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1章 王国
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自分の力ではどうにもならない事、それを不条理という。
人間とは不思議なもので、いざ、それが自分の身に降り掛かると反応に困るのである。
──はぁ?
久留餅 鐙は素っ頓狂な声を挙げて腰をついた。
鉄筋コンクリートでガチガチに固められた都市国家、低家賃のボロアパート、六畳一間の一室、俺は確かにそこで寝ていた筈だ。
思いつく限りの最後の記憶というと……あぁ、うん……駄目だ、アイマスクつけてたから真っ暗だ。
酷く暗く、けど俺はやけに視界がはっきりとする部屋にいた。蛍火のような光の玉が辺りを舞っている。
そんな中を仏頂面で頬ずえをつきながらじっとこちらを見つめる中性的な容姿をした少年と正座で対峙する俺
「──で?」
「………で?…とは?」
少年は『はぁ…』と深く溜め息をついた。
「簡潔にまとめると君は死んだ。」
「……はぁ……?」
「はぁ……って君分かってる?命を落としたんだよ?」
「……誰が?」
「……君が。」
「……俺が?」
「そう、君が。」
「………はぁ?」
「ぶっ殺すよ、君。」
怖い
果たしてこれは夢なのでしょうか。良くある創作物で【死んだら変な空間にいた、まるで夢のようだ】という描写があるが、そんな感じだ。
空間は驚くほどリアルで巧妙で繊細に造られている。
作品通りに言うならば少年はさしずめ天使や神的なポジションなのだろうか。
しばらくの間、悩み項垂れる少年は「うん」と頷き、ポンッと腕を叩いた。
「───君、無双しない?」
「──イヤです勘弁してください」。
「───いや、聞けよ」。
うんざりする程のテンプレ展開、食い気味に断る。
「僕の名はジュピル一応神をやらせてもらっている。」
何を聞いても余り驚きがない、只々、一途にこう思った『だろうな』──と
「それでね、君には他の世界に転生してほしいんだ。」
「はぁ……こりゃまた何で?」
「君に行ってもらいたい世界ではね、人が良く死ぬのさ。魔術教団やら使徒教やらのせいで」。
「魔術だの教団だのを『リービッヒ冷却器』感覚で言うのやめてくんない?知らないからそれ。」
「最後まで聞けよボケ、話が止まるだろ?何だよ『リービッヒ冷却器』って」。
「す、すいません…」。
「話を戻すけど、そのせいで、僕の事後処理が本当に大変なんだよね。死人の希望聞いたり愚痴聞いたりと」。
──スナックのママか
「そんな事言ってもな……というかなんで俺なんだ?もっと好青年とか過去に秘密抱えてる奴とか沢山いるだろ?」。
「う~ん──人畜無害そうだから?」。
──は?
「いや、だってさキラッキラの好青年とかウケ悪いし、かと言って秘密抱えてる奴とか中盤でヒステリック起こして闇落ち&寝返りとかこっちの処理クソ面倒くさいじゃん?って事でホントに何も無さそうな君に声をかけた訳」。
事実だけどさ、言い方ってあるじゃん。俺だってさこんな年端もいかない容姿の子に『何も無い』なんて言われるなんて思わないじゃん。傷つくじゃん。
「り、理由は分かった、俺がこれを断ったらどうなる?」
「なんで泣きそうなの?うーん、君は地獄行きかなー。僕への『不敬罪』で」。。
──んな、理不尽な
「実質一択じゃねぇか、分かったよ、行きますよ、行けばいいんでしょ」。
「よろしい」。
ニマリとはにかんだジュピルは古臭い貼り紙を乱雑に広げた。中には、【妖刀ムラマサ】だの【神剣アスカロン】だの物騒な名前がつらつらと。
「この中から一つ選んで持って行って良いよ。」
あぁこれが俗に言う〈特典〉だの〈恩寵〉とか言う奴ですね。
正直どれがどうとか分からないしこんな物騒そうなもん振り回したくない。寧ろ寝て暮らしたい、可能なら養ってもらいたい。しばらくの間迷走しているとジュピルが動いた。
「しょうが無いなぁ、人間という生き物はね、物事を選ぶ時ある程度の事柄は既に選んであるんだ。僕が君の頭の中を覗いて最適な物を選んであげるよ。」
「ほう…そりゃ頼もしい、お願いするよ。」
「オーケー、えぇっと何々………『出生は新潟産まれの新潟育ち、母子家庭でお袋には散々迷惑を掛けてきた。そんなお袋に心配掛けない様な能力』………ねぇよ、重いわ」。
「いや……でも……ね……。」
「おい、やめろよその顔、向こうで親不孝系ノベル主人公がなんか気不味そうにこっちチラチラ見てんだよ、もういいよ、これで」。
ジュピルは一枚の紙をアブミの胸に突き出した。
「どういう能力だ?」。
「それは向こうについてからのお楽しみだ、そこの魔法陣に座って」。
アブミは言われた通りに腰を付いた。すると囲む様に文様が浮かび上がり光が包見始めると同時に眠りに付くように意識が遠退いていく。
「あ、そうだ、最後に君の死因聞いていくかい?」
「あ、そうだな、一応頼む。」
「寝返りをうって二段ベットを頭から落ちて死亡」。
「ニィトリィィィィィィ!!」。
こうして久留餅 鐙の第二の人生が始まったのだった。
人間とは不思議なもので、いざ、それが自分の身に降り掛かると反応に困るのである。
──はぁ?
