8 / 17
第一章 忍び寄る影
7話 研修会初日 朝 その一
しおりを挟む
四月十三日。
忠長は風紀委員長の呼び出しで集合時刻よりも早くに正門前駅に集まっていた。
「はい、皆、おはよう!」
「「「おはようございます!」」」
「うんうん、元気がいいね! それじゃあ、簡潔に用件を話すと、風紀委員──特に罰員はこの無線機を常に携帯してもらいます。なので、今からその説明をするね!」
虹海はそう言いながら、人数分の説明書とハンディータイプ無線機を渡していく。
「そこの説明書に書いてあるのが君たちの呼出符号ね。他の局の呼出符号も載ってるから確認しておいてね。因みに、私はCOだからね。……まぁ、説明書を読めば大体わかると思うけど、無線内容は絶対に漏らしたらだめだからね。……と、そろそろ始まるかな。みんな、無線機の電源を入れて、ダイアルを回して、えーと、風紀部はチャンネル六番。罰員は九番ね」
その言葉通り、忠長と雫は慣れた手つきで無線機を設定していく。
「皆、準備できた?」
各々頷く一年生たち。そんな彼らを後目に、虹海は「これから無線機の確認が行われるから、私の言葉をよく聞いといてね」と言う。
ピー↑ロー↓、という注意喚起音が鳴らされ、梓紗の声が聞こえてくる。
『皆さん、おはようございます。風紀委員各局、此方は風紀委員本部。只今より、定時通話試験を行います。只今試験中。本日は晴天也、本日は晴天也、本日は晴天也。此方は風紀委員本部。風紀委員本部からCO、感明ありますか? どうぞ』
「COから風紀委員本部、感明良好だよ、おはよう。どうぞ」
『CO、風紀委員本部、感明良好、了解。おはようございます。続いてCP1、感明ありますか? どうぞ』
『CP1から風紀委員本部、感明良好。どうぞ』
『CP1、風紀委員本部、感明良好、了解。続いてPE1、感明ありますか? どうぞ』
『PE1から風紀委員本部、感明良好やで』
段々と無線機確認の順番が近付いてくる。
風紀部の一年、コールサインで言えばPE18にあたる生徒の番が回ってきた。
『──続いて、PE18、感明ありますか? どうぞ』
「えーっと」
『風紀委員本部からPE18、感明ありますか? どうぞ』
「えっとね、ここを押しながらここに向かって喋るの」
虹海が手を添え、男子生徒の口元へ無線機を持っていく。
「えっと、PE18から風紀委員本部、感明良好です。どうぞ」
『PE18、風紀委員本部、感明良好、了解。続いてPE19、感明ありますか? どうぞ』
忠長はこの間、説明書に書かれてあったコールサインから指揮系統を把握する。
纏めると、CO──つまり、委員長である虹海が現場で指揮を執り、その次に風紀委員本部が情報を統合し、そしてCPが風紀委員本部の統合した情報を基に自身の担当する局、PEやPSへ指示を出す、といった運用を取っているようだ。そして、緊急の対応をする必要がある場合は、CPの無線に割り込んで風紀委員本部が指示を出せるようだ。
余談だが、COはCommanding Officer、CPはCommanding Post、PEはPatrol Environment、PSはPatrol Soulの略だ。
なぜ風紀委員は、人員を表すPersonnelではなく、Soulを使っているのかと言えば、単純にPPという連続した同音語は聴き取り難かったからである。無線の状況によれば、PPがPEに聴こえたりする問題を解決するために、わざとSoulを使うことになったのだった。
忠長は、それを回避するためにフォネティックコードがあるのでは……? と、考えたが、ツッコんだら負けな気がしたので控えた。
『続いてPS17、感明ありますか? どうぞ』
忠長の番がやってきた。この手の通話試験は自衛隊でも頻繁に行っているので慣れたものだ。他の生徒のように、言葉に詰まったり、操作方法が分からなかったりなどといったことはなく、難なく終わらせる。
