異世界に飛ばされた僕の従騎士生活

コプラ@貧乏令嬢〜コミカライズ12/26

文字の大きさ
101 / 127
元の世界

母の動揺

しおりを挟む
僕が突然泣き出して、神隠しにあった事を感謝したものだから、母さんは呆然としていた。僕はちょっと説明不足だったなと苦笑して、説明するから冊子と丸い真っ白な石はどこにあるかを尋ねた。

母さんは戸惑いながらも、僕の顔が明るいのに安心したのか、蔵の奥まった鍵付き棚の中に保管してあると言った。僕は母さんにそれを取り出してくれる様に頼むと、勝手に居なくならないから僕に預けてくれる様に頼み込んだ。母さんは不安げな顔を見せながらも、僕の必死な様子に渋々それを僕に渡してくれた。


僕たちは蔵から出ると、神社近くの祖父母の家に行った。僕の退院を喜んで迎えてくれる祖父母を有り難く感じた。けれど、僕と母さんは話をしなくてはならず、落ち着かない気分が続いた。

帰り際に母さんとお祖母さんが話してる隙に、僕は祖父に入院中に色々助けてくれてありがとうと礼を言った。お祖父さんは少し躊躇した後に、静かに答えた。


「慎、私は父が自分の目の前で弟が消えた事を、ひどく後悔していたのを見ていたんだよ。そして今回、慎が居なくなった時にお前の家族や私たちがどんなに悲しんで、後悔したか…。

だが、お前は帰ってきた。…しかもお前はこちらに居た時よりも何倍も魂の中に光を集めて帰ってきた様に見える。それを見て、私は冥土の土産で父に話してやれるんだ。きっと叔父さんもたどり着いた場所で、光を集めて活き活きと生きていたでしょうと。

お前が入院中に随分思い悩んでいた事は知っている。だからお前がどんな道を選ぼうと、私はお前の選択を認めるつもりだ。だが、必ず両親や私たちにはその事を伝えてくれ。突然居なくなる事ほど、辛いものはないからな…。」

そう言ってくしゃりと泣きそうな顔をすると、皺だらけの手を伸ばして僕の肩を掴んだ。


「…お祖父ちゃん。…分かりました、約束します。突然居なくならないって。」

そう言って僕はお祖父ちゃんをそっと抱きしめた。僕たちを見ていたお祖母ちゃんが狡いと言うので、僕は笑ってお祖母ちゃんも抱きしめた。お祖母ちゃんは笑っていたけれど、目尻には涙が光っていた。

僕たちは車に乗り込むとすっかり暗くなった夜道を家路についた。この辺りはあまりひと気が無いので、僕は真っ暗な中に包まれている様な感覚になった。車が照らす少し先に次々に現れる道の曲がりを見つめていた。しばらく黙って運転していた母さんは車を止める場所を見つけると、停車させてから重い口を開いた。


「まず、私が知ってる事を話すわね。」
しおりを挟む
感想 62

あなたにおすすめの小説

親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話

gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、 立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。 タイトルそのままですみません。

異世界転移してΩになった俺(アラフォーリーマン)、庇護欲高めα騎士に身も心も溶かされる

ヨドミ
BL
もし生まれ変わったら、俺は思う存分甘やかされたい――。 アラフォーリーマン(社畜)である福沢裕介は、通勤途中、事故により異世界へ転移してしまう。 異世界ローリア王国皇太子の花嫁として召喚されたが、転移して早々、【災厄のΩ】と告げられ殺されそうになる。 【災厄のΩ】、それは複数のαを番にすることができるΩのことだった――。 αがハーレムを築くのが常識とされる異世界では、【災厄のΩ】は忌むべき存在。 負の烙印を押された裕介は、間一髪、銀髪のα騎士ジェイドに助けられ、彼の庇護のもと、騎士団施設で居候することに。 「αがΩを守るのは当然だ」とジェイドは裕介の世話を焼くようになって――。 庇護欲高め騎士(α)と甘やかされたいけどプライドが邪魔をして素直になれない中年リーマン(Ω)のすれ違いラブファンタジー。 ※Rシーンには♡マークをつけます。

【完結】双子の兄が主人公で、困る

  *  ゆるゆ
BL
『きらきら男は僕のモノ』公言する、ぴんくの髪の主人公な兄のせいで、見た目はそっくりだが質実剛健、ちいさなことからコツコツとな双子の弟が、兄のとばっちりで断罪されかけたり、 悪役令息からいじわるされたり 、逆ハーレムになりかけたりとか、ほんとに困る──! 伴侶(予定)いるので。……って思ってたのに……! 本編、両親にごあいさつ編、完結しました! おまけのお話を、時々更新しています。 本編以外はぜんぶ、アルファポリスさまだけですー! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

不幸体質っすけど、大好きなボス達とずっと一緒にいられるよう頑張るっす!

タッター
BL
 ボスは悲しく一人閉じ込められていた俺を助け、たくさんの仲間達に出会わせてくれた俺の大切な人だ。 自分だけでなく、他者にまでその不幸を撒き散らすような体質を持つ厄病神な俺を、みんな側に置いてくれて仲間だと笑顔を向けてくれる。とても毎日が楽しい。ずっとずっとみんなと一緒にいたい。 ――だから俺はそれ以上を求めない。不幸は幸せが好きだから。この幸せが崩れてしまわないためにも。  そうやって俺は今日も仲間達――家族達の、そして大好きなボスの役に立てるように―― 「頑張るっす!! ……から置いてかないで下さいっす!! 寂しいっすよ!!」 「無理。邪魔」 「ガーン!」  とした日常の中で俺達は美少年君を助けた。 「……その子、生きてるっすか?」 「……ああ」 ◆◆◆ 溺愛攻め  × 明るいが不幸体質を持つが故に想いを受け入れることが怖く、役に立てなければ捨てられるかもと内心怯えている受け

獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果

ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。 そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。 2023/04/06 後日談追加

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

異世界転生したと思ったら、悪役令嬢(男)だった

カイリ
BL
16年間公爵令息として何不自由ない生活を送ってきたヴィンセント。 ある日突然、前世の記憶がよみがえってきて、ここがゲームの世界であると知る。 俺、いつ死んだの?! 死んだことにも驚きが隠せないが、何より自分が転生してしまったのは悪役令嬢だった。 男なのに悪役令嬢ってどういうこと? 乙女げーのキャラクターが男女逆転してしまった世界の話です。 ゆっくり更新していく予定です。 設定等甘いかもしれませんがご容赦ください。

処理中です...