34 / 81
本編
パーティのお話
しおりを挟む
彼女達が会場に着いたという知らせはすぐに耳に入った。堂々としているけど不安そうに周りを見るラナを、苦笑しながら見ているマリを見て、無事に来れたことにまず安堵した。
ラナは、勉強がさして秀でているわけじゃないけど、人の行動や言動に鋭い上に敏感すぎるほど反応することがある。だからか、マリの口調から僕ら二人の素性も察したらしい。今日のパーティを是非と誘ったのに断ったのもいい例だ。
うちは元が成り上がりの家系だから身分なんて気にしてる家風なんてない。そもそも学校が学校だし、将来が将来なんだから気にしていたらやってらんないけど。そんなだからパーティの準備やらなんやら、こっちがやるつもりだったのに。
挙句マリがラナの家に行くことによって、マリ自体このパーティに来づらくなった。まあ、親から離れるってことに僕は大賛成だから良いんだけど、ここまできたら学園から退学なんてないと思うけど、帰ったら束縛強くなるだろうから後期の学校生活が若干心配だ。
本当彼女の親、どうにかしないと。
そう思いながら二人へ話しかけると、視界の端に見慣れた、そして昔から忌々しく思う人間がきた。
色々マリへ向けて話しかける彼女の親は、本人が見たくないとでも言うように顔を下へ向けたことにすら気づかない。僕を、本来なら今日の主役であり、無礼講とはいえ蔑ろにするような発言を控えるべきなのに気にせず言う様にもイラっときた。
だから多少の嫌味を込めて注意したのに、相変わらずの様子で聞く気がないらしい。自分達はマリに対して正しいことをしているとか抜かした時には、やっちゃいけないことだと分かっていても攻撃魔法を入れてやりたくなった。
「ねえマリ。あんな風に貴方のことをお人形としか思えない親、何ていうか知ってる? 私の地域ではね、毒親っていうんだよ」
その時聞こえたラナの声は、いつも聞く声音じゃなかった。驚いて彼女を見ると、無表情という言葉が合うかのようだ。
その目にすら、今何を思っているのか分からないくらい無だった。
「な、な、何を申すのですか貴方は! 侮辱も良いとこですよ!」
「侮辱? それはお二方の方でしょう。マリの顔を見ているようで見ていない。さっきから顔をあげようとしない彼女を不安にすら思わない。心配すらしない。彼女の気持ちを尊重しない。それでマリのことを考えている? 戯言にもならないですね」
ハッとしたかのようにマリをきちんと見た二人は、次いで顔を青ざめた。今更か、と笑いたくなる。
散々僕が言ってきたことをようやく理解したらしい。改めて声をかけようと一歩踏み出そうとしたが、ラナはそれをさせるつもりはないらしい。
前に出ることによって、自分の後ろにその小柄な人を隠した。
「今の今まで、貴方方は何を見ていたのでしょうね? 可憐で美しい彼女を鳥籠に閉じ込めて愛でて、飼い殺す気でいたのですかね? その心を労わることをせずに」
そこまで言って、出過ぎた真似をしてしまい申し訳無いと謝る彼女は、正直言って好ましい。場の雰囲気を壊したと感じられるほどの人間なんて、貴族でも早々いない。まして僕らくらいの年頃は、当主教育を受けた人にしか分からないだろうに。
まあ、周りがさっきの夫人の声で談笑を止めてこっちを見始めたからっていうのもあるだろうけどね。
「ラナ、マリは疲れてるみたいだ。今から帰るのは危ないから、客間に行って休んできたら? 案内させるよ」
「……そうね。マリ、それで良い?」
返事の代わりに頷いた彼女を、侍女と共に気遣いながらここから出ていく。その際僕の方を見た、のは間違いじゃないだろう。
この場を収める続きを任された僕は、今度は怒りを隠しもせずに二人へ向き合った。
最愛の者を傷つける人は、例え両親だとしても赦さないから。
