ダンジョンはモンスターでいっぱい!! ~スライムと成り上がる最弱冒険者の物語〜

なか

文字の大きさ
50 / 58

これでは

しおりを挟む
 スタスタと何事もないような雰囲気を感じさせながらアレンとの距離を詰めていくブルーノ。
 アレンはうつむきブルーノを見ていない。

「アレン!? どうしたの!?」

 ニアの声はアレンには届かない。
 呪印を喰う妖刀『鬼丸』の能力、ディアドラに施されているアレンを縛る呪印をも喰い始めている。
 しかしやはり強力なのかアレンの力が解放されない。

 ディアドラは呪いの影響下にあってもやはり強い。あの強さを少しでも引き継げればあるいはブルーノにも。そう考えるがまだ呪印の力が強い。しかし先ほどとは違いアレンの体に力が充実していく。少しづつ呪印がほどけてはいるようだ。

 しかし他のパーティーの呪印は先ほどの呪詛喰いの瘴気《オンバサラ》では解除できないみたいだ。
 やはり他の人の呪印は元である媒体の呪印を斬るかブルーノを倒さない限りは解除できないようだ。

 そんな中ブルーノがすんなりアレンの射程圏に入る。刹那、アレンの斬撃がブルーノを襲うが遅い、簡単に剣先を摘ままれてしまう。

「おや、やはりただの特殊能力使いですか? 実力が伴っていないとは残念。」

 ブルーノは心底残念そうな顔をし、その剣をポイっと物を捨てるように掘り投げる。
 アレンも同じく鬼丸と共に吹き飛ばされてしまう。

 しかしアレンの体をまとう黒い瘴気が大きな手の形に変わりアレンを優しく地面に着地させた。

「ほう。何の能力でしょう? あなた職業は何ですか? 先ほどから見たこともない術を使いますね。」

 ブルーノは話しながらもまたアレンとの距離を無防備で詰めていく。
 うつむきだらんと脱力した体勢から先ほどよりはるかに速い斬撃がブルーノに飛ぶ。
 しかしこのレベルの相手に出すにはあまりにも遅い斬撃。またも簡単に見切られかわされてしまう。
 しかしその斬撃の後から黒い瘴気がこぶしを握りブルーノの横腹を叩きつける。

 ドギャ!!!!!!!!

 恐ろしい衝撃音と共に食堂の壁を突き破り向こう側の部屋まで飛ばされていくブルーノ。

 黒い瘴気をまとってから動きが徐々に獣がかっているアレン。体をクの字に折り手をぶらんと前に垂らした構えでホコリ舞うブルーノ方を見ていた。

 フーフーフー

 激しく呼吸するアレンは肩を上下させながらユラユラと獣の構えを崩さない。

「アレン!!」

 ニアの呼び声と同時に砂ぼこりの中からすごい速さでまっすぐに何か黒い影がアレンにぶつかる。

 バキッ!!!!!

 その影はブルーノだった。ブルーノの勢いをつけた回し蹴りがアレンの顔を捕らえる。
 気づいたときにはアレンは後方に吹き飛ばされていた。またもや黒の瘴気が受け身を取りアレンを優しく着地させる。ギリギリ攻撃は黒の瘴気が防いだようだが呪術師とは思えない恐ろしい威力のケリだった。おそらく今のアレンのステータスで直撃を喰らえば即死だっただろう。

 ニアはこの緊迫した空気に目を覆いたくなるような気持だった。

「おかしい、呪術師ができる体術じゃない。さっきの蹴りなんて武闘家のそれじゃないか。」

 クラウスはブルーノが高レベル冒険者とはいえ想像を超える体術も見せてきた事に驚きを隠せない。

「あれも呪術の一つっていうの? そんなの無敵じゃない。」

 ニアは呪術のあまりにも理不尽な威力に嘆くばかり。

「今のでも無傷ですか。お互い決定力不足は否めませんね。しかしあなたのその黒い煙のようなもの。面白い能力ですね。......いや、能力というか......煙があなたを動かしているんですかね。どちらにしても面白い。気になります。バラバラに体を解体して隅々まで調べたいですよ。ん~たまらない。」

