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第19話 復讐
しおりを挟む私はイベント事がとにかく嫌いだった。
小さい頃のお遊戯会とか、遠足も、参観日も。
どうしても私が一人な事を世の中に知らしめたいんじゃないかって。
それが惨めな事って私に教えようとしてるのかな?って。
次第に私は学校で空気になっていた。
そんな学校から転校してすぐはクラスの皆が話しかけてくれた。
私はどうしてもうまく話せなかったし人見知りが強すぎて目を見て話せない状況だった。
その日は運動会だった。
転校してから初めての運動会。
学校の皆は両親や兄弟、親戚が来ていたりと楽しそうにお昼を楽しんでいる。
コンビニのお弁当が急に恥ずかしくなった。
今まであんまり気にならなかったけど、この学校の皆は私を気にかけてくれている。
でも、気にかけているからこそ、見られてるって感覚にもなってしまった。
誰も見てないっって思ってたから平気だったけど、そう思えなくなった。
私は恥ずかしくて恥ずかしくてグラウンドの隅っこで隠れるようにご飯を食べてた。
もう消えてなくなりたい。
なんで私なんかが生まれてきたんだろう。
悲しくって涙が出そうになった。
でも、そこに突然彼が現れた。
「おい、お前そんな所で何してんだよ。こっち来いよ。」
「え、私は.....いいよ。一人で食べれるから......」
「そんな事言ってんじゃないんだよ。俺も人の飯に呼ばれてるから一人じゃ気まずいんだよ。お前付き合えよ。」
「え? 人の飯......? そういう......きゃっ!!」
その人は私の言葉も聞かずに手を掴んで引っ張っていった。
お弁当と水筒をこぼさないように気を付けながら引っ張られてるの覚えてる。
でその家族の輪に渡しを連れていって――
「こいつも俺の仲間だから。一緒にいいでしょ。おばさん。」
「へっ!? えぇ!? いや......私は......その......」
「あら、あなたもカイちゃんと同じでお弁当ないの? 大変ね。こっちいらっしゃい。ほらタカシ!! あんたこの子の分も皿に入れてあげなさい。」
「はーい。卵焼きとウインナーと......こんなもんか。キミたしか一ノ瀬さんだよね。よろしく。僕タカシっていうんだ。こっちは僕のお母さん。そんでこっちは......」
「あの......その.......私.......一ノ瀬で......す。」
恥ずかしくてうまく話せない。
いきなり人様のご飯を食べに来た空気の読めない子供って思われてるんじゃないか?
そんな事ばかりが頭をグルグルしてたと思う。
すると――
「遠慮なんていいんだよ!! 俺だって勝手にここの飯食ってんだよ。俺だけそうだと気まずいだろ。お前俺の共犯者になれ。」
「共犯者ってカイちゃん、そんな言葉どこで覚えたの? 一ノ瀬さん、でもカイちゃんの言うとおりよ。遠慮なんてなんいもいらないわ。カイちゃんはもう少し遠慮してほしいけどね。フフフフ。」
「あっ、おばさん。それは言いっこなしでしょ!! 俺もうご飯食べずらくなるじゃん!! あっ! この唐揚げもーらい!」
「あっそれ僕が最後に残してた唐揚げだよ。カイはさっき自分の分食べただろ。返してよー!」
「だーめ。食べるの遅い奴が悪いんだからな! いっただきー!」
「わーん。」
「フフフ、フフ、クフフフフフ......]
その光景がおかしくて私は必死でこらえるけど後から後から笑い声がお腹の底から噴き出してきた。
「なんだ、お前笑えるんじゃん。絶対そっちの方がいいよ。」
初めて言われた言葉だった。
でもその言葉に今でも救われてる。
私は変わりたい、そう思えた言葉だから。
ーーーーーーーーーーーー
「成瀬ーーーーー!!!!!! どこだぁーーー!!!!」
カイの声が聞こえる。
また私泣いてばっかりだった。
動かないで終わろうとしてた。
私は変わったんだ。
あの頃と違う。
助けてほしい時は声を上げれるんだ。
「カイィィーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」
喉が張り裂けそうになるほどの大声を出した。
周りのイカダに乗った人たちが一斉に私の方を見る。
でもそんなの関係ない。この声カイに届いて!!!!