ラナは、勉強がさして秀でているわけじゃないけど、人の行動や言動に鋭い上に敏感すぎるほど反応することがある。だからか、マリの口調から僕ら二人の素性も察したらしい。今日のパーティを是非と誘ったのに断ったのもいい例だ。
うちは元が成り上がりの家系だから身分なんて気にしてる家風なんてない。そもそも学校が学校だし、将来が将来なんだから気にしていたらやってらんないけど。そんなだからパーティの準備やらなんやら、こっちがやるつもりだったのに。
挙句マリがラナの家に行くことによって、マリ自体このパーティに来づらくなった。まあ、親から離れるってことに僕は大賛成だから良いんだけど、ここまできたら学園から退学なんてないと思うけど、帰ったら束縛強くなるだろうから後期の学校生活が若干心配だ。
本当彼女の親、どうにかしないと。
そう思いながら二人へ話しかけると、視界の端に見慣れた、そして昔から忌々しく思う人間がきた。
色々マリへ向けて話しかける彼女の親は、本人が見たくないとでも言うように顔を下へ向けたことにすら気づかない。僕を、本来なら今日の主役であり、無礼講とはいえ蔑ろにするような発言を控えるべきなのに気にせず言う様にもイラっときた。
だから多少の嫌味を込めて注意したのに、相変わらずの様子で聞く気がないらしい。自分達はマリに対して正しいことをしているとか抜かした時には、やっちゃいけないことだと分かっていても攻撃魔法を入れてやりたくなった。
「ねえマリ。あんな風に貴方のことをお人形としか思えない親、何ていうか知ってる? 私の地域ではね、毒親っていうんだよ」
その時聞こえたラナの声は、いつも聞く声音じゃなかった。驚いて彼女を見ると、無表情という言葉が合うかのようだ。
その目にすら、今何を思っているのか分からないくらい無だった。
「な、な、何を申すのですか貴方は! 侮辱も良いとこですよ!」
「侮辱? それはお二方の方でしょう。マリの顔を見ているようで見ていない。さっきから顔をあげようとしない彼女を不安にすら思わない。心配すらしない。彼女の気持ちを尊重しない。それでマリのことを考えている? 戯言にもならないですね」
ハッとしたかのようにマリをきちんと見た二人は、次いで顔を青ざめた。今更か、と笑いたくなる。
散々僕が言ってきたことをようやく理解したらしい。改めて声をかけようと一歩踏み出そうとしたが、ラナはそれをさせるつもりはないらしい。
前に出ることによって、自分の後ろにその小柄な人を隠した。
「今の今まで、貴方方は何を見ていたのでしょうね? 可憐で美しい彼女を鳥籠に閉じ込めて愛でて、飼い殺す気でいたのですかね? その心を労わることをせずに」
そこまで言って、出過ぎた真似をしてしまい申し訳無いと謝る彼女は、正直言って好ましい。場の雰囲気を壊したと感じられるほどの人間なんて、貴族でも早々いない。まして僕らくらいの年頃は、当主教育を受けた人にしか分からないだろうに。
まあ、周りがさっきの夫人の声で談笑を止めてこっちを見始めたからっていうのもあるだろうけどね。
「ラナ、マリは疲れてるみたいだ。今から帰るのは危ないから、客間に行って休んできたら? 案内させるよ」
「……そうね。マリ、それで良い?」
返事の代わりに頷いた彼女を、侍女と共に気遣いながらここから出ていく。その際僕の方を見た、のは間違いじゃないだろう。
この場を収める続きを任された僕は、今度は怒りを隠しもせずに二人へ向き合った。
最愛の者を傷つける人は、例え両親だとしても赦さないから。
0
あなたにおすすめの小説
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
【完結】モブなのに最強?
