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悲劇の始まり
第十六話 駒姫編:駒姫の高校生活
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運命の文禄四年、そして令和へ――
令和7年8月18日
私が瞳を閉じた時、私は元の世界に戻れることが出来る。
それは条件が揃ったとき。その条件が何なのかは分かりません。
ですが、それが今ではないことだけは、何となく分かります。
神様は『私に何かをこの世界でさせようとしている』と思ったからです。
私にとって、この世界は始まったばかりです。
この世界の家族、澪、慎、慶と出会い、
駒凛様として私の新しい生活が始まったばかりです。
ですが今日は、昨日以上に憂鬱な朝です。
今日から、剣道部の練習が始まります。
昨日、練習をして駒凛様の体が自然と動いてくれることは分かりました。
ですが、今日も上手く行くとは限りません。
そして、澪がフォローしてくれるとは言え、
私は駒凛様として振舞えるかどうか不安です。
朝ごはんを食べた後、私は制服という衣装を着ました。
『かわいい』
この制服を着られることで、部活に行くのが少しは嬉しく思えました。
最初の試練は自転車です。
公園では一人で乗れるようになりましたが、
車という恐ろしいものが走り、歩いている人がいる中、
無事に高校へたどり着けますでしょうか?
『無事到着』しました。
私は不安症だったのですね。案外、すいすい行けてしまいました。
次の試練はお面を付けることです。
昨日、家で洗って、なんとか乾き、ファブリーズを振り掛けました。
臭くありませんように!
『爽やかな匂い』がしました。
ファブリーズ。元の世界に持って帰りたいです。
次は、私が駒凛様として振舞い、
剣道部の方々にバレずに過ごせるかどうかです。
剣道部員は男子が8名、女子が5名です。初対面の方々ばかりです。
映像や写真をみて、澪から全員の顔と名前、呼び方、挨拶は覚えています。
お願です。
昨日の様に駒凛様の体が反応してくれますように!
『反応してくれました』
ただ、話し方、立ち振る舞いのぎこちなさが伝わってしまい
2年生の先輩から冷やかされました。
「今日の駒凛、なんか新入部員みたいだな。」
「駒凛が入部してきた時より、全然、初々しいよ。」
「だよな、あの時は『私は駒凛よ!かかって来なさい!』って感じだったもんな。」
「そうそう、まさにクールビューティーだったよな。」
「休み中に、慎と何かあったのかぁ~」
「冷やかすのは止めろ、練習を始めるぞ!
駒凛、全国2位の実力を見せつけてやれ!」
「おっ!慎君、それは新主将としてかなぁ~?彼氏としてかなぁ~?」
「駒凛、慶を懲らしめてやれ!」
「えぇ?やだよ!ごめん!ごめん!駒凛、勘弁!」
「駒凛~、やっちゃえ!やっちゃえ~!」
「普段の私たちの敵をとって!」
慶をボコってやりました。
『楽しいです』
私が元の世界で習っていたお茶やお花は嫌いではありませんが、
私はひとりでした。
今は、慎や澪、慶を含めて同年代の方々に囲まれて、
楽しみながら剣道というお稽古をしています。
駒凛様はこんなにも自由で楽しい時間を過ごされていたのですね。
『羨ましい』
朝の不安をよそに、私は剣道部の練習を楽しんでいました。
先輩、後輩はありますが、それは身分の差とはまったく異なります。
友だちのように接することができます。
楽しい時間はとても早く過ぎ去ってしまいました。
ファミレスで慎と慶、澪と私の4人で昼食をとって、
午後から図書館で夏休みの宿題をします。
すみません。嘘です。澪の宿題を写させてもらいます
ファミレスのトイレの鏡で自分の顔を見た時です。
私の顔は穏やかで、和やかで、幸せな表情をしていました。
席に戻ると、また慶から冷やかされました。
「駒凛ってインターハイから帰って来た時は、すっげぇ暗い顔していたけど
日に日に明るくなってるよな~、以前よりも明るくなったかも
クールビューティーじゃなくて、ホットビューティーってか?」
「あんたねぇ、また駒凛にボコられたいの?」
でも、私は嬉しかったです。
慎もにこやかに微笑んでいました。
確かに、この自由な世界に来てから、私は変わってきている。
変化している自分が嬉しい。
さて、次は図書館で夏休みの宿題を写します。
本が一杯あって、読書や勉強をするための机と椅子がたくさんあり、
同年代の方々が多く勉強をしていました。
私たちも早速、お勉強を開始です。
宿題テキストを開きましたが、やはり何が書いてあるのか意味不明です。
大人しく澪から写させてもらいます。
するとやはり、あの男が茶化してきました。
「駒凛、きったね~!写してんじゃん!自分でやりなよ~学年トップだろ!」
「慶、お前が言えるか?俺のを写したのは誰だよ!」
「そうだよ、慶。あんたはただサボっていただけで、
駒凛はインターハイで忙しかったんだから!
普段は私が教えてもらって、見せてもらってるんだから
お返しだよ!」
「すんません。。。」
「でも、慎も駒凛もすげーよな
剣道は全国トップレベル。成績は学年トップ。美男美女カップルだしな
実は『ど変態』とか『どけち』とか、なんか一つくらい欠点が無いと
神様は不公平だよ。。。」
「慶、いじけんなよ。お前には澪がいるじゃんか!」
「そうだよ慶」
「ありがたや~、澪様!」
「澪。なんで慶と付き合ってんの?」
「う~ん、慶は幼馴染で親同士も仲がよくて、
小さい頃から、ずぅ~と一緒だったからね。
こいつ危なっかしくて、私がいないとダメなんだよね。」
照れて赤くなった慶が言いました。
「もう、いいから勉強しようぜ」
なぜか、慎はバツが悪そうな表情をしていました。
あとで分かることですが、
慎は中学3年の頃に澪から告白され、断ったそうです。
澪のお陰で夏休みの宿題も終わり、
これで駒凛様に迷惑を掛ける心配はありません。
次の試練は2学期が始まる高校の授業です。
剣道部以上に見知らぬ人々に囲まれ、何も分からない授業を受けます。
でも、制服を着て自転車で学校に行って、授業のあとは剣道部の練習です。
『楽しみです』
こうして、自由で楽しく、キラキラした私の高校生活が始まりました。
令和7年8月18日
私が瞳を閉じた時、私は元の世界に戻れることが出来る。
それは条件が揃ったとき。その条件が何なのかは分かりません。
ですが、それが今ではないことだけは、何となく分かります。
神様は『私に何かをこの世界でさせようとしている』と思ったからです。
私にとって、この世界は始まったばかりです。
この世界の家族、澪、慎、慶と出会い、
駒凛様として私の新しい生活が始まったばかりです。
ですが今日は、昨日以上に憂鬱な朝です。
今日から、剣道部の練習が始まります。
昨日、練習をして駒凛様の体が自然と動いてくれることは分かりました。
ですが、今日も上手く行くとは限りません。
そして、澪がフォローしてくれるとは言え、
私は駒凛様として振舞えるかどうか不安です。
朝ごはんを食べた後、私は制服という衣装を着ました。
『かわいい』
この制服を着られることで、部活に行くのが少しは嬉しく思えました。
最初の試練は自転車です。
公園では一人で乗れるようになりましたが、
車という恐ろしいものが走り、歩いている人がいる中、
無事に高校へたどり着けますでしょうか?
『無事到着』しました。
私は不安症だったのですね。案外、すいすい行けてしまいました。
次の試練はお面を付けることです。
昨日、家で洗って、なんとか乾き、ファブリーズを振り掛けました。
臭くありませんように!
『爽やかな匂い』がしました。
ファブリーズ。元の世界に持って帰りたいです。
次は、私が駒凛様として振舞い、
剣道部の方々にバレずに過ごせるかどうかです。
剣道部員は男子が8名、女子が5名です。初対面の方々ばかりです。
映像や写真をみて、澪から全員の顔と名前、呼び方、挨拶は覚えています。
お願です。
昨日の様に駒凛様の体が反応してくれますように!
