【梅雨が招いた雲の下の花鈴】

充ちる

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嫌な予感は当たるもので。

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「ただいま」

「おかえりなさい」

顔を見合わせて笑う。

この流れが日常になっていた。

(もう夜遅いな……)

「かりん、風呂沸かすから準備しときな」

「はーい」

返事をして、かりんの為に用意した部屋に戻って行った。

お互い入り終わり、ドライヤーで髪を乾かし、寝る準備万端になって、ようやく寝るって時にかりんが問いかけてきた。

「お母さん、一緒に住まないの?」

かりんは寂しそうな顔をしていた。

「そーだな。一緒に住めるといいな」

僕はあやふやな言葉を返し、手を繋いで眠りについた。

(3人で…なんて、むりだろ……)

一一一一一一

それから時々浅海さんが訪ねてきて、たわいのない話をする日々が続いた。

そんなある日、夏も過ぎようとしているような時期、かりんと一緒にショッピングモールへ出かける約束をしていた。

『先に行ってて!私準備あるから!待ち合わせ!したい!』

いつもよりテンションが高いかりんに押されながら、先に着いてしまった……。

腕時計で時間を何回も確認しながら30分……1時間……2時間待っても来ない。

雨が頬を掠めた。

(なにか事件に巻き込まれたりでもしたんだろうか……?)

嫌な予感が僕の頭をよぎる。

そう思った瞬間、ビルの画面から、大きく【速報】が流れていた。

『速報です。先程○○駅付近で通り魔が少女を刺したという情報がありました。』

僕はハッとした。

(僕の家の最寄り駅じゃないか……)

僕は走って駅に戻り、最寄りまで向かった。

「かりん……」

無事でいてほしい。その思いだけで急いで向かっていた。

最寄り駅。

事件が起きた場所。

パトカーや救急車の中に紛れ、浅海さんが泣き崩れていた。

「浅海さん!」

叫びながら近づこうとした僕を警察の人がさえぎった。

「君!関係者以外立ち入り禁止だよ!」

「関係者です!そこ!そこにいる人は知り合いです!」

浅海さんを指さして必死に訴えていると、浅海さんが近づいてきてくれて、警察に話してくれた。

「この人は私と娘の大切な人です。関係なくないんです」

警察の人は浅海さんの言葉を受けいれ、僕に「失礼しました」と頭を下げ、道を開けてくれた。

中に入り、浅海さんに事情を聞きたいばかりに怒鳴ってしまった。

「かりんは!かりんはどこですか!」

浅海さんは顔を伏せ、首を横に振った。

「病院に運ばれたわ」

またも嫌な予感がした。

「僕もその病院に行きます」

「待ちなさい。君も関係者なのだろ?ちゃんと事情を把握してから行きなさい。」

刑事さんらしき人に僕の行動は制止させられた。

「私は刑事の土居(どい)だ、話を聞いてくれるか?」

刑事さんは僕に名刺と傘を差し出しながら問いかけてきた。

僕は頷き、話を聞きく体勢に入った。

「最近、この付近で通り魔が多発していることは知っているかね?」

僕は頷いた。

「よし、彼女、近藤 花鈴さんはその通り魔にたまたま刺されてしまった」

「そんな……」

薄々感づいてはいたが……いざ言葉に出されると理解ができなくなってしまう。

「彼女は危険な状態だ。すぐに運ばれて今懸命な治療を受けているはずだよ」

僕は俯いて土居さんの言葉に頷くことができなかった。

「そしてもう一つ、大事なことだ」

「もう一つ」と言う言葉に顔を上げて土居さんを凝視した。

「通り魔は私たちが取り押さえ、捕まえた」

僕はほっと肩をなでおろした。

(そっか捕まったんだ……それは良かった)

話は聞いた。

かりんの所へ行きたい。

僕は迷いなく、かりんの所へ足が動いていた。

「まって、私も行くわ」

僕は振り返り、浅海さんに頷き、一緒に走り出した。

警察の人が、手を振って僕達を招いている。

「こっちだ、車で行った方が早いだろ。」

名前も知らない人なのに、話を聞いていたのかパトカーに乗せてくれた。
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