みんな異世界行っちゃいました。

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ボヤけた視界が鮮明になり始めた。

途切れた意識が覚醒すると瞬間の情景が頭に流れ込んでくる。

周囲均一の立方体の部屋。

眼前に広がるは緑色の大きな板に風に吹かれるカーテンと隙間から指す木漏れ日。


「──うん、教室じゃん、普通に」。

  ─ 1 ─

見慣れた、普段と寸分違わずな状況。少し違う所をあげるならば、いつもは嫌気がさす程の雑音なるものが『無』であること位か。

基本的にスベる声だけデカイ腰巾着野郎も下品な会話で笑い合うブス女もいない。静か過ぎてそよ風の音まで聞こえる始末だ。

──さて夢でも観ていたのか?

俺以外誰一人としていない教室、真っ白な聖堂でも無ければ立派な城でも無い。説明するのに二行と要さない単調で質素な教室。

只、唯一の変化と言えばクラスメイトが行方を暗ましたと言う事だけだ。

居眠りしている間に移動教室、それはそれで大分死にたくなるがそれは無い。

そうきっぱり言い切れるのは、今日が木曜日であるからだ、『木曜日は移動教室が無い』そこに間違いは無い。

居眠りしている間に避難訓練又は何かしらの災害が起こった。

俺に幾ら人脈が無くても流石にそれは起こしてくれるだろう──そう信じたい。

何か無いかと辺りをキョロキョロと見回すとある物に目が停まる。

時計だ、八時十五分丁度で停止している掛け時計。

得体のしれない身震いがカイトを襲う。確かあの謎の光が発生したのも丁度ホームルーム前だ。

不自然な一致に話が現実味を帯びてゆく。これはもしかするともしかするかも知れない。

ほっぺたを強くつねる、すんごい痛い。

がむしゃらに廊下に走った。走って走って走りまくった。誰もいない、誰一人もいない、物音一つ聞こえやしない、頭の中が真っ白だ。

走りに走って息が切れる、足を抱えてその場に蹲った。

「───みんな異世界、行っちゃいました……」。

窓から隙間風が吹くとより一層、悲壮感を漂わせるのであった。
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