久留餅 鐙は素っ頓狂な声を挙げて腰をついた。
鉄筋コンクリートでガチガチに固められた都市国家、低家賃のボロアパート、六畳一間の一室、俺は確かにそこで寝ていた筈だ。
思いつく限りの最後の記憶というと……あぁ、うん……駄目だ、アイマスクつけてたから真っ暗だ。
酷く暗く、けど俺はやけに視界がはっきりとする部屋にいた。蛍火のような光の玉が辺りを舞っている。
そんな中を仏頂面で頬ずえをつきながらじっとこちらを見つめる中性的な容姿をした少年と正座で対峙する俺
「──で?」
「………で?…とは?」
少年は『はぁ…』と深く溜め息をついた。
「簡潔にまとめると君は死んだ。」
「……はぁ……?」
「はぁ……って君分かってる?命を落としたんだよ?」
「……誰が?」
「……君が。」
「……俺が?」
「そう、君が。」
「………はぁ?」
「ぶっ殺すよ、君。」
怖い
果たしてこれは夢なのでしょうか。良くある創作物で【死んだら変な空間にいた、まるで夢のようだ】という描写があるが、そんな感じだ。
空間は驚くほどリアルで巧妙で繊細に造られている。
作品通りに言うならば少年はさしずめ天使や神的なポジションなのだろうか。
しばらくの間、悩み項垂れる少年は「うん」と頷き、ポンッと腕を叩いた。
「───君、無双しない?」
「──イヤです勘弁してください」。
「───いや、聞けよ」。
うんざりする程のテンプレ展開、食い気味に断る。
「僕の名はジュピル一応神をやらせてもらっている。」
何を聞いても余り驚きがない、只々、一途にこう思った『だろうな』──と
「それでね、君には他の世界に転生してほしいんだ。」
「はぁ……こりゃまた何で?」
「君に行ってもらいたい世界ではね、人が良く死ぬのさ。魔術教団やら使徒教やらのせいで」。
「魔術だの教団だのを『リービッヒ冷却器』感覚で言うのやめてくんない?知らないからそれ。」
「最後まで聞けよボケ、話が止まるだろ?何だよ『リービッヒ冷却器』って」。
「す、すいません…」。
「話を戻すけど、そのせいで、僕の事後処理が本当に大変なんだよね。死人の希望聞いたり愚痴聞いたりと」。
──スナックのママか
「そんな事言ってもな……というかなんで俺なんだ?もっと好青年とか過去に秘密抱えてる奴とか沢山いるだろ?」。
「う~ん──人畜無害そうだから?」。
──は?
「いや、だってさキラッキラの好青年とかウケ悪いし、かと言って秘密抱えてる奴とか中盤でヒステリック起こして闇落ち&寝返りとかこっちの処理クソ面倒くさいじゃん?って事でホントに何も無さそうな君に声をかけた訳」。
事実だけどさ、言い方ってあるじゃん。俺だってさこんな年端もいかない容姿の子に『何も無い』なんて言われるなんて思わないじゃん。傷つくじゃん。
「り、理由は分かった、俺がこれを断ったらどうなる?」
「なんで泣きそうなの?うーん、君は地獄行きかなー。僕への『不敬罪』で」。。
──んな、理不尽な
「実質一択じゃねぇか、分かったよ、行きますよ、行けばいいんでしょ」。
「よろしい」。
ニマリとはにかんだジュピルは古臭い貼り紙を乱雑に広げた。中には、【妖刀ムラマサ】だの【神剣アスカロン】だの物騒な名前がつらつらと。
「この中から一つ選んで持って行って良いよ。」
あぁこれが俗に言う〈特典〉だの〈恩寵〉とか言う奴ですね。
正直どれがどうとか分からないしこんな物騒そうなもん振り回したくない。寧ろ寝て暮らしたい、可能なら養ってもらいたい。しばらくの間迷走しているとジュピルが動いた。
「しょうが無いなぁ、人間という生き物はね、物事を選ぶ時ある程度の事柄は既に選んであるんだ。僕が君の頭の中を覗いて最適な物を選んであげるよ。」
「ほう…そりゃ頼もしい、お願いするよ。」
「オーケー、えぇっと何々………『出生は新潟産まれの新潟育ち、母子家庭でお袋には散々迷惑を掛けてきた。そんなお袋に心配掛けない様な能力』………ねぇよ、重いわ」。
「いや……でも……ね……。」
「おい、やめろよその顔、向こうで親不孝系ノベル主人公がなんか気不味そうにこっちチラチラ見てんだよ、もういいよ、これで」。
ジュピルは一枚の紙をアブミの胸に突き出した。
「どういう能力だ?」。
「それは向こうについてからのお楽しみだ、そこの魔法陣に座って」。
アブミは言われた通りに腰を付いた。すると囲む様に文様が浮かび上がり光が包見始めると同時に眠りに付くように意識が遠退いていく。
「あ、そうだ、最後に君の死因聞いていくかい?」
「あ、そうだな、一応頼む。」
「寝返りをうって二段ベットを頭から落ちて死亡」。
「ニィトリィィィィィィ!!」。
こうして久留餅 鐙の第二の人生が始まったのだった。
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