夏は短し、恋せよ乙女

ぽんず

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episode:16

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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

携帯を片手に慣れない道を歩いている男子高校生の姿がそこにはあった。

 

携帯と反対側の手にはコンビニの袋が握られており、

中からは飲み物やプリンといった甘いものまで顔を出していた。

 

 

(人の家にお見舞いなんて行ったことない…。簡単なものは買ったけど…。)

 

 

男子高校生、佐々木幸太郎は険しい顔つきで携帯のナビが指定した道を進んでいく。

 

 

大きな家が立ち並ぶ住宅地をしばらく歩くと、目的の家は姿を現した。

 

 

“夏目”

 

そう書かれた、表札と携帯のナビを何度か確認する。

 

「…嘘だろ…。」

 

 

幸太郎の前には、予想を何倍も超えるほどの豪邸が立っていた。

 

 

しばらくインターホンに指を何度か添える。

 

(緊張して、インターホンが押せない…帰りたくなってきた…。)

 

 

しばらく考えてコンビニの袋に目を向ける。

 

袋の中をじっと見つめてプリンに視線がとまる。

 

“ピーンポーン”

 

音が脳内にも響き、相手からの応答があるまですごく長く感じたのであった。

 

 

『はい、どちら様でしょうか?』

 

「佐々木幸太郎といいます。梨々花さんのお見舞いに来ました。」

 

 

『お嬢様に御用ですね。しばらくお待ちください。』

 

そういうとしばらく沈黙が続いた。

 

『お待たせしました。佐々木様お久しぶりです、桐です。』

 

知っている声に幸太郎は少しホッとする。

 

 

「いきなり押しかけてきてすみません。」

 

『大丈夫ですよ。梨々花様も喜びます。今からそちらへ行くのでしばらくお待ちいただけますか?』

 

「待ちます。ゆっくり来てください。」

 

そういうとインターホンは静かになった。

 

玄関は門から遠くにあるのか数分後に桐が姿を現した。

 

「佐々木様、お待たせしました。」

 

「桐さん、お久しぶりです。」

 

「梨々花様に会いに来てくださるなんて。私も嬉しいです。」

 

きっとすごく喜ばれます。と桐は笑顔を向けた。

 

「だといいですが…。」

 

「さぁ、佐々木様少し歩きますが、こちらへどうぞ。」

 

そう案内されて、門をくぐり中庭を抜ける。

 

花壇や噴水までもが綺麗に掃除されており、まるでお城に来た気分で会った。

 

 

「すごいお庭ですね。」

 

「そういっていただけると、使用人皆が喜びます。」

 

 

花壇にはいくつものヒマワリが太陽に向かって伸びていた。

 

「ヒマワリ綺麗ですね。」

 

「佐々木様はヒマワリ、お好きですか?」

 

「花はあんまり詳しくないけど、ヒマワリは一番好きですかね…なんか元気をもらえる感じがして。」

 

桐が嬉しそうに微笑む。

 

「実は、梨々花様もヒマワリが一番好きで。夏はたくさん植えるのですよ。」

 

梨々花様と佐々木様は気が合いますね。と桐は微笑んだ。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

大きな玄関を抜けて幸太郎は2階へと案内された。

 

「ここが梨々花様のお部屋になります。私は、お茶を用意するので中へどうぞ。」

 

そう言い残すと大きなドアの前に幸太郎は取り残された。

 

 

自然と深呼吸をしてドアノブへと手を伸ばす。

 

“ガチャ”

 

 

ドアの先は広い空間となっており、奥には3人は寝ることができるほどのベッドが置いてあった。

 

ベッドの中に部屋の主人は寝息をたてていた。

 

「んっ…桐?」

 

部屋に人の気配を感じて梨々花は目を覚ました。

 

「お邪魔してます…。」

 

「えっ…幸太郎君?!なんで?!」

 

一瞬目を見開いたが梨々花は中々状況を判断できないのか、布団に顔を隠したのであった。

 

「いきなりすみません、お見舞いに来ました。」

 

「…おみまい?幸太郎君が?」

 

チラッと布団から顔を出した梨々花が幸太郎をじっと見つめる。

 

「いきなりすみません。」

 

「ううん…すごく…」

 

“うれしい”

 

そういうと梨々花はニコッと微笑み顔を赤くしたのであった。

 

(えっ…今なんて?!)

 

今度は幸太郎が目を見開いて、状況が判断できなくなっていた。

 

「たたた体調はどうのな?」

 

話を変えようと、幸太郎は必死になる。

 

「幸太郎君が来てくれたから…少し元気になったかも…。」

 

なんの質問をしても、予想外の返事が来る状況に幸太郎の頭の中は爆発寸前であった。

 

「幸太郎君…寂しいからこっちに来て。」

 

そういうと梨々花はベッドの隣にある椅子に指をさす。

 

言われるがままに椅子に腰を掛ける幸太郎の顔は真っ赤になっていた。

 

「幸太郎君、顔が赤いよ?熱でもあるの?」

 

そういうと幸太郎の額に梨々花が手を伸ばした。

 

“コンコン”

 

いきなりのノックに幸太郎は立ち上がる。

 

(?!)

 

「梨々花様、お茶とケーキをお持ちしました。」

 

「入ってきていいわよ。」

 

“ガチャ”

 

扉が開き、桐が2人分の紅茶とケーキを運んできた。

 

立ち上がった幸太郎は行き場を失い立ち尽くしていた。

 

「幸太郎君、そのさっきから持っている袋はなに?」

 

梨々花がコンビニの袋に気付く。

 

「これは、別になんでも…。」

 

目の前に運ばれた、いかにも高級そうなケーキを前にコンビニの袋を隠した。

 

「もしかして、梨々花に?」

 

「まぁ…けど家に持って帰るんで。」

 

「見せて!!」

 

梨々花はそういうと幸太郎に手を出す。

 

恥ずかしそうに幸太郎はコンビニの袋を梨々花に渡す。

 

「桐、梨々花の分のケーキはあなたにあげるわ。」

 

「いつも召し上がるケーキをよろしいのですか?」

 

梨々花は袋の中に手を伸ばして嬉しそうに答える。

 

 

「今日は、幸太郎君が選んでくれたプリンがあるからいいの!」

 

そういうと梨々花は、袋の中からプリンを取り出した。

 

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