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精霊の使い魔 編

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「君が、此処に居ると。 ビルの解体が出来なくて困るんだ。

僕としても、出来るだけ穏便に済ませたいのだけど。」

「そう言われてもねぇ・・・。」

困ったような表情になる女性の霊。

「僕の能力ちからで、無理やり成仏させる事もできるけど?」

「う~ん。」

悩む女性の霊。

「あなた、変わってるわね? 私の様な物が、貴方の側には一杯いる。」

どうやら、女性の霊には。

俺の周囲に居る、下級精霊たちの存在が見えるようだ。

「ちょっと訳アリで、僕は精霊たちと仲良くなってね。

その、お陰で。 こうして、君のような存在と会話が出来るようになったんだ。」

「そう。」

「で。 どうする?」

「ん~。 自分で成仏出来ないし。

何が未練で成仏できないのかも判らない。

かと言って、貴方に無理やり成仏させられるのも何か嫌だし・・・。

どうしたら良いと思います?」

質問してるのに、質問で返されちゃったよ。

「大体。 なんで、私は死んじゃったの?」

「さあ? 俺も、依頼を受けて来ただけだし。」

微妙な空気が漂う。

「・・・・・・。」

「・・・・・・。」

お互いが無言のまま、数十秒の時が流れる。

「えっ! そんな事が出来るんですか!?」

唐突に、女性の霊が声を上げる。

「どうかしたのか?」

「あっ! はい! 実はですね。

その貴方の側に居る緑の子の話だと。」

緑の子? あぁ、風の下級精霊のシルフだな。

「貴方に捕り憑けば問題ないって言われたんです。」

「は?」

「何でも、私の存在って、精霊寄りに近い存在らしく。

地に縛られるのでは無くて。

貴方に縛られれば、私は貴方に憑いて行く事が出来るって。」

「そうなの?」

俺の側に浮いている、シルフに尋ねると頷いて肯定している。

「どうする?」

「ご迷惑でなければ、捕り憑かせて貰っても良いでしょうか?」

精霊たちが納得しているのなら。 俺に害意は無いだろう。

何せ、精霊たちは。 俺に害意が有る者に対しては容赦しない。

俺に害が在る=精霊の、王と女王にも害が及ぶ。と、言う思考が精霊たち全員の思考と言っても良い。

もし仮に。 捕り憑いている途中で、俺に害意が芽生えた瞬間。

精霊たちは容赦なく、この女性の霊を除霊するだろう。

いや、除霊などと言う優しさなどない。 駆除だ。

「俺は、別に構わないが。」

「それでは、遠慮なく。」

女性の霊が、地の縛りから解かれて。 俺への縛りに。

「なんか、落ち着かねえ・・・。」

何せ、等身大の女性の霊が、俺の横に居るのだ。

「なら。 これでは?」

そう言うが否や。 女性の霊が小さくなる。

その大きさは、まるで下級精霊たちの様に、5センチほどの大きさに。

「うん。まぁ、これなら?」

「それでは、宜しくお願いします。 ええと・・・。」

七五三しのしめだ。 漢数字の七五三と書いて七五三しのしめ

七五三しのしめ 芳乃よしの。」

「宜しくお願いします。 七五三しのしめさん。

わたしは・・・・。」

女性の霊が、言葉を詰まらせる。

「名前を、思いだせないのですが・・・。」

「そっか・・・。」

またも、沈黙の数十秒が。

「名前。 付けてくれませんか?」

「良いのか?」

「余り酷いのは辞めてくださいね。」

にこりと、笑顔を向ける女性の霊。

「んじゃ、女性の霊なんで。 レイさんで。」

「安直ですねぇ・・・・。」

「嫌なら、自分で考えてください。」

「いえ。 レイで良いです。」

「んじゃ、宜しく。レイさん。」

「宜しくです。 七五三しのしめさん。」

こうして、俺は。無事に、幽霊のレイさんに捕り憑かれた。
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