「PS17から風紀委員本部、感明良好。おはようございます。どうぞ」
『PS17、風紀委員本部、感明良好、了解。おはようございます。続いて、PS18、感明ありますか? どうぞ』
「PS18から風紀委員本部。感明良好。おはようございます。どうぞ」
『PS18、風紀委員本部、感明良好、了解。おはようございます。全局からの感明良好。以上、PS18の終話を以て通話試験を終了する。以上、風紀委員本部』
雫が返答したところで通話試験が終了した。
「と、これを週一回、本来は日曜にやるんだけど、今日は特別。基本的には授業中にもつけておいてね。今日は私も同行するから、よろしくね♪ それじゃあ、あっちで先生たちが待ってるから、解散!」
その言葉と同時に立ち上がり、各々の担任のところへと歩いていく。
忠長と雫も担任の下に行こうとすると、虹海に止められる。
「忠長君と雫ちゃん、君たちには私の護衛をしてもらおうと思います」
「……それに異存はないのですが、市内観光などはどうすれば」
「それは普通に参加してもらっていいよ。護衛をしてほしいのはオリエンテーションの時だけね」
「了解しました」
「ん。私も」
「二人とも、ありがとね!」
虹海と別れ、二人並んで歩くのであった。
……美少女を連れ歩いていた忠長に、同じクラスの男子からのヘイトが集まったのは言うまでもなかった。
忠長は風紀委員長の呼び出しで集合時刻よりも早くに正門前駅に集まっていた。
「はい、皆、おはよう!」
「「「おはようございます!」」」
「うんうん、元気がいいね! それじゃあ、簡潔に用件を話すと、風紀委員──特に罰員はこの無線機を常に携帯してもらいます。なので、今からその説明をするね!」
虹海はそう言いながら、人数分の説明書とハンディータイプ無線機を渡していく。
「そこの説明書に書いてあるのが君たちの呼出符号ね。他の局の呼出符号も載ってるから確認しておいてね。因みに、私はCOだからね。……まぁ、説明書を読めば大体わかると思うけど、無線内容は絶対に漏らしたらだめだからね。……と、そろそろ始まるかな。みんな、無線機の電源を入れて、ダイアルを回して、えーと、風紀部はチャンネル六番。罰員は九番ね」
その言葉通り、忠長と雫は慣れた手つきで無線機を設定していく。
「皆、準備できた?」
各々頷く一年生たち。そんな彼らを後目に、虹海は「これから無線機の確認が行われるから、私の言葉をよく聞いといてね」と言う。
ピー↑ロー↓、という注意喚起音が鳴らされ、梓紗の声が聞こえてくる。
『皆さん、おはようございます。風紀委員各局、此方は風紀委員本部。只今より、定時通話試験を行います。只今試験中。本日は晴天也、本日は晴天也、本日は晴天也。此方は風紀委員本部。風紀委員本部からCO、感明ありますか? どうぞ』
「COから風紀委員本部、感明良好だよ、おはよう。どうぞ」
『CO、風紀委員本部、感明良好、了解。おはようございます。続いてCP1、感明ありますか? どうぞ』
『CP1から風紀委員本部、感明良好。どうぞ』
『CP1、風紀委員本部、感明良好、了解。続いてPE1、感明ありますか? どうぞ』
『PE1から風紀委員本部、感明良好やで』
段々と無線機確認の順番が近付いてくる。
風紀部の一年、コールサインで言えばPE18にあたる生徒の番が回ってきた。
『──続いて、PE18、感明ありますか? どうぞ』
「えーっと」
『風紀委員本部からPE18、感明ありますか? どうぞ』
「えっとね、ここを押しながらここに向かって喋るの」
虹海が手を添え、男子生徒の口元へ無線機を持っていく。
「えっと、PE18から風紀委員本部、感明良好です。どうぞ」
『PE18、風紀委員本部、感明良好、了解。続いてPE19、感明ありますか? どうぞ』
忠長はこの間、説明書に書かれてあったコールサインから指揮系統を把握する。
纏めると、CO──つまり、委員長である虹海が現場で指揮を執り、その次に風紀委員本部が情報を統合し、そしてCPが風紀委員本部の統合した情報を基に自身の担当する局、PEやPSへ指示を出す、といった運用を取っているようだ。そして、緊急の対応をする必要がある場合は、CPの無線に割り込んで風紀委員本部が指示を出せるようだ。
余談だが、COはCommanding Officer、CPはCommanding Post、PEはPatrol Environment、PSはPatrol Soulの略だ。
なぜ風紀委員は、人員を表すPersonnelではなく、Soulを使っているのかと言えば、単純にPPという連続した同音語は聴き取り難かったからである。無線の状況によれば、PPがPEに聴こえたりする問題を解決するために、わざとSoulを使うことになったのだった。
忠長は、それを回避するためにフォネティックコードがあるのでは……? と、考えたが、ツッコんだら負けな気がしたので控えた。
『続いてPS17、感明ありますか? どうぞ』
忠長の番がやってきた。この手の通話試験は自衛隊でも頻繁に行っているので慣れたものだ。他の生徒のように、言葉に詰まったり、操作方法が分からなかったりなどといったことはなく、難なく終わらせる。
「PS17から風紀委員本部、感明良好。おはようございます。どうぞ」
『PS17、風紀委員本部、感明良好、了解。おはようございます。続いて、PS18、感明ありますか? どうぞ』
「PS18から風紀委員本部。感明良好。おはようございます。どうぞ」
『PS18、風紀委員本部、感明良好、了解。おはようございます。全局からの感明良好。以上、PS18の終話を以て通話試験を終了する。以上、風紀委員本部』
雫が返答したところで通話試験が終了した。
「と、これを週一回、本来は日曜にやるんだけど、今日は特別。基本的には授業中にもつけておいてね。今日は私も同行するから、よろしくね♪ それじゃあ、あっちで先生たちが待ってるから、解散!」
その言葉と同時に立ち上がり、各々の担任のところへと歩いていく。
忠長と雫も担任の下に行こうとすると、虹海に止められる。
「忠長君と雫ちゃん、君たちには私の護衛をしてもらおうと思います」
「……それに異存はないのですが、市内観光などはどうすれば」
「それは普通に参加してもらっていいよ。護衛をしてほしいのはオリエンテーションの時だけね」
「了解しました」
「ん。私も」
「二人とも、ありがとね!」
虹海と別れ、二人並んで歩くのであった。
……美少女を連れ歩いていた忠長に、同じクラスの男子からのヘイトが集まったのは言うまでもなかった。
0
あなたにおすすめの小説
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
恋い焦がれて
さとう涼
恋愛
小学校時代の担任教諭・佐野に七年ぶりに再会し、話の流れで佐野の恋人へのエンゲージリングを選ぶために一緒にジュエリーショップに行くことになってしまった二十歳の女子大学生・輝。
最初はそんなつもりはなかったのに、次第に佐野を意識してしまうようになり、自分でも困惑してしまう。
必死に自分の想いを打ち消そうとする輝。
だけど佐野も恋人との関係に悩んでいるようで、複雑な想いを抱え続けることになる。
そんな輝を見守る(ちょっかいをかける?)バイト先の店長。
さらに佐野の恋人は意外な人物で、輝は大混乱。
※ドロドロではなく純愛系を目指していますが、ビターテイストなお話です
※理想的で格好いいヒーローではありません(…すみません)
※調べながら執筆をしているのですが、無知なところも多々あるので、間違っているところがありましたら教えてください。ツイッターでも受け付けています。
https://twitter.com/SATORYO_HOME
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる