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第一章、かくてあさひはスカウトされる
006.第一章完
無性愛者、Aセクシャル……それは、オレと対極に位置する存在だった。
「えっと、じゃあ渉さんは……」
「うん、恋人に性欲が湧かない。興味はあるし、愛しいとは感じるんだけどね」
どうすることもできないんだ、と渉さんは眉根を寄せて微笑する。
茶色い瞳に涙が浮かんでいるのを見て、気付いたときには渉さんを胸に抱いていた。
「オレは気にしないよ」
「皆、最初はそう言ってくれるんだ。でも……」
男女問わず、最後には性欲を求められる。
イカの怪人は、元恋人たちの行き場のない怒りが具現化したのだと、渉さんは語った。
「思い当たるのがそれしかなくて。だから……あのとき、もう恋人は作らないって決めたんだ」
オレの胸を押し、渉さんが顔を上げる。
至近距離で茶色い瞳と視線が重なった。
渉さんの長い睫毛が、目元に影を落とすのを見る。
「僕はあさひくんのことが好き。けど僕は、君に応えられない」
渉さんの目尻から涙が伝い落ちる。
オレはそれを唇で拭った。
あぁ、オレには渉さんしかいないと、確信しながら。
「渉さん、一緒だ。実はオレも、もう彼氏は作らないって決めてたんだ。オレの話も聞いてくれる?」
「……うん、聞きたい」
乳牛の怪人に遭遇する直前、オレは彼氏にフラれた。
その理由は、今までの元彼と同じだった。
〈あさひとのセックスは、身がもたない〉
激しいプレイをしてるわけじゃない。
けど彼氏たちは、感じ過ぎて……それが心臓への負担となった。
セックス後に救急車を呼んだのは、あれが二度目だった。次はない。
「だから彼氏は作らないって決めた。けど渉さんと過ごす時間は心地良くて……癒やされるんだ。渉さん、オレ、渉さんとセックスするつもりはないよ」
したいけど、挿入はできない。
それも渉さんが楽しめないなら、セックスなんていらない。
「幸か不幸か、怪人のおかげで、性欲は紛らわせられるし」
「あさひくん……いいの? 本当に僕で……」
涙ながらに尋ねる渉さんとおでこをくっつける。
「渉さんじゃなきゃ嫌だ。渉さんがいい。オレは性欲が強いし、渉さんにも欲情する。けどセックスは絶対にしない。……こんなオレでもいい?」
「ばか、僕には最高の条件だよ」
笑う渉さんがキラキラ輝いて見える。
「愛してる。キスはしてもいい?」
「うん、僕もスキンシップは好きだから」
薄い唇に自分のを合わせる。
それからオレの滾る熱が冷めるまで、オレと渉さんは抱き締め合った。
◆◆◆◆◆◆
「キャゥゥンッ♡♡♡」
尻尾を掴みながら、片足を上げさせて犬の怪人を犯す。
地域安全課の神宮さん曰く、怪人が人間の姿に近いのは、元が人の恨み辛みだかららしい。
性別が男なのは、オレの性癖が反映されているんじゃないかという。
これは、神宮さんにとってもはじめてのことで、黒縁眼鏡の奥にある目を丸くしていた。
まるで怪人が、オレに調伏されたがってるみたいだと。
ズコズコズコ。
「アキャッ♡ 奥、イイとこばっか♡ 当たって♡♡♡ アウ♡ アゥンッ♡ 人間の、硬いおちんぽ、しゅごィイイイ♡♡♡」
「おら、まだこれからだぞ」
グリュッ。
腰をグラインドさせ、前立腺を穿つ。
グッ、グッ、グッ。
短いストロークでそれを繰り返すと、犬の怪人は長い舌を出してアヘ顔になった。
「ンオォォオオオ♡ オウッ♡ オウッ♡ 脳みそトロけうゥウウウ♡♡♡」
泡を作りながら、怪人がヨダレを飛ばす。
快感が強烈だったのか、アンモニア臭が鼻をついた。
怪人の尖端から、カウパーではない黄色い液体が流れる。
「マジかよ、漏らしやがった」
それでも抽送はやめない。
怪人は、胸を上げて背を反らす。
「アウンンンッ♡ オシッコォォオ♡ 出ちゃうゥウウ♡ ン気持ちィイイイイ♡♡♡」
チョロチョロと、生温かい液体がオレの腹にもかかった。
けれど怪人が快感に身悶える姿に、下半身の熱は煽られる一方だ。
腰にも、より一層力が入る。
「アウッ♡ オッ♡ オッ♡ ピストン、しゅごい♡ おきゅ、ズンズン、つかれて♡ にんげんの、おちんぽで♡ いきゅ♡ いきゅゥウウウ♡♡♡」
