獣人てやつは本能に抗えない問題

コプラ@貧乏令嬢〜コミカライズ12/26

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楽しい郊外演習

鬼蜂の道

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僕はテディが鬼蜂と言った途端、頭の中で閃いた事があった。鬼蜂は大型の蜂で有名だけど、攻略方法がないわけでも無い。僕はたまたま攻略出来そうな魔法が使える。

僕は渋る皆の顔を見回して尋ねた。

「誰か水魔法使えないかな?」

僕の質問にそろそろと手を挙げたのはテディだった。僕は嬉しくなって言った。


「じゃあ、作戦を言うね?鬼蜂は水や寒さに弱いんだ。だから遭遇したらまずテディが水を吹き付ける。羽根を濡らすようにね?それから僕が氷漬けにするから、弱った所をミッキーとケルビンが叩いて欲しいんだ。

僕、鬼蜂の毒針と、それに繋がる毒袋が欲しいんだよね。母様が若返り美容に使いたいって欲しがってて。中々手に入らないだろう?毒ってのは使い方によっては妙薬にもなるんだ。皆もお母様にプレゼントしたら喜ぶんじゃない?」


ケルビンが嫌な顔をして僕に尋ねた。

「お前どうしてそんな美容の話まで知ってるんだよ。」

僕はクスクス笑って答えた。

「実は父様から演習に行くんなら、鬼蜂の針を採ってきてくれないかって頼まれちゃって。父様が母様のために王都中探しているのにも手に入らないみたいで。僕も父様と母様には仲良くして欲しいから、日頃の感謝を込めた親孝行ってわけ。

皆もきっとプレゼントすれば、お母様は飛び上がって喜んでくれるはずだよ?レアものなんだから!」


僕の言葉に皆の気持ちが揺れたのが分かった。僕はテディに水魔法のデモストレーションをさせると、15回ぐらいは出来る事を確認して念のために魔法の増力ポーションを飲ませた。

ついでに僕もポーションを飲むと、僕を見つめる三人ににっこり笑って言った。

「いざ、行かん!親孝行しよ⁉︎」

三人の不安そうな掛け声が丘に広がって、僕たちはテディの後をついて歩き出した。


その道は確かに、皆で横並びに歩けばいっぱいになってしまいそうな狭い平坦な道だった。けれども、歩きやすさで言えばこの演習始まって以来のものだ。

鬼蜂さえ出なければなぁとぶつぶつ言うテディの気持ちも分かるけど、ミッキーとケルビンは、僕の勧誘が効いたのか、もはや鬼蜂をぶっ潰すやる気満々で、鼻歌さえ歌う勢いだった。


気負った僕たちの肩透かしを狙うかのように、それから1時間僕たちは平和な森の道を、野いちごを時々摘んで食べながら歩いた。

「なぁ、本当に鬼蜂ってこの道かぁ?」

野いちごで唇を赤くしながらミッキーが口を開いたその時、僕たちは遠くから近づく重低音のやばい羽音を耳に捉えたんだ。


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