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短い深緑の髪が項垂れている。
話がややこしくなりそうだから、タイムには会話していた少年と、その場に残ってもらった。
僕の視線に気付いたのか、エリックが顔を上げる。
目が合うと驚かれたけど、話したいのは伝わったようで、エリックは壁から背中を離すと姿勢を正した。
改めて、エリックの体格の良さを実感する。
彼は同い年の誰よりも背が高かった。
もう少しでエリックに辿り着く。
というのに。
こんなときに限って、邪魔が入った。
行く手を阻んだ子に見覚えはないけれど、背格好から同い年だと推測する。
「エリックには近付かせないぞ! 死神の子め!」
「仕返しにきたのか!」
相手は一人じゃなかった。
僕に反感を持つ子が集まっていたようで、四方から無遠慮な声が届く。
その数は、次第に多くなった。
「エリックは正しいおこないをしたんだ!」
「そうだ! 魔力がないクセに、偉そうな顔すんな!」
〈私も子どもの頃は、よく魔力の少なさを嘆いたものだ〉
ふいに父上の言葉が蘇った。
父上も、ずっと同じ悪口を言われていたんだろうか。
闇の化身にならないよう「怨」を封じるためと知らないまま。
そして事情を知ってしまえば、国を守るために我慢するしかない。
やりきれない話に頭が痛くなる。
けれど平静を保てたのは、無遠慮な子どもたちの奥で、エリックが慌てていたからだ。
子どもたちの声に混じって、待て、違う、といったエリックの制止が聞こえてくる。
彼にとっても、この事態は予期せぬものだったらしい。
エリックとなら、まだわかり合える。
その確信が、僕の心を落ち着かせてくれた。
「僕はエリックと話したいだけだ」
「うそつけ! そう言って、エリックを脅す気なんだ!」
「皆、お前がしたことは知ってるんだぞ!」
これは、あれだろうか。
ミアさんが言っていた通り、タイムとのことが曲解されているんだろうか。
高等学院の外では大人しいと聞いたけど、彼らは入学すらしていない。
兄や姉から聞いたことを、そのまま口にしているんだろうなとあたりをつける。
幼い。
貴族の生まれにしては、直情的でとても幼い行動だった。
けれど、もし彼らが兄姉に煽動されていたら話は別だ。
デビュタントしたばかりの子なら、無礼も許されると企てられたものだったら。
考え過ぎかな?
今はそれより現状をどうにかしないと。
幸い、味方もいる。
僕は深呼吸すると、彼らに問うた。
「真実はどこにある?」
普段より声が大きくなるよう意識する。
そして一人一人と目を合わせていった。
目が合った子から、口を閉じていく。
集団では強気な彼らも、個になった途端、弱気になった。
それでも彼らは正しいことをしているつもりだ。
なら僕も、正しさを証明しよう。
「真実は、彼にある」
僕に近づけないでいた唯一の味方、エリックに手を向ける。
周囲の視線が僕からエリックに移ると、彼はようやく人垣をかき分けて、僕の前に姿を現すことができた。
「自分は、ルーファス様と話がしたい」
「僕もだ」
ようやく言葉を交わて、ほっとする。
エリックも僕と気持ちが同じなのは、彼の目が語っていた。
けれど納得できない一人の少年が声を上げる。
「エリックは脅されてるんだ!」
「違う! ルーファス様は自分を脅してなどいない!」
すぐさま当人に否定された少年は、目を見開き、唇を震わせた。
話がややこしくなりそうだから、タイムには会話していた少年と、その場に残ってもらった。
僕の視線に気付いたのか、エリックが顔を上げる。
目が合うと驚かれたけど、話したいのは伝わったようで、エリックは壁から背中を離すと姿勢を正した。
改めて、エリックの体格の良さを実感する。
彼は同い年の誰よりも背が高かった。
もう少しでエリックに辿り着く。
というのに。
こんなときに限って、邪魔が入った。
行く手を阻んだ子に見覚えはないけれど、背格好から同い年だと推測する。
「エリックには近付かせないぞ! 死神の子め!」
「仕返しにきたのか!」
相手は一人じゃなかった。
僕に反感を持つ子が集まっていたようで、四方から無遠慮な声が届く。
その数は、次第に多くなった。
「エリックは正しいおこないをしたんだ!」
「そうだ! 魔力がないクセに、偉そうな顔すんな!」
〈私も子どもの頃は、よく魔力の少なさを嘆いたものだ〉
ふいに父上の言葉が蘇った。
父上も、ずっと同じ悪口を言われていたんだろうか。
闇の化身にならないよう「怨」を封じるためと知らないまま。
そして事情を知ってしまえば、国を守るために我慢するしかない。
やりきれない話に頭が痛くなる。
けれど平静を保てたのは、無遠慮な子どもたちの奥で、エリックが慌てていたからだ。
子どもたちの声に混じって、待て、違う、といったエリックの制止が聞こえてくる。
彼にとっても、この事態は予期せぬものだったらしい。
エリックとなら、まだわかり合える。
その確信が、僕の心を落ち着かせてくれた。
「僕はエリックと話したいだけだ」
「うそつけ! そう言って、エリックを脅す気なんだ!」
「皆、お前がしたことは知ってるんだぞ!」
これは、あれだろうか。
ミアさんが言っていた通り、タイムとのことが曲解されているんだろうか。
高等学院の外では大人しいと聞いたけど、彼らは入学すらしていない。
兄や姉から聞いたことを、そのまま口にしているんだろうなとあたりをつける。
幼い。
貴族の生まれにしては、直情的でとても幼い行動だった。
けれど、もし彼らが兄姉に煽動されていたら話は別だ。
デビュタントしたばかりの子なら、無礼も許されると企てられたものだったら。
考え過ぎかな?
今はそれより現状をどうにかしないと。
幸い、味方もいる。
僕は深呼吸すると、彼らに問うた。
「真実はどこにある?」
普段より声が大きくなるよう意識する。
そして一人一人と目を合わせていった。
目が合った子から、口を閉じていく。
集団では強気な彼らも、個になった途端、弱気になった。
それでも彼らは正しいことをしているつもりだ。
なら僕も、正しさを証明しよう。
「真実は、彼にある」
僕に近づけないでいた唯一の味方、エリックに手を向ける。
周囲の視線が僕からエリックに移ると、彼はようやく人垣をかき分けて、僕の前に姿を現すことができた。
「自分は、ルーファス様と話がしたい」
「僕もだ」
ようやく言葉を交わて、ほっとする。
エリックも僕と気持ちが同じなのは、彼の目が語っていた。
けれど納得できない一人の少年が声を上げる。
「エリックは脅されてるんだ!」
「違う! ルーファス様は自分を脅してなどいない!」
すぐさま当人に否定された少年は、目を見開き、唇を震わせた。
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