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衝撃
問題勃発!?
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「テディ、もうそろそろダグラス達が来るぞ?まったく未だに疲れが取れないとか、どうなっておるんじゃ。ダグラスにもちゃんと話を聞かないといかんのう。」
妙に怖い顔をしたパーカスが、ソファに転がって惰眠を貪っている僕を見下ろしていた。
結局あの晩餐会の後、交代でロバートとバルトさんの家にお泊まりした僕は、昨日ようやく屋敷に戻って来たところだ。ずっと三人だったわけじゃ無くて、晩餐会の夜以降はそれぞれと過ごしたけれど、まぁ疲れたよ。実際。
あの強壮剤のビリビリの影響は晩餐会の夜だけだったけれど、それから妙に眠い。ポーションを飲んでもそのまとわりつく様な眠気は僕に付き纏っていた。
その事を心配したパーカスが、ダグラスに八つ当たり気味なのはちょっと違う気がするけど、いまいちこの眠気の原因が分からないから、休暇という事もあってごろごろしているんだ。
「そっか。もうそんな時間?パーカス、別に僕具合が悪い訳じゃないからね?ちょっと眠いなって感じなだけで。それよりお腹が減ったよ。」
そう言って起き上がると、従者がいそいそとテーブルにおやつを用意してくれた。
「おチビちゃんが来たら欲しがるといけないから、今のうちに食べようかな?」
僕は欠伸を噛み殺して、テーブルの上のおやつに手を伸ばした。無意識に魔素バーに手を伸ばしたのは、やっぱり魔素が減ってるのかな。僕はあのビリビリが思いの外魔素を消費したのではないかと仮説を立てていた。
「パーカス、強壮剤って自分の魔素を消費するものかなぁ。」
僕がぼんやりしながらそう尋ねると、パーカスは首を傾げて眉を顰めた。
「…聞いた事もないが…。ダグラスも妙なものをテディに飲ませたものじゃ。私も最近はとんとその手のものを摂取せんからの。新作となれば情報がないわい。」
僕はうっかりパーカスのそっちの話を聞く羽目になるかと身構えてしまったけれども、大丈夫だったので胸を撫で下ろした。流石に親のその手のことは耳に入れたくは無い。
一方で客観的な目で見ると、イケおじのジャンルになる王国騎士団相談役である屈強なパーカスは、まだまだ現役という感じもする。いやいや、これ以上は想像してはいけない。
僕はやれやれと首を振ると、苦笑して言った。
「僕が人間だからってのもあるかもね?そんな副作用があるんじゃ、ダグラスは元々渡してこないと思うから。」
そう言ってもう一度欠伸をすると、ミルティーをゴクゴクと飲んだ。僕をじっと見つめるパーカスが何か言いたげなのを感じて目をやると、思いがけない事を言われた。
「テディ、人間の寿命は90歳だと言っておったじゃろう?そうなると結婚も早いという事なのかの?」
僕は思わず咽込んで、涙目で口元を拭った。
「急になあに?びっくりしちゃった。…確かに20代か30ちょっとで結婚するイメージかな?」
僕の返事に考え込むパーカスに、僕は慌てて言った。
「もしかして、早く結婚した方が良いって思ってるの?確かに人間の寿命は90歳ぐらいだけど、ほら、僕はメダが憑いてるからね?ちょっと事情は違うみたいだよ。
メダ曰く、僕の寿命は普通の人間の様では無いみたいなこと言ってたから。正確にはどういう事かは分からないけど…。多分長生きするんじゃ無いかな。実際僕全然大人っぽくならないし。20歳なら、もう少し大人っぽくなっても良いと思うんだけどね…。」
それは最近特に感じる事だった。鏡を見る度にまるで成長を感じられない姿に、自分でも違和感を感じていた。もちろん16歳の頃と比べれば多少は大人びたけれど、自分のイメージする20歳には全然足りない。
実際髭がほとんど生えないのが不思議だ。そのせいか肌がつるりとして、ますます若く見えるのかもしれない。
パーカスは目の前のお茶を飲みながら、ため息をついて言った。
「テディ本人がそう感じるということは、寿命は90歳ということもないのじゃろう。それは良いニュースじゃが、そうは言ってもテディの特別な状況を考えると、考えておかなくてはいけない事は他にもある気がするのう。」