流れた汗が目に入った。
律動を止めたくなくて、拭わないまま、欲望の熱に身を任す。
「アヘッ♡ アヘッ♡ なか、かたいので♡ ゴリゴリされるのォォオ♡ アヘッ♡ アッ♡ アッ♡ アウンンンーッ♡♡♡」
最後は遠吠えを上げながら、怪人は射精した。
オレも怪人の腰に抱き付くようにして、竿を脈動させる。
「うっ……ふ……」
短い息を吐き終えたときには、怪人の姿が消えていた。
今回も無事調伏できたようだ。
「お疲れ様」
「あ、ありがとう……」
横から差し出されたタオルを受け取る前に、自身をしまう。
普通なら引かれると思う怪人との行為も、渉さんは爽やかな笑顔で見届けてくれた。
というか。
「わざわざ見にこなくても……」
「ごめんね、興味があって。それに汗を流しながら頑張ってるあさひくんは、見ていて惚れ惚れするし」
渉さんは、無性愛者だから、オレの行為で性欲を覚えることはない。
けれど怪人という怪異と交わるオレに、知的好奇心が刺激されるようだった。
それでもこっちは、そういうプレイをしている気になる。
渉さんのサラサラな髪が揺れるのを見て、抱き締めたくなったところで、自分が臭いことに気付いた。
「オレ、報告がてらに地域安全課でシャワー浴びてくるけど、渉さんはどうする?」
「一緒に行って待ってる。神宮さんの話も聞きたいからね」
元々渉さんは妖怪とか、幽霊とかの話が好きらしく、神宮さんとはすっかり話し友達になっていた。
警察署とは違って、地域安全課の事務所は雰囲気がゆるーいから、それも一役買っているのかもしれない。
オレはジーパンで手の汗を拭うと、渉さんに向かって差し出す。
「じゃあ行こうか」
「うん」
戸惑いなく握られる手に笑みがこぼれる。
乳牛の怪人と遭遇したときは、勢いでいたしてしまったけど、今はあの出会いに感謝している。
だっておかげで、お互い罪悪感を抱かずに済む恋人と、巡り会えたんだから。
「あ、あさひくん」
「何?」
「ズボンにも怪人のオシッコがかかってるよ」
「うわぁああっ」
どうりで臭いわけだよっ!!!
慌てるオレを見て、渉さんがクスクス笑う。
その笑顔があまりに綺麗で、オレは渉さんに触れるだけのキスをした。
「えっと、じゃあ渉さんは……」
「うん、恋人に性欲が湧かない。興味はあるし、愛しいとは感じるんだけどね」
どうすることもできないんだ、と渉さんは眉根を寄せて微笑する。
茶色い瞳に涙が浮かんでいるのを見て、気付いたときには渉さんを胸に抱いていた。
「オレは気にしないよ」
「皆、最初はそう言ってくれるんだ。でも……」
男女問わず、最後には性欲を求められる。
イカの怪人は、元恋人たちの行き場のない怒りが具現化したのだと、渉さんは語った。
「思い当たるのがそれしかなくて。だから……あのとき、もう恋人は作らないって決めたんだ」
オレの胸を押し、渉さんが顔を上げる。
至近距離で茶色い瞳と視線が重なった。
渉さんの長い睫毛が、目元に影を落とすのを見る。
「僕はあさひくんのことが好き。けど僕は、君に応えられない」
渉さんの目尻から涙が伝い落ちる。
オレはそれを唇で拭った。
あぁ、オレには渉さんしかいないと、確信しながら。
「渉さん、一緒だ。実はオレも、もう彼氏は作らないって決めてたんだ。オレの話も聞いてくれる?」
「……うん、聞きたい」
乳牛の怪人に遭遇する直前、オレは彼氏にフラれた。
その理由は、今までの元彼と同じだった。
〈あさひとのセックスは、身がもたない〉
激しいプレイをしてるわけじゃない。
けど彼氏たちは、感じ過ぎて……それが心臓への負担となった。
セックス後に救急車を呼んだのは、あれが二度目だった。次はない。
「だから彼氏は作らないって決めた。けど渉さんと過ごす時間は心地良くて……癒やされるんだ。渉さん、オレ、渉さんとセックスするつもりはないよ」
したいけど、挿入はできない。
それも渉さんが楽しめないなら、セックスなんていらない。
「幸か不幸か、怪人のおかげで、性欲は紛らわせられるし」
「あさひくん……いいの? 本当に僕で……」
涙ながらに尋ねる渉さんとおでこをくっつける。
「渉さんじゃなきゃ嫌だ。渉さんがいい。オレは性欲が強いし、渉さんにも欲情する。けどセックスは絶対にしない。……こんなオレでもいい?」
