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産まれてすぐのことは覚えていない。だけど、出会った天使が驚きと嫌悪を表していたのは覚えてる。
そうして少しだけ成長した、幼いときは毎日といっていいほど受けていた暴力。産んだ存在が誰か分からなかった為に学校にも行けず、路地裏で蹂躙される日々。
自分がどんな存在で、どうして暴力を振るわれているか、その頃には理解していた。けれどやはり、許容範囲は必ずといっていいほどある。
それは私も例外ではなかったらしく、ある日いつものように暴力を振るっていた者達を見かけた瞬間、体が勝手に動き逃げていた。見つかる前に逃げたから、追いかけられるようなことはなかったのが救いだった。
逃げ先は地界。死神や人間の魂、鬼はもちろん、堕天した天使、つまり堕天使もいる世界。様々な姿をした者がいるから、私のような存在でも浮くことはなかった。……傷だらけではあったから変な目で見られてはいたけど。
そして誰かが知らせたのだろう、地界を取り締まっている赤鬼が声をかけてきた。
「見たことないな……お前、天界の者か? どうして傷だらけなんだ? 名前は何て言う?」
「な、まえ?」
「そうだ、名前だ」
「……なまえって、なに?」
そうして少しだけ成長した、幼いときは毎日といっていいほど受けていた暴力。産んだ存在が誰か分からなかった為に学校にも行けず、路地裏で蹂躙される日々。
自分がどんな存在で、どうして暴力を振るわれているか、その頃には理解していた。けれどやはり、許容範囲は必ずといっていいほどある。
それは私も例外ではなかったらしく、ある日いつものように暴力を振るっていた者達を見かけた瞬間、体が勝手に動き逃げていた。見つかる前に逃げたから、追いかけられるようなことはなかったのが救いだった。
逃げ先は地界。死神や人間の魂、鬼はもちろん、堕天した天使、つまり堕天使もいる世界。様々な姿をした者がいるから、私のような存在でも浮くことはなかった。……傷だらけではあったから変な目で見られてはいたけど。
そして誰かが知らせたのだろう、地界を取り締まっている赤鬼が声をかけてきた。
「見たことないな……お前、天界の者か? どうして傷だらけなんだ? 名前は何て言う?」
「な、まえ?」
「そうだ、名前だ」
「……なまえって、なに?」
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