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本編
なんだ、あいつか
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その時、ふと思ったことがあってリンに質問してみることにした。
「ねえ、今まで家督を攻撃系統を受け継ぐのが必須だったのよね? そして女性がなれない理由としては、防御と治癒しか適性がないとされてるから、であってる?」
「ええ、そうよ」
「もしよ、もし男児しか生まれなくて、攻撃適性がなかったらどうしてたの?」
「……今まで、幸いそういったことがなかったの。必須内容が内容だから、年功序列制度じゃないのも理由の一つにあるわ」
ということは長兄に適性がなくて、次兄にあった場合は次兄が家督を継いだこともあるのか。その辺が柔軟な家なら、女性が継いでも問題なさそうだけど。
「ちなみに、リンは家督を継ぎたいの?」
「継げるならそうしたいわよ。何の教育も受けてないから、今からじゃとてもじゃないけど無理に等しいわ」
経済と経営って似て非なるものっていうからね。系統必須からして軍事か、それに値する何かを王宮で任されてる可能性もあるとすれば、家督を継ぐのを成人とみても二、三年しかない。その間に経済、経営、軍事関連、その他必要なものを学ぶとしたら寝る間も惜しんで学ぶ他なくなる。文字通りスパルタ教育ものだ。これはやる方もしんどい。
やりながら学べばいいと言えたら良かったのかもしれないけど、もし失敗したら割を食うのは私達庶民にあたる人間だ。対抗策を同時に考えながら行うなんてベテランの域だろうに、学び始めた素人にしろというのは、ね。
うーん。制度をどうにかしても、本人へ何もしてないなら意味はないか。詰め込みすぎて体調崩した、なんてことは避けたい。
「というかさ、家の心配するってことは将来一緒になる人とかいるの?」
「一応ね。婚約者がいるわ。この学園にも通ってるし、同じ系統だから聞いたことはあるんじゃない? ドーレっていうんだけど」
……ん? ドーレ?
「ねえ、それ本当?」
「嘘ついてどうするのよ」
でーすよねー。意味ないことに嘘言っても仕方ないよねー。
てことは、何だ、何だ、なーんだ。リンのそれ、全部杞憂じゃん! うっわ、真面目に考えて疲れた! てか話聞いて何で分からなかったんだろ、私の馬鹿!!
「そしてちゃんと話してやりなさいよあんのヘタレ野郎!」
何か変な目で見られてる気がしないでもないけど叫ばずにはいられなかった。やっかみの原因ともいえる女性本人にそいつの真意が伝わってなくて、果てにはこの騒動と辞めるやら断罪やらの発言があって、実を言うと楽しみにしていた王学祭を味わえなくしてくれたあいつに怒りを抱くな、という方が無理だ。不可能だ。
男子寮で暮らしていた当初に絡んできたテンプレさん──ドーレの恋愛相談に私は度々乗っているのだから。
「ねえ、今まで家督を攻撃系統を受け継ぐのが必須だったのよね? そして女性がなれない理由としては、防御と治癒しか適性がないとされてるから、であってる?」
「ええ、そうよ」
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ということは長兄に適性がなくて、次兄にあった場合は次兄が家督を継いだこともあるのか。その辺が柔軟な家なら、女性が継いでも問題なさそうだけど。
「ちなみに、リンは家督を継ぎたいの?」
「継げるならそうしたいわよ。何の教育も受けてないから、今からじゃとてもじゃないけど無理に等しいわ」
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やりながら学べばいいと言えたら良かったのかもしれないけど、もし失敗したら割を食うのは私達庶民にあたる人間だ。対抗策を同時に考えながら行うなんてベテランの域だろうに、学び始めた素人にしろというのは、ね。
うーん。制度をどうにかしても、本人へ何もしてないなら意味はないか。詰め込みすぎて体調崩した、なんてことは避けたい。
「というかさ、家の心配するってことは将来一緒になる人とかいるの?」
「一応ね。婚約者がいるわ。この学園にも通ってるし、同じ系統だから聞いたことはあるんじゃない? ドーレっていうんだけど」
……ん? ドーレ?
「ねえ、それ本当?」
「嘘ついてどうするのよ」
でーすよねー。意味ないことに嘘言っても仕方ないよねー。
てことは、何だ、何だ、なーんだ。リンのそれ、全部杞憂じゃん! うっわ、真面目に考えて疲れた! てか話聞いて何で分からなかったんだろ、私の馬鹿!!
「そしてちゃんと話してやりなさいよあんのヘタレ野郎!」
何か変な目で見られてる気がしないでもないけど叫ばずにはいられなかった。やっかみの原因ともいえる女性本人にそいつの真意が伝わってなくて、果てにはこの騒動と辞めるやら断罪やらの発言があって、実を言うと楽しみにしていた王学祭を味わえなくしてくれたあいつに怒りを抱くな、という方が無理だ。不可能だ。
男子寮で暮らしていた当初に絡んできたテンプレさん──ドーレの恋愛相談に私は度々乗っているのだから。
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