【梅雨が招いた雲の下の花鈴】

充ちる

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捨てた理由。

2

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一一一一18年前一一一一。

「やっと産まれるのね」

浅海は和之と一緒に感動を分かちあっていた。

「あぁ、よく頑張ったな……あともう少し……最後のひと踏ん張りをしたらかりんが……俺たちの子供が産まれてくるんだ!」

出産予定日は3日後の5月3日。

だがこの時、和之はある計画を企てていた。

最近では稀であるが、昔はよくあったこと。

赤ちゃんを入れ替える……。

同じ病院に同じ日に出産予定日を待っているお母さんがもう1人。叶だ。

叶も既婚者で、子供も授かり、幸せな家庭を築こうとしていた。

だが、叶の旦那は4ヶ月前、仕事中の事故で亡くなった。

そんな叶に浅海の見舞いがてら声をかけていたのが和之だった。

浅海も叶も出産が近づくにつれ体調を悪くし、入院していた。

叶と話すようになり、お互い心が惹かれ合い、浅海の事を愛してはいるが、叶のことも愛してしまった。

それは徐々に叶だけへのものとなり、子供が生まれる3日前、今日。計画を企てた。

この病院の看護師の1人に和之の元カノがいた。

その人は浅海同様、別れたあとも、和之の言葉一つで言うことを聞いてしまう人だった。

半ば脅しをし、了承を得て当日、頼んでおいた。

一一一一一一一

そして当日。

2人の子供が産声を上げ、世に性を受けた。

浅海の子供には「花鈴」。叶の子供には「鈴音(りんね)」と名前がつけられた。

それは、反対の入れ替えられた子供に付けられた名前だった。
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