疲れた公爵令嬢はもう寝たい〜婚約破棄?……承認しましょうか〜

啄木鳥

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疲弊した令嬢

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疲れましたわ……眠い……ああ、寝たい…………………

カシャン!

ハッ!また寝かけていましたわね、私。今のは…ああ、ペンを落とした音ですか。いけませんわね、物は大切に扱わなければならないというのに…

はぁ…本当になんで私はこんなことをしなければならないのでしょう……


草木も眠る深夜、広大な公爵家の屋敷の中唯一明かりがついた部屋で一人大量の事務仕事をこなす令嬢――レイリアはため息を一つ吐き、その原因とやらをふり返った。



全てはあの怠惰で傲慢で我儘な王子のせいですわ。

私のお父様と王は個人的に仲がよかったものでして、第一王子と同時期にクレニアス公爵家のひとり娘として生まれた私は早々に婚約することが決まりました。

それにより、私の教育は大変厳しいものとなりました。いわゆる、王妃教育と言うやつです。王妃になるからにはきちんと勉学ができているのは当たり前、自国の行政、貴族の把握、他国の動向や、貿易の様子、宝飾品やらの目利き、そんなことも小さい頃から叩き込まれてきました。ああ、マナーや言葉遣いといったものも当然学んでおりますわ。

小さい頃の私は、苦しいけれどもきっと王子はもっと厳しいことをしているのだから、私もふさわしくなるため頑張らなければならない、そう思っていました。

ですが、五歳くらいの頃、私は初めてあの王子、アレン・フォール第一王子に会ったのです。

王子様ということできっと素晴らしい方なのだろうと夢を抱いていましたが、それは悲しい幻想でした。

確かに見た目は王子とだけあって大変美しく、また身なりも上等なものでした。ですが、王子様と言えるのは本当にただその外見だけ。態度は横柄で言葉遣いも荒く、とても私のような教育を受けているとは思えませんでした。
あとから分かりましたがそれらに加えて気に入らないことがあったらすぐ怒り、勉強が嫌いでいつも逃げ出しているようです。

その後私は家に帰ってから呆然と「あのような方が私の、婚約者…この国の、次期王…」と繰り返し呟いていたらしいです。
でもまだ五歳。きっと、もう少しすれば王子としての自覚を持って真面目に取り組んでくれるはず。そう思ってその時の私は将来に期待をすることにしました。

ですが、1年、2年と経っていきますが全くもって改善されません。私も会うたびに注意しましたが、全く聞く耳を持たずにうるさいと返される始末。途中からは私も他国へ行ったりさらに教育が厳しくなったりと忙しくなり相手するのに疲れ、心折れてしまいました。

そして、現在15歳にまで至ります。彼は本当に何も変わりませんでしたわ……

王子の教育係はなにをしていらっしゃったのでしょうか。本来はこういったことは婚約者ではなく教育係がなんとかするものですよ。まあ知っています。何度か代わられましたけど改善の余地は一向に見られず全員さじを投げてしまっていましたね。

未だに嫌なことからは全て逃げ、好き放題。体だけ無駄に大きくなっていらして止めることもままならない。さらに何を思い上がってらっしゃるのか自分は次期王だぞ!と至るところで権力を振りかざして思うがままに周りを振り回しています。こんなのが王子とは本当に世も末かと思いたくなりますわ。

まあ実のところを言いますと彼の2つ下に弟がいてその子は兄と違って勤勉で優秀なので、そちらが継がれるのだろうと噂になってますけどね。そのようなこともあって放って置かれているのですが、まあ知らぬは本人ばかり、と言うやつですわ。

それにしてもそうなったら、私の存在って何だったんでしょう……なることはできない王妃に向かって人生を潰さんまでに詰め込んできた王妃教育。大半が無駄になってしまいそうです。

私の将来本当に心配ですね。


でも、きっと彼が王にならないことが確定したのなら私のこれらの仕事も無くなってよく眠れるようになるのでしょうね。だって、この仕事は本来王太子夫妻二人でするものなのですから。


まあそれよりも、今はこの目の前の書類ですわ。私がこんなにも夜遅くまでしていることはお父様には秘密なのですから早く終わらせてしまわないと。


そう気持ちを切り替えてレイリアは事務仕事に没頭した。


    
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