らんか
恋愛
「ミーシャ・ラバンティ辺境伯令嬢! お前との婚約は破棄とする! お前のようなオトコ女とは結婚出来ない!」
婚約者のダラオがか弱そうな令嬢を左腕で抱き寄せ、「リセラ、怯えなくていい。私が君を守るからね」と慈しむように見つめたあと、ミーシャを睨みながら学園の大勢の生徒が休憩している広い中央テラスの中で叫んだ。
政略結婚として学園卒業と同時に結婚する予定であった婚約者の暴挙に思わず「はぁ‥」と令嬢らしからぬ返事をしてしまったが、同時に〈あ、これオープニングだ〉と頭にその言葉が浮かんだ。そして流れるように前世の自分は日本という国で、30代の会社勤め、ワーカーホリックで過労死した事を思い出した。そしてここは、私を心配した妹に気分転換に勧められて始めた唯一の乙女ゲームの世界であり、自分はオープニングにだけ登場するモブ令嬢であったとなぜか理解した。
(急に思い出したのに、こんな落ち着いてる自分にびっくりだわ。しかもこの状況でも、あんまりショックじゃない。私、この人の事をあまり好きじゃなかったのね。まぁ、いっか。前世でも結婚願望なかったし。領地に戻ったらお父様に泣きついて、領地の隅にでも住まわせてもらおう。魔物討伐に人手がいるから、手伝いながらひっそりと暮らしていけるよね)
もともと辺境伯領にて家族と共に魔物討伐に明け暮れてたミーシャ。男勝りでか弱さとは無縁だ。前世の記憶が戻った今、ダラオの宣言はありがたい。前世ではなかった魔法を使い、好きに生きてみたいミーシャに、乙女ゲームの登場人物たちがなぜかその後も絡んでくるようになり‥。
(私、オープニングで婚約破棄されるだけのモブなのに!)
初めての投稿です。
よろしくお願いします。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
この野菜は悪役令嬢がつくりました!
真鳥カノ
ファンタジー
幼い頃から聖女候補として育った公爵令嬢レティシアは、婚約者である王子から突然、婚約破棄を宣言される。
花や植物に『恵み』を与えるはずの聖女なのに、何故か花を枯らしてしまったレティシアは「偽聖女」とまで呼ばれ、どん底に落ちる。
だけどレティシアの力には秘密があって……?
せっかくだからのんびり花や野菜でも育てようとするレティシアは、どこでもやらかす……!
レティシアの力を巡って動き出す陰謀……?
色々起こっているけれど、私は今日も野菜を作ったり食べたり忙しい!
毎日2〜3回更新予定
だいたい6時30分、昼12時頃、18時頃のどこかで更新します!
叶えられた前世の願い
レクフル
ファンタジー
「私が貴女を愛することはない」初めて会った日にリュシアンにそう告げられたシオン。生まれる前からの婚約者であるリュシアンは、前世で支え合うようにして共に生きた人だった。しかしシオンは悪女と名高く、しかもリュシアンが憎む相手の娘として生まれ変わってしまったのだ。想う人を守る為に強くなったリュシアン。想う人を守る為に自らが代わりとなる事を望んだシオン。前世の願いは叶ったのに、思うようにいかない二人の想いはーーー
伯爵令嬢アンマリアのダイエット大作戦
未羊
ファンタジー
気が付くとまん丸と太った少女だった?!
痩せたいのに食事を制限しても運動をしても太っていってしまう。
一体私が何をしたというのよーっ!
驚愕の異世界転生、始まり始まり。
「わざわざ始まるまでまたないで、今のうちに手を打ったってよくない?」
イチイ アキラ
恋愛
アスター公爵令嬢エステルは、夢をみる。それは先を映す夢。
ある日、夢をみた。
この国の未来を。
それをアルフレッド王太子に相談する。彼女を愛して止まない婚約者に。
彼は言う。
愛する君とぼくの国のためなら、未来を変えるのも仕方なくない?
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる