ダンジョンはモンスターでいっぱい!! ~スライムと成り上がる最弱冒険者の物語〜

なか

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激化する

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「おりゃぁぁ!!」

 ニアの振り下ろされた杖による一撃はすんでのところでかわされてしまった。

「こいつら速いわね。」

 額の汗を腕でぬぐいながら敵の攻撃には警戒している。。

「攻撃もかなりの威力だ! 気を付けて!」

 クラウスもかなり手を焼いている。

 敵はエレメンタル5体。
 クリスタルの形をしていてそれぞれが宙に浮いているため音もなく近づき素早く回避するのでこうも複数相手となると相手をしずらい。

 半透明な体の中心にはコアと呼ばれる丸い球が浮かんでいた。
 エレメンタルは自身の体に魔素を集中させレーザビームのように拡散的に放出させる。

 でたらめに放出されるそれは仲間のエレメンタルにぶつかると体の中で乱反射を起こさせさらに本数を増やし拡散したレーザービームとして発射される。
 それぞれがきわどくかわしていくが無限に増えていく攻撃にたまらずクラウスが

円状拒絶層ウォームドーム!!!!」

 円状拒絶層ウォームドームはクラウスを中心にドーム型の障壁を作りエレメンタルのレーザーを消失させる。

「ゴンゾウ君!!!!」

 クラウスの声に「きゅぴ!!」と反応したゴンゾウが刀を鞘に戻し神速の抜刀を見せる。

【スライム一刀流・椿一閃】!!!

 居合の衝撃波により駆け抜けた斬撃は瞬く間に3体のエレメンタルが ずるり と中のコアごと斜めに体がずれ、そのまま地面に落ち砕けてバラバラになってしまった。

 残り2体。そこはニアがすでに詠唱に入っていた。

「風の重みでその身を拘束する。ダウンバースト!!」

 エレメンタルは頭上から強烈な風を叩きつけられ動きが抑制される。
 動きの止まったエレメンタルに突っ込む影が二つ。

 ゴンゾウとクラウスはほぼ同時にそれぞれのエレメンタルに剣を突き刺した。
 深々と刺さった剣は中のコアにまで突き刺さりエレメンタルは輝きを失い黒ずんでいき浮遊力を失って地面に落ちバラバラに砕け散った。

 さすがに5体同時に相手にし肝を冷やすところはあったが結果は圧勝だった。
 ダンジョンアタック3日目、すでに彼らは39階層へと到達していた。
 水晶のエリアを抜け今はまた広大な大きさの洞穴の中を歩いている。
 あまりに大きすぎてやはり天井は見えない。

 周りの岩は鋼度が高く鉄を多く含んでいるゆえに固く黒い。
 湿気で錆臭くなっておりいたるところが酸化による変色を見せていてその色合いは広大な大きさも相まって息をのむほどだ。

「モンスターってあんなのもいるんだな。生き物だけだと思ってた。」
「あれもれっきとした生き物だよ。」
「そうなの?」

 もうここまで来るとアレンの場合戦闘に参加できるわけもなくついてくるのがやっとである。
 ディアドラはアレンの護衛のためそばを離れることを嫌がり戦闘には参加しない。

あるじに何かあれば我々もどうなるかわからない。悪いがザコはお前らで何とかしてくれ。」

 我々とはゴンゾウの事も含んでいるのだろう。
 魔物使いのアレンが死ねば使役しているモンスターがどうなってしまうのかは誰もわからない。
 なにしろ前例がないのだから。
 そういう意味ではアレンが死にゴンゾウとディアドラが支配下を抜けて敵となる可能性はゼロではない。
 そうなればさすがのクラウスでもニアを庇いながら戦えるとは思えない。

「でもまだ余力はあるわね。技や魔法をかなり温存しても戦えてる。私もどんどん強くなってる。この階層の敵を倒してレベルも相当上がっているはずよ。」
「そうだね。僕も強くなっているのを実感するよ。50階層まで何とかなりそうだね。」
「きゅぴー。」

 そうこうしているうちに40階層へ降りる道を発見する。

「いよいよ40階層ね。ここからまた敵は強くなるみたいだから気を付けましょう。」

 クラウスは思う。

 ニアには冒険者としての魔法使いとしての天性の素質があったのだろう。
 でなければこの成長は説明できない。
 もちろんニアの力はこの階層では通用はしていない。
 しかし僕が守りゴンゾウ君が攻める形にしっかりとサポートで入ってきている。

 ニアは自らの力が足りていないことに気づいていた。
 だから攻撃を捨てパーティーのサポート役として徹することを1つとしている。
 ニアの攻撃は敵を倒そうとするものではなくゴンゾウとクラウスの次の動きを作るためのものだ。
 だからこそ余計なスキは作らないしすぐに二人にスイッチすることができる。

 今その手ごたえをニアはヒシヒシと感じていた。




 ーーーーーーーーーーーー




 40階層も引続き鉄岩のエリアだがここから黒い木や植物がちらほらと咲いていた。

「おいなんだこれ?全部黒いぞ。」

 アレンがその花びらに触ったとき「いてぇ!!」と腕を引っ込め尻もちをついた。

「どうしたの!?」

 驚き心配そうに駆け寄るニア。
 アレンは指先を少し切っており血が流れていた。
 なんとその花は鉄でできていたのだ。
 誰かが作ったものではなく生態系の1部として鉄の植物が育つ環境なのだろう。
 ここら周りにある黒い植物はすべて鉄でできていることになる。

 驚くアレンにニアが話しかける。

「もうびっくりさせないでよ。心配したじゃない。ほら、手かして。」

 ニアはアレンの手を強引に自分のところに引き寄せ切れた指先にキュアをかける。
 久々にニアの顔をまじかで見たアレンはその美しい顔を見ていられずに赤面してしまう。

「なに? どうしたの?」

 アレンの不審な態度にニアも顔を覗き込むように理由を問いただそうとする。

「あっいや、何でもないんだ、本当に。」

 ますます顔が赤くなるアレン。

「女よ。そのあたりで許してやってくれ。あるじはお前に発情してしまっただけなのだ。」

 ディアドラの空気の読めない発言に

「てめぇディアドラ!! ほんとの事言うんじゃねぇ!!」

 と墓穴を掘ってしまう。

「な、んな、ななな、なに言ってんのよ! ばかぁぁあああ!!!!」

 ゴギャ!!!!

 赤面して乱心したニアにあわや首から上を持っていかれるようなねじり込むアッパーを喰らったアレンは回る世界の中で真後ろに倒れ込んだのだけはわかった。

「きゃあ!! アレン大丈夫!? アレン......アレ......」

 遠くなるニアの声。
 どうしたんだとクラウスも慌てている姿が霞のように消え、あたりが暗くなっていく。

「バカヤロウ......お前が綺麗すぎるからいけないんだ......」

 心の中でそう思いアレンの意識は夢の中に旅立った。
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