丁度その時、執事がダグラス一家の到着を知らせに来てくれた。
僕は笑みを浮かべてファミリールームを出ると、いそいそと玄関ホールへと向かった。美女と野獣もどきのダグラス夫妻に抱っこされて、僕のお目当ての赤ちゃん熊のゲオンが丸い水色の瞳でこちらを見ていた。
「ゲオン!いらっしゃい!あ、お二人もようこそいらっしゃいました。」
下ろされたゲオンがトコトコと僕の方へやってくるのを、よっこらせと抱き上げていると、ダグラスが呆れた様に言った。
「あからさまにゲオン目当てのテディには、俺たちはおまけみたいだな。」
僕はゲオンの温かな甘い匂いを吸って癒されながらダグラスを見て言った。
「そう言えばパーカスがダグラスに聞きたいことがあるって待ってるよ。例の強壮剤の成分が気になるみたいで。」
困惑気味に首を傾げるダグラス達を案内して客間の談話室へ入ると、そこにはパーカスが先に座って待っていた。ひとしきり挨拶を済ませると、僕がゲオンを撫でてくすぐっている間にパーカスが話し出した。
僕が強壮剤を飲んでからずっと眠そうだから関係があるのかと問い詰めていたけど、ダグラスとシャルは顔を見合わせて首を振った。
「いや、俺たちも使った事はあるが別に体力回復に抜群の威力があるってくらいだな。テディ、他に何か変わった事はあったのか?」
ダグラスにそう聞かれて、僕は皆の注視する中でまさか電マ仕様になった事などは言えないとは思ったけど、多分それが関係ある気がして思い切って言葉を選んで言った。
「あー、飲んだ瞬間髪が逆立ってビリビリってしたんだ。それから一晩は触るとビリビリしたみたい。でもそれ以来眠気が強いんだよね。」
するとパーカスが心配そうに言った。
「ポーション飲んでも眠気があるのが心配じゃ。テディは気がつけばウトウトしてるからのう。あれはどこで手に入れたのかの?」
ダグラスは困った様に頭を掻いて呟いた。
「そんなに特殊なモノじゃないがなぁ。王都の有名店のものだから品質には間違いない。」
黙って聞いてたシャルが僕をじっと見て尋ねてきた。
「…ねぇ、テディはまだ豊穣の種子を植え付けていないんだよね?なんか話を聞いてて、まるで妊夫の時みたいだなって思っちゃって。妊夫の時はポーション飲んでも、眠気は取れなかったからね。」
…それにテディの肌が滑らかでしょう?私も種子の定着と一緒に、体毛が生えなくなったんだよ?」
その場がシーンとする中、ゲオンが一人、いや、一匹、僕らを見上げてクゥっと鳴いた。
僕はパーカスと顔を見合わせて、慌てて首を振った。
「いやいや、絶対無いから!僕男だよ?人間の男は普通は妊娠しないから!そもそもその豊穣種子?それが僕に有効かどうかさえよく分かってないからね?」
正直言うと、高等学院でひと通りこの世界の生殖活動については習った。いわゆる保健体育の授業だったのだと思う。男女ともに、この世界では結婚の宣誓後、希望者は豊穣の種子を身体に埋め込んで妊娠可能な身体にする様だった。
驚いた事にそれは男女共にそうであって、定着率と定着にかかる年数が性別によって差があると言う感じだったと思う。女性は種子を埋め込んで1年ほどで定着してかつ、ほぼほぼ定着するのに対して、男性は2~3年掛かり定着率も個人差がある。
そんな異世界ならではのとんでも内容だったから、僕は正直いまだにそれがあり得ることなのか信じられないでいる。
けれども、シャルに抱っこして貰いに移動した、もふもふのゲオンはまさしくそうやって産まれてきたのだし、リアルな話なんだろう。かと言って、僕が今妊娠してるとかないよ。…ないよね?うん、全然身に覚えが無い。
そもそもパーカスが結婚もしてないのに処置をする様な事を許さない気がするし。
眉を顰めたパーカスが顎に手を当てて考え込んだ。
「…どう考えても無いと思うが、テディはそもそも龍神に取り憑かれている別の世界の人間じゃからのう。何が起きても不思議はないのじゃ。」
僕はその時ムンクの叫びを体現していたと思う。パーカス、そこは絶対無いって言ってよ!メダが関わってくると前提条件がひっくり返るでしょ!?
妙に怖い顔をしたパーカスが、ソファに転がって惰眠を貪っている僕を見下ろしていた。
結局あの晩餐会の後、交代でロバートとバルトさんの家にお泊まりした僕は、昨日ようやく屋敷に戻って来たところだ。ずっと三人だったわけじゃ無くて、晩餐会の夜以降はそれぞれと過ごしたけれど、まぁ疲れたよ。実際。
あの強壮剤のビリビリの影響は晩餐会の夜だけだったけれど、それから妙に眠い。ポーションを飲んでもそのまとわりつく様な眠気は僕に付き纏っていた。
その事を心配したパーカスが、ダグラスに八つ当たり気味なのはちょっと違う気がするけど、いまいちこの眠気の原因が分からないから、休暇という事もあってごろごろしているんだ。
「そっか。もうそんな時間?パーカス、別に僕具合が悪い訳じゃないからね?ちょっと眠いなって感じなだけで。それよりお腹が減ったよ。」
そう言って起き上がると、従者がいそいそとテーブルにおやつを用意してくれた。
「おチビちゃんが来たら欲しがるといけないから、今のうちに食べようかな?」
僕は欠伸を噛み殺して、テーブルの上のおやつに手を伸ばした。無意識に魔素バーに手を伸ばしたのは、やっぱり魔素が減ってるのかな。僕はあのビリビリが思いの外魔素を消費したのではないかと仮説を立てていた。
「パーカス、強壮剤って自分の魔素を消費するものかなぁ。」
僕がぼんやりしながらそう尋ねると、パーカスは首を傾げて眉を顰めた。
「…聞いた事もないが…。ダグラスも妙なものをテディに飲ませたものじゃ。私も最近はとんとその手のものを摂取せんからの。新作となれば情報がないわい。」
僕はうっかりパーカスのそっちの話を聞く羽目になるかと身構えてしまったけれども、大丈夫だったので胸を撫で下ろした。流石に親のその手のことは耳に入れたくは無い。
一方で客観的な目で見ると、イケおじのジャンルになる王国騎士団相談役である屈強なパーカスは、まだまだ現役という感じもする。いやいや、これ以上は想像してはいけない。
僕はやれやれと首を振ると、苦笑して言った。
「僕が人間だからってのもあるかもね?そんな副作用があるんじゃ、ダグラスは元々渡してこないと思うから。」
そう言ってもう一度欠伸をすると、ミルティーをゴクゴクと飲んだ。僕をじっと見つめるパーカスが何か言いたげなのを感じて目をやると、思いがけない事を言われた。
「テディ、人間の寿命は90歳だと言っておったじゃろう?そうなると結婚も早いという事なのかの?」
僕は思わず咽込んで、涙目で口元を拭った。
「急になあに?びっくりしちゃった。…確かに20代か30ちょっとで結婚するイメージかな?」
僕の返事に考え込むパーカスに、僕は慌てて言った。
「もしかして、早く結婚した方が良いって思ってるの?確かに人間の寿命は90歳ぐらいだけど、ほら、僕はメダが憑いてるからね?ちょっと事情は違うみたいだよ。
メダ曰く、僕の寿命は普通の人間の様では無いみたいなこと言ってたから。正確にはどういう事かは分からないけど…。多分長生きするんじゃ無いかな。実際僕全然大人っぽくならないし。20歳なら、もう少し大人っぽくなっても良いと思うんだけどね…。」
それは最近特に感じる事だった。鏡を見る度にまるで成長を感じられない姿に、自分でも違和感を感じていた。もちろん16歳の頃と比べれば多少は大人びたけれど、自分のイメージする20歳には全然足りない。
実際髭がほとんど生えないのが不思議だ。そのせいか肌がつるりとして、ますます若く見えるのかもしれない。
パーカスは目の前のお茶を飲みながら、ため息をついて言った。
「テディ本人がそう感じるということは、寿命は90歳ということもないのじゃろう。それは良いニュースじゃが、そうは言ってもテディの特別な状況を考えると、考えておかなくてはいけない事は他にもある気がするのう。」
丁度その時、執事がダグラス一家の到着を知らせに来てくれた。
