異世界に再召喚されたら人族よりも魔族の方がマトモでした

月夜桜

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第9話 共有知覚? 何それ? 美味しいんですか?( *¯ ꒳¯*)

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「楓! 魔力は俺から引き出して・・・・・いい! 存分に暴れてやれ!」
「ん!」

 以前に交わした契約に基づいて、楓は際限なく魔力を祐希から引き出していく。
 通常、身体強化魔術を使用するには強化出力に応じて継続的に魔力を消費しなければならない。
 つまり、燃費がかなり悪い魔術なのである。
 この欠点を上限なく魔力を生み出せる祐希が補うことによって、楓の継戦能力が向上し、分担して敵を倒し易くなっている。

「……《オーバーロード》」

 祐希がそう呟いた瞬間、周囲の魔素濃度が急激に低下する。

「《シルフ!》か~ら~の~《どっせぇぇぇえぇぇぇいっ!!》」

 楓が風を纏いながら、重量を数百倍にまで増やした【潰すちゃん八号】を〝メルのような何か〟に向かって振り下ろす。
 しかし、ソレは触手を伸ばして受け止めてしまう。

「!? 《転移!》」

 視界の端に別の触手が迫っている事を確認した楓は緊急避難的に武器から手を離して短距離転移し、回避する。

「祐希君、あいつ、潰れないんだけど」
「表面装甲どうなってるんだよ。準備が出来た。俺も行く」

 そう答えた瞬間、祐希を中心として魔力の奔流が発生する。

 【魔力核融合】──祐希が無尽蔵に魔力を生み出せる秘訣であり、彼が人を辞めていることの証左でもある秘術。
 前回の召喚時、愛する楓が生き残る為ならばと【霊体設計図セフィラマップ】を改造して作成した人体魔術兵器である。

「!」

 伸びてきた触手を回避すると同時に、魔力を纏わせた剣で触手を叩き切る。
 切った傍から再生しているのを確認すると、舌打ちをしながら策を考え始める。

「取り敢えず、まずは楓の武器だな。《錬成》」

 空中に出現した円形状の術式から【潰すちゃん八号】と同じ形のハンマーが出現し、楓が飛び付くように持ち手を掴み取る。

「ん。君は今日から【潰すちゃん九号】」

 満足そうに肩に担ぎ、【命名】を施す。

「さて。桑野、戦えるか?」
「えっ」
「戦えないのならいい。元々、ゆっくりと戦闘に慣らしていくつもりだったからな。……あまり使いたくないが……」

 小さく言葉を零し、身体の内側へと意識を向ける。魔力の変換器官よりも更に内側。
 前回の召喚時に、女神に施された神の力の一部を引き出す器官。
 ここ数年、彼の容姿が一切変わっていない原因である器官。
 そこから、神力を引き出し、魔力と混ぜて剣に纏わせる。

「祐希君、大丈夫?」
「ああ、問題ない。楓も大丈夫か? 混ざってたりしないか?」
「ん。ぶい」
「楓は上から。俺は隙をついて後ろからこいつを叩き込む」

 ゆっくりと顔の横に剣を構え、相手の動きに集中する。
 常に繋がっている・・・・・・楓の動きと思考をトレース。完全再現した上でタイミングを合わせる。
 彼女は短距離転移を繰り返し、〝メルのような何か〟の攻撃を避けつつ隙を探っている。
 それに合わせて、短距離転移で敵を撹乱するように近付いて攻撃したらフェイントを入れたり、離れたりする。

「! 《どっせぇぇぇぇぇぇいっ!!》」

 楓が跳ね上がったと同時に、祐希は己が存在する位相から移動し、存在感を完全に消失。
 短距離転移で敵の後ろを取り、先程からチラチラと見えていた核のような物に対して剣を突き刺した。

「《神威・開放》」

 何者も抗えない神の光が〝メルのような何か〟を蝕んでいく。

「女神の御名に──死に晒せ、化け物」

 辺りを極光が包み込み──

 ☆★☆★☆

「チッ。共有知覚を持っていたか。囲まれてるな? 桑野、こっちに寄れ」
「ん。流石に今の相手をこれだけとなると……」

 どうする……あいつを使えば戦えるが……桑野に見せる訳には──

「ご主人!」
「ご主人様!」
「「耳を塞ぎや!(ぐのじゃ)!」」
「!? 楓! 桑野! 耳を塞げ!!!! 死ぬぞ!!」

 遮音結界と精神防御結界で俺達を包み込み、月乃達の攻撃で死なないように対策する。

「「《我ら妖狐の姫が冀い奉る・破滅の歌よ・我らが声に応えよ・其の者に終焉を与え給え》」」

 妖狐の秘術が完成した瞬間、俺達の周りを囲っていた不定形の異形の反応が消えた。
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