『反応してくれました』
ただ、話し方、立ち振る舞いのぎこちなさが伝わってしまい
2年生の先輩から冷やかされました。
「今日の駒凛、なんか新入部員みたいだな。」
「駒凛が入部してきた時より、全然、初々しいよ。」
「だよな、あの時は『私は駒凛よ!かかって来なさい!』って感じだったもんな。」
「そうそう、まさにクールビューティーだったよな。」
「休み中に、慎と何かあったのかぁ~」
「冷やかすのは止めろ、練習を始めるぞ!
駒凛、全国2位の実力を見せつけてやれ!」
「おっ!慎君、それは新主将としてかなぁ~?彼氏としてかなぁ~?」
「駒凛、慶を懲らしめてやれ!」
「えぇ?やだよ!ごめん!ごめん!駒凛、勘弁!」
「駒凛~、やっちゃえ!やっちゃえ~!」
「普段の私たちの敵をとって!」
慶をボコってやりました。
『楽しいです』
私が元の世界で習っていたお茶やお花は嫌いではありませんが、
私はひとりでした。
今は、慎や澪、慶を含めて同年代の方々に囲まれて、
楽しみながら剣道というお稽古をしています。
駒凛様はこんなにも自由で楽しい時間を過ごされていたのですね。
『羨ましい』
朝の不安をよそに、私は剣道部の練習を楽しんでいました。
先輩、後輩はありますが、それは身分の差とはまったく異なります。
友だちのように接することができます。
楽しい時間はとても早く過ぎ去ってしまいました。
ファミレスで慎と慶、澪と私の4人で昼食をとって、
午後から図書館で夏休みの宿題をします。
すみません。嘘です。澪の宿題を写させてもらいます
ファミレスのトイレの鏡で自分の顔を見た時です。
私の顔は穏やかで、和やかで、幸せな表情をしていました。
席に戻ると、また慶から冷やかされました。
「駒凛ってインターハイから帰って来た時は、すっげぇ暗い顔していたけど
日に日に明るくなってるよな~、以前よりも明るくなったかも
クールビューティーじゃなくて、ホットビューティーってか?」
「あんたねぇ、また駒凛にボコられたいの?」
でも、私は嬉しかったです。
慎もにこやかに微笑んでいました。
確かに、この自由な世界に来てから、私は変わってきている。
変化している自分が嬉しい。
さて、次は図書館で夏休みの宿題を写します。
本が一杯あって、読書や勉強をするための机と椅子がたくさんあり、
同年代の方々が多く勉強をしていました。
私たちも早速、お勉強を開始です。
宿題テキストを開きましたが、やはり何が書いてあるのか意味不明です。
大人しく澪から写させてもらいます。
するとやはり、あの男が茶化してきました。
「駒凛、きったね~!写してんじゃん!自分でやりなよ~学年トップだろ!」
「慶、お前が言えるか?俺のを写したのは誰だよ!」
「そうだよ、慶。あんたはただサボっていただけで、
駒凛はインターハイで忙しかったんだから!
普段は私が教えてもらって、見せてもらってるんだから
お返しだよ!」
「すんません。。。」
「でも、慎も駒凛もすげーよな
剣道は全国トップレベル。成績は学年トップ。美男美女カップルだしな
実は『ど変態』とか『どけち』とか、なんか一つくらい欠点が無いと
神様は不公平だよ。。。」
「慶、いじけんなよ。お前には澪がいるじゃんか!」
「そうだよ慶」
「ありがたや~、澪様!」
「澪。なんで慶と付き合ってんの?」
「う~ん、慶は幼馴染で親同士も仲がよくて、
小さい頃から、ずぅ~と一緒だったからね。
こいつ危なっかしくて、私がいないとダメなんだよね。」
照れて赤くなった慶が言いました。
「もう、いいから勉強しようぜ」
なぜか、慎はバツが悪そうな表情をしていました。
あとで分かることですが、
慎は中学3年の頃に澪から告白され、断ったそうです。
澪のお陰で夏休みの宿題も終わり、
これで駒凛様に迷惑を掛ける心配はありません。
次の試練は2学期が始まる高校の授業です。
剣道部以上に見知らぬ人々に囲まれ、何も分からない授業を受けます。
でも、制服を着て自転車で学校に行って、授業のあとは剣道部の練習です。
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