僕は笑みを浮かべてファミリールームを出ると、いそいそと玄関ホールへと向かった。美女と野獣もどきのダグラス夫妻に抱っこされて、僕のお目当ての赤ちゃん熊のゲオンが丸い水色の瞳でこちらを見ていた。
「ゲオン!いらっしゃい!あ、お二人もようこそいらっしゃいました。」
下ろされたゲオンがトコトコと僕の方へやってくるのを、よっこらせと抱き上げていると、ダグラスが呆れた様に言った。
「あからさまにゲオン目当てのテディには、俺たちはおまけみたいだな。」
僕はゲオンの温かな甘い匂いを吸って癒されながらダグラスを見て言った。
「そう言えばパーカスがダグラスに聞きたいことがあるって待ってるよ。例の強壮剤の成分が気になるみたいで。」
困惑気味に首を傾げるダグラス達を案内して客間の談話室へ入ると、そこにはパーカスが先に座って待っていた。ひとしきり挨拶を済ませると、僕がゲオンを撫でてくすぐっている間にパーカスが話し出した。
僕が強壮剤を飲んでからずっと眠そうだから関係があるのかと問い詰めていたけど、ダグラスとシャルは顔を見合わせて首を振った。
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ダグラスにそう聞かれて、僕は皆の注視する中でまさか電マ仕様になった事などは言えないとは思ったけど、多分それが関係ある気がして思い切って言葉を選んで言った。
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「ポーション飲んでも眠気があるのが心配じゃ。テディは気がつけばウトウトしてるからのう。あれはどこで手に入れたのかの?」
ダグラスは困った様に頭を掻いて呟いた。
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黙って聞いてたシャルが僕をじっと見て尋ねてきた。
「…ねぇ、テディはまだ豊穣の種子を植え付けていないんだよね?なんか話を聞いてて、まるで妊夫の時みたいだなって思っちゃって。妊夫の時はポーション飲んでも、眠気は取れなかったからね。」
…それにテディの肌が滑らかでしょう?私も種子の定着と一緒に、体毛が生えなくなったんだよ?」
その場がシーンとする中、ゲオンが一人、いや、一匹、僕らを見上げてクゥっと鳴いた。
僕はパーカスと顔を見合わせて、慌てて首を振った。
「いやいや、絶対無いから!僕男だよ?人間の男は普通は妊娠しないから!そもそもその豊穣種子?それが僕に有効かどうかさえよく分かってないからね?」
正直言うと、高等学院でひと通りこの世界の生殖活動については習った。いわゆる保健体育の授業だったのだと思う。男女ともに、この世界では結婚の宣誓後、希望者は豊穣の種子を身体に埋め込んで妊娠可能な身体にする様だった。
驚いた事にそれは男女共にそうであって、定着率と定着にかかる年数が性別によって差があると言う感じだったと思う。女性は種子を埋め込んで1年ほどで定着してかつ、ほぼほぼ定着するのに対して、男性は2~3年掛かり定着率も個人差がある。
そんな異世界ならではのとんでも内容だったから、僕は正直いまだにそれがあり得ることなのか信じられないでいる。
けれども、シャルに抱っこして貰いに移動した、もふもふのゲオンはまさしくそうやって産まれてきたのだし、リアルな話なんだろう。かと言って、僕が今妊娠してるとかないよ。…ないよね?うん、全然身に覚えが無い。
そもそもパーカスが結婚もしてないのに処置をする様な事を許さない気がするし。
眉を顰めたパーカスが顎に手を当てて考え込んだ。
「…どう考えても無いと思うが、テディはそもそも龍神に取り憑かれている別の世界の人間じゃからのう。何が起きても不思議はないのじゃ。」
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