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第4話 寂しさを隣に置いて
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まだ生きている。
アナスタシアが目覚めた時、真っ先に思った事だ。
そして薄目を開けるとあのドラゴンがアナスタシアの顔を覗き込むように近づけ ジッとしていることだ。
アナスタシアはまた魔法陣の中心に寝かされていた。
ギュッとまた目を閉じ息を殺す。
今まさに食べられる直前なのでは? アナスタシアの体は強張った。
だがやはりだが一向になにも起こらない。
アナスタシアも現状に理解は及ばないが何となくだがこのドラゴンに悪意が感じられない事を不思議に思っていた。
そして今の状況を見せられてはさすがのアナスタシアも理解するほかなかった。
そのドラゴンは瞳から大粒の涙をこぼしながら――
「ごめんね。かくれんぼがしたかっただけなんだ。本当にごめんね。」
と、しきりにアナスタシアに謝り続けていたのである。
バケツで水をかけられているかの如くバシャバシャとアナスタシアの顔に生暖かい水が流れてくる。
なぜだかすごく悪い事をしてしまった気になるアナスタシア。
少しどころではない、まだかなりこのドラゴンの事は怖いのだが......震える手をソッと差し出しドラゴンの鼻先を優しく撫でてやった。
「私の方こそ悪かった。キミを必要以上に怖がってしまっていたようだな。」
ドラゴンは大きな丸い目をクリクリさせながら――
「怒ってないの?」
と申し訳なさそうに訪ねる。
アナスタシアも首を横に振り、笑顔を見せながら鼻先を優しく撫でてあげた。
ドラゴンは鼻先を撫でられ気持ちがいいのか グルルルルル と猫のように喉を鳴らしていた。
ふとドラゴンが何かを思い出したように頭を上げアナスタシアに向き直る。
「鼻を撫でられるって気持ちいいんだね。初めて知ったよ。僕はリントブルム、このフロアのエリアボスをしているよ。」
やはりそうか。アナスタシアに緊張が走った。
エリアボス。それはこのリントブルムというドラゴンを倒さないと先へは進めない事を意味していた。
この強大な力を持つリントブルムをまともな方法で倒すことは不可能。
正面からやりあえば一瞬の時間も持たず消し飛ばされるだろう。
だがなぜかリントブルムからはアナスタシアへの殺意は感じない。
それどころか友好的な好意すら感じる。
アナスタシアは思う。
まずは体を回復させること。
そしてこの化け物を油断させ、寝首を掻く。
これは人類と化け物との戦い。情など挟む余地はない。
リントブルムの心はおそらく子供の用に無邪気なのだろう。
騙すことは簡単だ。
そう心に決め、すぐさま冷たい笑顔の下面を被り、リントブルムの目をまっすぐに見据える。
「こんにちわリントブルム。私はアナスタシアだ。」
「よろしくね。アナスタシア。まだ傷が治ってないからゆっくり休むといいよ。」
「あぁ、そうさせてもらうよ。」
そうさせてもらう。そして傷がいえたその時は......
アナスタシアの目が暗く沈んでいくのをリントブルムは気づいたが、まだ傷が痛むのだと思い「ゆっくり休んでね。」と言いまたひとりかくれんぼをにいそしむのだった。
ーーーーーーーーーー
「ふんふんふん。魔王様から聞いたんだ。もしお友達が出来たら自分ばっかり話したらダメって。アナスタシアは今怪我が痛いから休ませてあげないと。」
遊びたい気持ちはあるが今は我慢。リントブルムは自分に言い聞かせた。
今までずっと一人で遊んでいたけど、誰かがいると思うとソワソワして遊びに集中できない。
「もう怪我は治ったかな? お話しにいこうかな?」
さっきの会話からまだ10分もたたないうちに、もうこの始末である。
アナスタシアはというと静かに魔法陣の中心で体を休めていた。
おそらく助かるはずもなかった傷だと思っていたが、そのほとんどはすでにふさがっていた。
だが内臓へのダメージがひどかったのかまともに動けるようにはまだまだ時間がかかりそうだ。
リントブルムが自分を助けたのは彼がまだ幼い心しか持ち合わせていないからだとアナスタシアは考えた。
この先、成長していけば必ず人間を食い殺す悪魔のようなモンスターになるはずだ。
そうなれば世界は滅亡の一途をたどる事は明白だった。
そう考えただけでそのモンスターと一緒にいるアナスタシアは生きている心地がしなかった。
彼女がそんなことを考えているとリントブルムがドシン!ドシン! と足音を鳴らしながら近寄ってきた。
「怪我痛い?」
ドラゴンの表情なので何とも言えないが本当に心配しているようにアナスタシアは感じた。
「そうだな。動くのはまだ辛い所がある。」
「ふんふん。ならまだゆっくりしてた方がいいよね。話しかけてごめんね。」
立ち去ろうとするリントブルム。
アナスタシアは悲しそうな表情を見せるリントブルムについ声をかけてしまう。
「いや......その......まだ遊ぶのは付き合えないが話くらいならいいぞ。私も時間を持て余しているからな。」
「ホントに!? やったぁ!! じゃあさ、なんのお話する?」
「そうだな、なら君のお話を聞かせてくれないか?」
アナスタシアは考える。
ここでリントブルムに取り入って弱点を聞き出せれば、作戦の成功率は劇的に上がる!! と。
「僕の話? 例えばどういうの?」
「キミが生まれてから今までの話を聞かせてくれ。なに、時間ならたくさんあるだろう?」
「うん。そうだね。じゃあ僕が生まれた時の話からするね。全然覚えてないんだけど僕はね.......。」
リントブルムは話した。
この神殿から出たことがない事。
いつも一人で遊んでいた事。
初めて会った動いてる人がアナスタシアだった事。
自分以外の生き物に会ったことがない事。
何百年もこの神殿で生きている事。
そして魔王の事。
全部を話すことはそれなりに時間がかかったが、魔王以外に自分の話を聞いてもらうのが初めてだったリントブルムはおしゃべりが楽しくて仕方なかった。
そして一通りの生い立ちを話し終えた時にはアナスタシアの両目から止めどない涙があふれ出ていた。
「ぞ、ぞれは、、ぐるじがっだだろうな.....ざびじがっだだろうな.....うぅぅ......。」
ズルズルと鼻水を吸い上げながら号泣するアナスタシアにリントブルムは――
「アナスタシア......どこか痛いの? 僕のお話がつまらなかった?」
心配そうに尋ねる。
「うぐぅぅ......君はわるぐない.....ズルルル......なにもわるぐないぞーーー!!」
もうアナスタシアにリントブルムを疑う気持ちはかけらも残ってなかった。
それほどリントブルムの話に嘘偽りのない純真さを感じてしまったのだ。
かつて自分も1人である寂しさに苦しんだ時期があった。
だが時と共に周りに自分を支えてくれる人が集まった。
だがどうだろう。
彼は、リントブルムはおそらく未来永劫このエリアの主であらなくてはいけない。
唯一出会うのはここまでやってきた勇者だけ。
そしてその勇者はリントブルムを殺しにかかるだろう。
もちろん人のみでこのリントブルムを殺せる者がいるとは思わない。
それゆえ彼は果てしない時を待ちわびて出会う友を殺し続けないといけないのだ。
アナスタシアはリントブルムの心を思えばこそ、悲しみの涙がしばらくの間、途絶えることがなかったのだ。
アナスタシアが目覚めた時、真っ先に思った事だ。
そして薄目を開けるとあのドラゴンがアナスタシアの顔を覗き込むように近づけ ジッとしていることだ。
アナスタシアはまた魔法陣の中心に寝かされていた。
ギュッとまた目を閉じ息を殺す。
今まさに食べられる直前なのでは? アナスタシアの体は強張った。
だがやはりだが一向になにも起こらない。
アナスタシアも現状に理解は及ばないが何となくだがこのドラゴンに悪意が感じられない事を不思議に思っていた。
そして今の状況を見せられてはさすがのアナスタシアも理解するほかなかった。
そのドラゴンは瞳から大粒の涙をこぼしながら――
「ごめんね。かくれんぼがしたかっただけなんだ。本当にごめんね。」
と、しきりにアナスタシアに謝り続けていたのである。
バケツで水をかけられているかの如くバシャバシャとアナスタシアの顔に生暖かい水が流れてくる。
なぜだかすごく悪い事をしてしまった気になるアナスタシア。
少しどころではない、まだかなりこのドラゴンの事は怖いのだが......震える手をソッと差し出しドラゴンの鼻先を優しく撫でてやった。
「私の方こそ悪かった。キミを必要以上に怖がってしまっていたようだな。」
ドラゴンは大きな丸い目をクリクリさせながら――
「怒ってないの?」
と申し訳なさそうに訪ねる。
アナスタシアも首を横に振り、笑顔を見せながら鼻先を優しく撫でてあげた。
ドラゴンは鼻先を撫でられ気持ちがいいのか グルルルルル と猫のように喉を鳴らしていた。
ふとドラゴンが何かを思い出したように頭を上げアナスタシアに向き直る。
「鼻を撫でられるって気持ちいいんだね。初めて知ったよ。僕はリントブルム、このフロアのエリアボスをしているよ。」
やはりそうか。アナスタシアに緊張が走った。
エリアボス。それはこのリントブルムというドラゴンを倒さないと先へは進めない事を意味していた。
この強大な力を持つリントブルムをまともな方法で倒すことは不可能。
正面からやりあえば一瞬の時間も持たず消し飛ばされるだろう。
だがなぜかリントブルムからはアナスタシアへの殺意は感じない。
それどころか友好的な好意すら感じる。
アナスタシアは思う。
まずは体を回復させること。
そしてこの化け物を油断させ、寝首を掻く。
これは人類と化け物との戦い。情など挟む余地はない。
リントブルムの心はおそらく子供の用に無邪気なのだろう。
騙すことは簡単だ。
そう心に決め、すぐさま冷たい笑顔の下面を被り、リントブルムの目をまっすぐに見据える。
「こんにちわリントブルム。私はアナスタシアだ。」
「よろしくね。アナスタシア。まだ傷が治ってないからゆっくり休むといいよ。」
「あぁ、そうさせてもらうよ。」
そうさせてもらう。そして傷がいえたその時は......
