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チュートリアル:4

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ピピッ。っと、短い音が鳴り。前面のメインスクリーンに赤い色のマーカーが1つ表示される。



『敵機を発見しました。機影1。距離5000。

攻撃可能距離まで、20秒。』

機械的な、男性の声が機体内から聞こえた。


(今のは?)

反射的に、コクピット内を見渡す。


『説明は、後にさせて頂きます。

まずは戦闘態勢を取ってください。接触まで、8秒。』


次の瞬間、メインスクリーンに敵機が視認できる距離に入り、ターゲットロック表示が映し出された。

ビービー!

敵機にロックオンされたアラートが鳴り敵影が視認できる。

円盤型の飛行ユニットだ。

俺は、回避運動を優先させる。

機体は右に曲がり敵とすれ違う。


『マスター悠夜。

今の場合は、イーグル本体の基本武装。ブレードウィングで切り結めば撃墜可能でした。』

今度は、今の回避運動へのダメだし付きだ。



「お前は?」


『私はCPUメインコンピューターAI人工知能です。

マスター悠夜の、チュートリアル中と、チュートリアル終了時間から120時間はサポートとして、戦い方の助言をすることを許されています。

敵機が再度、こちらに向かってきます。距離600。』


CPUメインコンピューターの声を聴きながら、俺は右足のメインエンジンのペダルを一気に戻す。

普通ならメインエンジンが止まるのだから、機体は重力に従い落ちていく筈なのだけど。

右足のペダルを、一気に戻した瞬間に左足のペダルを限界まで踏み込み、左手の操縦桿を左に倒す。

そして、確認をする間もなく。右足のペダルを踏みこむと同時に、左足のペダルから足を離す。

その結果、機体は少し落ちるだけで、180回頭する。はずだったのだが・・・・。


『15度ほど、行き過ぎましたね。』

それはそうだろう・・・・、思い付きでやってみたんだ。

逆に、ここまで上手く出来た事に、やった本人が一番驚いてるよ・・・。


「初めてやったんだ。 上出来だろう?」

などと、CPUメインコンピューターと漫才もどきをしている間に、敵機との距離が縮まり、お互いの機体がターゲットロックする。

警報アラートが鳴った瞬間に、回避運動を取りながらも機関砲を打ち出す。

当然、回避運動を優先したので、敵機へのターゲットロックは外れており、こちらに向かってくる敵機に機関砲を打ち出すが当たらない。

機関砲は全弾ハズレ。


だが、敵機への牽制は果たしたようで。

敵機は大きく回避運動は取れずに、今度は敵機と擦れ違いざまにウィングブレードを当てることに成功する。


『敵機撃墜。残り3機でミッションクリアです。』

「いくつか、質問があるんだけど。」
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