私はそう願って何度もその名前を呼び続けた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「成瀬ーーーーー!!!!!! どこだぁーーー!!!!」
くそ!! どこにいるんだ。この世界に来てないのか? あの時一緒に自身に巻き込まれたのに。
イラつく心を無理やり抑え込み冷静になろうとする。
するとイカダが集まっているところから声がする。
「ヵぃーーーーんん!!.......」
はっ!! 確かに呼んだ。俺の名前。
「成瀬ーーーーー!!!!!!」
俺は聞こえた声に答えるよう成瀬の名前を呼び続ける。
だがさっき聞こえて以来、その声は聞こえてこない。
「なんでだ? 近くにいるんだろ!?」
すると他のイカダに乗った人達から「おい、あっちだ兄ちゃん! 誰かに連れていかれてたぞ!!」と言う声を聞く。
その方向を見ると制服を着た女の子が同じく制服を着た青年に口を押えられながら連れていかれようとしていた。
「成瀬!!!!! くそっ! 他のイカダが邪魔で進めない。サメ吉、ついてこい!!!」
「あいさ!!」
俺は自分のイカダを捨てて他の人のイカダの上を渡っていく。
「あっちへ行ったわ。」
「向こうへ行ったぞ。」
「その先にいるぞ。」
人を通り過ぎるたび逃げた先を教えてくれる。
「見つけた!!」
向かう先に制服の女の子を肩に抱え走って逃げる男。
だが、男は自分のイカダらしき上に乗ると急いでオールを動かしイカダの群れから離れていった。
女の子は気絶しているのか、イカダに横になり身動きを取らない。
そしてある程度イカダが離れた時、ゆっくり男が俺の方へふり返った。
その顔を見た時、俺の怒りは沸点を軽く超える。
「にぃしむらぁぁぁーーーー!!!!!!!」
「よぉ。倉本。会いたかったぜ。」
「てめぇ成瀬に近づくんじゃねぇーーー!!!!」
「なんだ? お前の女でもないだろ?」
西村は金色に染めた長い前髪を左手でサラっとかき分けて俺に笑顔を送る。
その顔がさらに俺の怒りを高めていく。
「こんな世界になってよぉー。倉本。俺は思ったんだよ。欲しいもんは何でも手に入れなきゃってな。お前もそうだろ。だから一ノ瀬を探してたんだろ?」
「てめぇ何言ってんだ!? 成瀬に何かしたらタダじゃ置かないぞ!!」
「何かってなんだ? 例えばこんな事か?」
西村はオールの手を止め成瀬近づく。
「おい!! 何する気だ!?」
「特別サービスだぜ。」
西村は倒れてる成瀬の太ももに手を置き、いやらしくさするようにスカートの中に手を伸ばしていく。
とたん俺の心臓がまるでガラスが割れた時みたいにバラバラになったような痛みを感じた。
痛い、苦しい、悔しい......
それと同時に激しい衝動が体全体にみなぎってきた。
殺意......
「ハッハッハッハ!!!!! いい気味だな倉本!!! 俺はお前に復讐することばっかり考えてたよ!! テメェの目の前でこの女をいい様にしてやることばっかりなー!!!」
スカートのさらに奥へ手が伸びていく。
もう限界だった。
西村は高笑いしながら成瀬のスカートの奥へ手を伸ばす。「ハッハッハッハッは?.......」
ビュン!! とものすごいスピードで西村の頬を何かがかすめた。
西村の頬から血がしたたり落ちる。
「ひぃぃっぃぃいいいい!???? なんでお前そんなもん持ってんだ!!????」
俺はストレージから水中銃を取り出し素早く狙いを定めて西村に放ったのだ。
もちろん当たらないように狙って打ったが当たってもいいと思ってしまっていた。
結果、ギリギリ頬をかすめると言った結果になったわけだ。
慌てふためき腰が抜けてしまった西村。脚を空中でバタバタさせながらひっくり返った虫のようになっている。
尚も俺は水中銃で西村を狙う。
「ちくしょう!! もうこんな女どうだっていい!! 後悔しやがれ倉本ぉーーーー!!!!!」
西村は気絶している成瀬を足でイカダから蹴りだしてしまった。
力なく西野は海の中に投げ出され、水の底へ向かって沈んでいく。
「なるせぇぇぇーーーーー!!!!!」
俺はすぐさま海に飛び込んだ。
海の中ですでにサメ吉がスタンバイしている。
俺はサメ吉の背びれに捕まり猛スピードで成瀬の元へ向かう。
「ハハハ......お前らが悪いんだぜ......俺を怒らせるからだ。俺を......」
西村は力なくオールを取り出しどこともなくイカダを進め出した。
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