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本編
事の顛末は予想だに
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重苦しくなりそうな空間を支配し始めようとした頃、ぽつりと心の漏れというようにアランは呟いた。私もそれには大いに同意したくて、うんうんと首を縦に振る。
家へ帰省する途中で聞いていたとはいえ、流石にあれはどうかと感じた。元の世界だとああいう、モンスターペアレンツがいるにはいるけど、あくまで教育上よろしくないのでは、という過剰反応みたいなもの、だったような気がする。交友関係にまで口出しする人もいるらしいけど、詳しいわけでもないから分からない。
それよりマリの両親が厄介なのって、大抵それがまかり通る立場やお金がある、つまりマリを囲う庭が作れてしまうことにあるんじゃないかな。学園は国所有の扱いになるからそれが無理ってことで入れたくなかったんだろうし。
そう考えたらマリが魔力を平均以上に持っていたことは幸いだったのかもしれない。鳥籠の外へ出ることが出来る機会が生まれたんだから。
「だから、もしマリさえ良かったらなんだけど、後期からの学校生活は寮暮らしにしてみないかい?」
評判が良くて大体の人が寮にいるから忘れがちだけど、寮暮らし自体は強制じゃない。王都に住んでる生徒の中には通ってる人だっている。マリもその一人だったけど、今回の出来事を垣間見るにアランの提案は悪くないものだと思うし、その方がお互いの為になるんじゃないかって感じた。寮だって新しく出来たし、部屋はまだ完全に埋まってなかったから問題もないはず。
私個人としては、友達がいるとこれからの寮生活が楽しいから嬉しい。本人が嫌じゃなければ、だけどね。
「……両親が許してくれるのであれば、私はその方が助かります。どんな顔をして今後会って、話せば良いか分からないんです」
「それに関しては誓約書を書かせた。即席だったけど、僕と彼ら二人、後で僕の両親にもサインをしてもらおうと思ってるから効力は十分あるはずだよ」
「誓約書? 何の?」
疑問が口に出てしまったけど、それよりも先に紙がテーブルの上にそっと置かれていた。多分、今話していた誓約書だろう。
当たり前のようにそれを広げて見せてくれるアランに、有能すぎる侍従がいるって凄いなと訳もなくそう思ってしまった。
「要約すると、僕もしくは僕の親の許可なしにマリに会うこと、話すことを禁じる内容さ。手紙のやり取りは良いけど、面会したいとなったら仲介人を通せってことだね。たまに様子を見て、許可の有無をどうするか判断することもあるけど。マリが二人に会いたいという時は許可なしでも会えるよ」
つまりマリ側が会いたい時は会えるけど、親側は他者の確認が必要、と。うーん、それだと脅されるとかはないのかな。あの二人ならマリへ手紙という名目でそういうことしてきそうだけど。
アランもその辺りは心配なのだろう、もし手紙が来たら脅迫の内容でないか、一度見せてほしいと頼んでる。もし脅迫だった場合、内容がどうあれ破り捨てるとも。
複雑そうな顔をして、マリは了承した。
「……でも待って。これって本当は国の役人がすべきこと、だよね? やっちゃって大丈夫なの?」
「うん、それなんだよね。血縁関係がないから口出し無用と言われてしまう可能性もある。今は反省してるから大人しいけど、そうじゃなくなった時、しかるべき所へ持ち込まれたら意味がなくなるかもしれない」
そのまま役人の仕事へ引き継がれたなら言うことなしだけど、そうならない可能性だってある訳だ。それが心配だと頭を悩ませてる、とのこと。ツテがない訳じゃないけど、学園を卒業した後がよろしくないことになりそうだからそれは最後の手段にしたい、とも。
二人してうんうん唸っていると、不意にマリが笑った。
「アラン、お忘れですか? それが解決する関係がありますでしょう?」
「え? ……いや、まあ、そうだけど。あれって確定になったら、だよ?」
「私は構いませんよ?」
いきなり呻き始めるアランとにこりと笑うマリを交互に見て、どういうことか分からず頭が混乱する。誰か説明して。