アナスタシアの目が暗く沈んでいくのをリントブルムは気づいたが、まだ傷が痛むのだと思い「ゆっくり休んでね。」と言いまたひとりかくれんぼをにいそしむのだった。
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「ふんふんふん。魔王様から聞いたんだ。もしお友達が出来たら自分ばっかり話したらダメって。アナスタシアは今怪我が痛いから休ませてあげないと。」
遊びたい気持ちはあるが今は我慢。リントブルムは自分に言い聞かせた。
今までずっと一人で遊んでいたけど、誰かがいると思うとソワソワして遊びに集中できない。
「もう怪我は治ったかな? お話しにいこうかな?」
さっきの会話からまだ10分もたたないうちに、もうこの始末である。
アナスタシアはというと静かに魔法陣の中心で体を休めていた。
おそらく助かるはずもなかった傷だと思っていたが、そのほとんどはすでにふさがっていた。
だが内臓へのダメージがひどかったのかまともに動けるようにはまだまだ時間がかかりそうだ。
リントブルムが自分を助けたのは彼がまだ幼い心しか持ち合わせていないからだとアナスタシアは考えた。
この先、成長していけば必ず人間を食い殺す悪魔のようなモンスターになるはずだ。
そうなれば世界は滅亡の一途をたどる事は明白だった。
そう考えただけでそのモンスターと一緒にいるアナスタシアは生きている心地がしなかった。
彼女がそんなことを考えているとリントブルムがドシン!ドシン! と足音を鳴らしながら近寄ってきた。
「怪我痛い?」
ドラゴンの表情なので何とも言えないが本当に心配しているようにアナスタシアは感じた。
「そうだな。動くのはまだ辛い所がある。」
「ふんふん。ならまだゆっくりしてた方がいいよね。話しかけてごめんね。」
立ち去ろうとするリントブルム。
アナスタシアは悲しそうな表情を見せるリントブルムについ声をかけてしまう。
「いや......その......まだ遊ぶのは付き合えないが話くらいならいいぞ。私も時間を持て余しているからな。」
「ホントに!? やったぁ!! じゃあさ、なんのお話する?」
「そうだな、なら君のお話を聞かせてくれないか?」
アナスタシアは考える。
ここでリントブルムに取り入って弱点を聞き出せれば、作戦の成功率は劇的に上がる!! と。
「僕の話? 例えばどういうの?」
「キミが生まれてから今までの話を聞かせてくれ。なに、時間ならたくさんあるだろう?」
「うん。そうだね。じゃあ僕が生まれた時の話からするね。全然覚えてないんだけど僕はね.......。」
リントブルムは話した。
この神殿から出たことがない事。
いつも一人で遊んでいた事。
初めて会った動いてる人がアナスタシアだった事。
自分以外の生き物に会ったことがない事。
何百年もこの神殿で生きている事。
そして魔王の事。
全部を話すことはそれなりに時間がかかったが、魔王以外に自分の話を聞いてもらうのが初めてだったリントブルムはおしゃべりが楽しくて仕方なかった。
そして一通りの生い立ちを話し終えた時にはアナスタシアの両目から止めどない涙があふれ出ていた。
「ぞ、ぞれは、、ぐるじがっだだろうな.....ざびじがっだだろうな.....うぅぅ......。」
ズルズルと鼻水を吸い上げながら号泣するアナスタシアにリントブルムは――
「アナスタシア......どこか痛いの? 僕のお話がつまらなかった?」
心配そうに尋ねる。
「うぐぅぅ......君はわるぐない.....ズルルル......なにもわるぐないぞーーー!!」
もうアナスタシアにリントブルムを疑う気持ちはかけらも残ってなかった。
それほどリントブルムの話に嘘偽りのない純真さを感じてしまったのだ。
かつて自分も1人である寂しさに苦しんだ時期があった。
だが時と共に周りに自分を支えてくれる人が集まった。
だがどうだろう。
彼は、リントブルムはおそらく未来永劫このエリアの主であらなくてはいけない。
唯一出会うのはここまでやってきた勇者だけ。
そしてその勇者はリントブルムを殺しにかかるだろう。
もちろん人のみでこのリントブルムを殺せる者がいるとは思わない。
それゆえ彼は果てしない時を待ちわびて出会う友を殺し続けないといけないのだ。
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注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。
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