。
自分が危険なことをしても、自身を叱らずにその周りの子を責め、体力のないことを気にして相談すればそのままで良いと言われた。それじゃ駄目なんだと言っても何故だと取り合ってくれない。
何というか、どこの世界であってもそういう話ってあるもんなんだね。これはこれで虐待だと言われて良いはずなのに、目に見える傷がないから誰にも分からないものなんだろうな。
「私が適性の儀を受けた時もそうでした。両親は国の奴隷になどさせたくないと、わざと普通の魔力持ちである子どもの平均値を申告しようとしたそうです。魔力持ちであったら家庭教師になる先生も同席していたので、ことなきを得ましたが」
「……奴隷は言い得て妙だけど、それが犯罪行為だって分かってやるなら……」
「ええ。先生には感謝しても仕切れないです」
そして話は、アランへの頼みごとについてに変わった。どうも貴族でも上下関係はあるらしく、マリとアランの家でいえばアランの方が上らしい。その事を利用して今回この旅というか、旅行というか、家出? を実行したとのこと。
代わりにアランの誕生日パーティはいけないかもしれない、と寂しそうな笑みになったのに、自分のことじゃないのに胸がずきりと痛んだ。
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