「そういえば、ラナに話してませんでしたね。私達、仮ですが婚約者なのですよ」
だからそれを正式に結べば将来身内となる者のこと。口出しも出来る。説明された内容に目が飛び出るかと思った。
「ほ、本当なのそれ?」
「嘘偽りなく。ですから何も問題などないのですよ」
家へ帰省する途中で聞いていたとはいえ、流石にあれはどうかと感じた。元の世界だとああいう、モンスターペアレンツがいるにはいるけど、あくまで教育上よろしくないのでは、という過剰反応みたいなもの、だったような気がする。交友関係にまで口出しする人もいるらしいけど、詳しいわけでもないから分からない。
それよりマリの両親が厄介なのって、大抵それがまかり通る立場やお金がある、つまりマリを囲う庭が作れてしまうことにあるんじゃないかな。学園は国所有の扱いになるからそれが無理ってことで入れたくなかったんだろうし。
そう考えたらマリが魔力を平均以上に持っていたことは幸いだったのかもしれない。鳥籠の外へ出ることが出来る機会が生まれたんだから。
「だから、もしマリさえ良かったらなんだけど、後期からの学校生活は寮暮らしにしてみないかい?」
評判が良くて大体の人が寮にいるから忘れがちだけど、寮暮らし自体は強制じゃない。王都に住んでる生徒の中には通ってる人だっている。マリもその一人だったけど、今回の出来事を垣間見るにアランの提案は悪くないものだと思うし、その方がお互いの為になるんじゃないかって感じた。寮だって新しく出来たし、部屋はまだ完全に埋まってなかったから問題もないはず。
私個人としては、友達がいるとこれからの寮生活が楽しいから嬉しい。本人が嫌じゃなければ、だけどね。
「……両親が許してくれるのであれば、私はその方が助かります。どんな顔をして今後会って、話せば良いか分からないんです」
「それに関しては誓約書を書かせた。即席だったけど、僕と彼ら二人、後で僕の両親にもサインをしてもらおうと思ってるから効力は十分あるはずだよ」
「誓約書? 何の?」
疑問が口に出てしまったけど、それよりも先に紙がテーブルの上にそっと置かれていた。多分、今話していた誓約書だろう。
当たり前のようにそれを広げて見せてくれるアランに、有能すぎる侍従がいるって凄いなと訳もなくそう思ってしまった。
「要約すると、僕もしくは僕の親の許可なしにマリに会うこと、話すことを禁じる内容さ。手紙のやり取りは良いけど、面会したいとなったら仲介人を通せってことだね。たまに様子を見て、許可の有無をどうするか判断することもあるけど。マリが二人に会いたいという時は許可なしでも会えるよ」
つまりマリ側が会いたい時は会えるけど、親側は他者の確認が必要、と。うーん、それだと脅されるとかはないのかな。あの二人ならマリへ手紙という名目でそういうことしてきそうだけど。
アランもその辺りは心配なのだろう、もし手紙が来たら脅迫の内容でないか、一度見せてほしいと頼んでる。もし脅迫だった場合、内容がどうあれ破り捨てるとも。
複雑そうな顔をして、マリは了承した。
「……でも待って。これって本当は国の役人がすべきこと、だよね? やっちゃって大丈夫なの?」
「うん、それなんだよね。血縁関係がないから口出し無用と言われてしまう可能性もある。今は反省してるから大人しいけど、そうじゃなくなった時、しかるべき所へ持ち込まれたら意味がなくなるかもしれない」
そのまま役人の仕事へ引き継がれたなら言うことなしだけど、そうならない可能性だってある訳だ。それが心配だと頭を悩ませてる、とのこと。ツテがない訳じゃないけど、学園を卒業した後がよろしくないことになりそうだからそれは最後の手段にしたい、とも。
二人してうんうん唸っていると、不意にマリが笑った。
「アラン、お忘れですか? それが解決する関係がありますでしょう?」
「え? ……いや、まあ、そうだけど。あれって確定になったら、だよ?」
「私は構いませんよ?」
いきなり呻き始めるアランとにこりと笑うマリを交互に見て、どういうことか分からず頭が混乱する。誰か説明して。
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