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楽しい郊外演習

必須経由地点

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僕たちは何とか絡まった紐を切りながら林から脱出した。せっかくの僕のお気に入りのビックフライを二つ失ったのは痛かったけれど、まだあと家に二つあるから諦めよう。

夏休みに僕が遊びで、記憶の中のパラグライダーをイメージして考案したビッグフライは、兄弟や従兄弟にも一大ブームを巻き起こした。夏休みが終わる頃には、試行錯誤して随分改良版が出来た。


お祖父様がアイデアを出した僕に改良版を四つもくれたんだ。お祖父様は抜け目の無い目つきで、これは良い商品になるってウキウキだったけれど、まぁそんなお祖父様も嫌いじゃないよ。

それが早速役に立った。でも流石に二人乗りの想定はしてなかったから、ちょっと不安だったけどね。僕とテディが軽くて良かった。


僕たちが目指していた見晴らしの良い丘に登っていくと、ポツンと石の台があった。僕たちは顔を見合わせて、急いでそれに近づいた。そこにはキラキラする魔法のスタンプが設置されてあった。

テディが僕たちに言った。

「確かこれを腕にそれぞれスタンプするんだよ。それが証明になるんだ。ここから目的地のテント設置場までは2時間と言うところだよ。

ルートは三つ。30分短い最短の道。ここは鬼蜂が出るって有名な道。予定通り2時間掛かるのは、まぁ凸凹道で、案外体力を削られる。三つ目は商人が時々使うようなまぁ安全な道。でもそこだと4時間掛かるね。」


僕は行きたい道があった。疲れた顔をしていた皆はきっと無理せず、中道を選ぶだろう。僕は皆の顔を伺うように言った。

「…ねぇ、僕は鬼蜂の道へ行きたいな。テディの分析では鬼蜂は出るけど、道自体は良いらしいし。優勝目指すなら、勝負掛けないと!」

盛り上がってきた僕とは裏腹に、皆は顔を見合わせて何か言いたげだった。ミッキーが言った。


「熊族の俺が言うのもアレだけど、パトリックは鬼蜂知ってるのか?30cmもあるでっけえ蜂なんだ。刺されたらしばらく痺れて動けなくなるぞ?

去年叔父さんが刺されたけど、腕が腫れあがってしばらく寝込んでたぞ?ちょっと無謀じゃ無いか?」

僕はミッキーの話を聞いてじっと考え込んだ。

「ねぇミッキー、鬼蜂って群れの構成数は少ないって本当かな?」


ミッキーはテディにスタンプを押されながら考え考え答えた。

「ああ、あいつらは強いからな。数は必要としねぇのか、せいぜい群れひとつに付き10匹だな。」

ケルビンが僕を、目を細めて疑り深い顔で見つめて言った。

「おい、パトリック何を考えてる。まさか、鬼蜂の道を本気で行こうとか考えてるんじゃ無いだろうな?」

僕はケルビンににっこり笑いかけて言った。

「もちろん、そのまさかだよ。実は僕、出来れば鬼蜂に遭遇したいんだよね。」




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