 ブルーノはよい香りのワインに備考をくすぐられたような光悦な表情でアレンの事を見ていた。
 先ほどまでは片方の腕だけだった黒い瘴気も今や体の上半身の部分ともう片方の腕が備わっている。
 アレン自身も少しずつではあるがディアドラにかけられた呪印の解除が進んでいる。しかしやはりかけられた本人ではないので解除の進みが著しく悪い。

「面白い面白い面白い面白い!! あなた面白いです。今から動けないように手足をちぎってしまいましょう。安心して下さい。頭や顔は綺麗な状態で残しますので。もちろん生きたまま動けないようにするので怖がる心配はありませんよ。」

 異常なテンション。先ほどと同じように無防備で距離を詰めるブルーノ。
 アレンが先に斬撃を振るう。
 先ほどと同じような光景だが今度はアレンの斬撃をミリ単位の本当に皮一枚のところでかわしていくブルーノ。いくらアレンのステータスが低いといってもほぼゼロ距離からの斬撃のラッシュに構えさえとらずかわしながらアレンの胸ぐらをつかみにかかる。
 横から黒い瘴気も殴りにかかるが、それすらも見えないようなスピードで後ろに飛びのき瞬時にまた元の場所に戻ることによってあたかもすり抜けたように見えるほどの加速的回避で触れる事すら叶わない状況だった。

 これも呪術の力だというのか。確かにアレンの連撃ではブルーノを捕らえることは難しいと思ってはいたがここまで触れられないというのは考えが甘かった。クラウスは目でとらえきれないブルーノのスピードにただ絶望を感じるしかなかった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

無属性魔法しか使えない少年冒険者!!

藤城満定
ファンタジー
「祝福の儀式」で授かった属性魔法は無属性魔法だった。無属性と書いてハズレや役立たずと読まれている属性魔法を極めて馬鹿にしてきた奴らの常識を覆して見返す「ざまあ」系ストーリー。  不定期投稿作品です。

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
『おぉ、勇者達よ! 良くぞ来てくれた‼︎』 見知らぬ城の中、床には魔法陣、王族の服装は中世の時代を感じさせる衣装… 俺こと不知火 朔夜(しらぬい さくや)は、クラスメートの4人と一緒に異世界に召喚された。 突然の事で戸惑うクラスメート達… だが俺はうんざりした顔で深い溜息を吐いた。 「またか…」 王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。 そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。 そして俺はというと…? 『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』 「それよりも不知火君は何を得たんだ?」 イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。 俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。 その場にいた者達は、俺の加護を見ると… 「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。 『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』 王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。 まぁ、その方が気楽で良い。 そして正義は、リーダーとして皆に言った。 「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」 正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。 「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」 「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」 「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」 「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」 「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」 「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」 「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」 俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。 「その…鎧と剣は?」 「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」 「今迄って…今回が2回目では無いのか?」 「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」 俺はうんざりしながら答えた。 そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。 いずれの世界も救って来た。 そして今度の世界は…? 6月22日 HOTランキングで6位になりました! 6月23日 HOTランキングで4位になりました! 昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°. 6月24日 HOTランキングで2位になりました! 皆様、応援有り難う御座いますm(_ _)m

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

どうやら俺は、魔王を倒した英雄の両親より強いらしい。~オリハルコンを斬ってくっつけたら試験無しで王立学園に入学、いろいろやらかすハメに

試運転中
ファンタジー
山を割るほどに剣を極めたおとん「ケン」と、ケガなど何でも治してしまうおかん「セイ」。 そんな二人に山で育てられた息子「ケイ」は、15歳の大人の仲間入りを機に、王都の学園へと入学する。 両親の素性すらも知らず、その血を受け継いだ自分が、どれほど常軌を逸しているかもわからず。 気心の知れた仲間と、困ったり楽しんだりする学園生活のはずが…… 主人公最強だけど、何かがおかしい!? ちょっぴり異色な異世界学園ファンタジー。

処理中です...