「ばか、僕には最高の条件だよ」
笑う渉さんがキラキラ輝いて見える。
「愛してる。キスはしてもいい?」
「うん、僕もスキンシップは好きだから」
薄い唇に自分のを合わせる。
それからオレの滾る熱が冷めるまで、オレと渉さんは抱き締め合った。
◆◆◆◆◆◆
「キャゥゥンッ♡♡♡」
尻尾を掴みながら、片足を上げさせて犬の怪人を犯す。
地域安全課の神宮さん曰く、怪人が人間の姿に近いのは、元が人の恨み辛みだかららしい。
性別が男なのは、オレの性癖が反映されているんじゃないかという。
これは、神宮さんにとってもはじめてのことで、黒縁眼鏡の奥にある目を丸くしていた。
まるで怪人が、オレに調伏されたがってるみたいだと。
ズコズコズコ。
「アキャッ♡ 奥、イイとこばっか♡ 当たって♡♡♡ アウ♡ アゥンッ♡ 人間の、硬いおちんぽ、しゅごィイイイ♡♡♡」
「おら、まだこれからだぞ」
グリュッ。
腰をグラインドさせ、前立腺を穿つ。
グッ、グッ、グッ。
短いストロークでそれを繰り返すと、犬の怪人は長い舌を出してアヘ顔になった。
「ンオォォオオオ♡ オウッ♡ オウッ♡ 脳みそトロけうゥウウウ♡♡♡」
泡を作りながら、怪人がヨダレを飛ばす。
快感が強烈だったのか、アンモニア臭が鼻をついた。
怪人の尖端から、カウパーではない黄色い液体が流れる。
「マジかよ、漏らしやがった」
それでも抽送はやめない。
怪人は、胸を上げて背を反らす。
「アウンンンッ♡ オシッコォォオ♡ 出ちゃうゥウウ♡ ン気持ちィイイイイ♡♡♡」
チョロチョロと、生温かい液体がオレの腹にもかかった。
けれど怪人が快感に身悶える姿に、下半身の熱は煽られる一方だ。
腰にも、より一層力が入る。
「アウッ♡ オッ♡ オッ♡ ピストン、しゅごい♡ おきゅ、ズンズン、つかれて♡ にんげんの、おちんぽで♡ いきゅ♡ いきゅゥウウウ♡♡♡」
流れた汗が目に入った。
律動を止めたくなくて、拭わないまま、欲望の熱に身を任す。
「アヘッ♡ アヘッ♡ なか、かたいので♡ ゴリゴリされるのォォオ♡ アヘッ♡ アッ♡ アッ♡ アウンンンーッ♡♡♡」
最後は遠吠えを上げながら、怪人は射精した。
オレも怪人の腰に抱き付くようにして、竿を脈動させる。
「うっ……ふ……」
短い息を吐き終えたときには、怪人の姿が消えていた。
今回も無事調伏できたようだ。
「お疲れ様」
「あ、ありがとう……」
横から差し出されたタオルを受け取る前に、自身をしまう。
普通なら引かれると思う怪人との行為も、渉さんは爽やかな笑顔で見届けてくれた。
というか。
「わざわざ見にこなくても……」
「ごめんね、興味があって。それに汗を流しながら頑張ってるあさひくんは、見ていて惚れ惚れするし」
渉さんは、無性愛者だから、オレの行為で性欲を覚えることはない。
けれど怪人という怪異と交わるオレに、知的好奇心が刺激されるようだった。
それでもこっちは、そういうプレイをしている気になる。
渉さんのサラサラな髪が揺れるのを見て、抱き締めたくなったところで、自分が臭いことに気付いた。
「オレ、報告がてらに地域安全課でシャワー浴びてくるけど、渉さんはどうする?」
「一緒に行って待ってる。神宮さんの話も聞きたいからね」
元々渉さんは妖怪とか、幽霊とかの話が好きらしく、神宮さんとはすっかり話し友達になっていた。
警察署とは違って、地域安全課の事務所は雰囲気がゆるーいから、それも一役買っているのかもしれない。
オレはジーパンで手の汗を拭うと、渉さんに向かって差し出す。
「じゃあ行こうか」
「うん」
戸惑いなく握られる手に笑みがこぼれる。
乳牛の怪人と遭遇したときは、勢いでいたしてしまったけど、今はあの出会いに感謝している。
だっておかげで、お互い罪悪感を抱かずに済む恋人と、巡り会えたんだから。
「あ、あさひくん」
「何?」
「ズボンにも怪人のオシッコがかかってるよ」
「うわぁああっ」
どうりで臭いわけだよっ!!!
慌てるオレを見て、渉さんがクスクス笑う。
その笑顔があまりに綺麗で、オレは渉さんに触れるだけのキスをした。
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