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親密さとは

野村さんの提案

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野村さんが私のストレス話を聞くと言ってくれたけど、なんて言うか言いにくいよね…?

「…色々事情が複雑なんですけど、ふって湧いたようなトラブルに巻き込まれたって感じです。私、従姉妹とルームシェアしてて、その従姉妹のやらかしに巻き込まれちゃって…。ちょっとした人助けもしなくちゃいけなくなってしまって。今までの平穏な日常を返してって感じです。ふふ。」

野村さんは運転しながら、相槌を打って聞いていたけれど、ボソッと言った。

「…なんか、もしかして男とか絡んでる?」


私は、なんで分かったのだろうと野村さんを見た。野村さんは私をチラッと見ると緩く笑って言った。

「考えなくても分かるよ。キッカケはどうであれ、田辺さんに会ったらその機会を逃すなんて、普通男だったらしないだろうさ。田辺さんて一見華やかな美人なんだけど、実際話とかするとそれ以上っていうか…。

俺も商社勤務だし、若い頃は合コンみたいのも多かったんだ。綺麗な人も沢山いたけど、なんていうかそれだけっていうか。でも田辺さんは少しでも話すると、中身が凄く魅力的だって分かるんだ。

…だから俺としても、ちょっと放っておけないな。そのストレスの素。」


そう言うと、何か考え込んで運転に集中していた。私は流れる景色を見つめながら、野村さんは私を買い被りすぎだなと思った。

洒落た海沿いのレストランでのランチは本当に美味しくて、私はもうひたすらニコニコと機嫌よく食べていた。

「ふふ。田辺さんて分かり易いよね?幹事の清水さんが、田辺さん美味しいものに目がないってアドバイスしてくれたんだけど、良いアドバイスだったみたいだ。でも確かにこの店の料理は美味しいね?」

そう言って柔らかく微笑んだ野村さんの、爽やかなスポーツマンの裏側にある繊細な一面が見えた気がした。そんな事を感じながら香りの良い紅茶を楽しんでいると、野村さんは急に私に向き直って話し始めた。


「さっき、車の中で話してた事だけど。田辺さんのストレスの素の話。俺、3回デートしたらお付き合いするかどうか考えてほしいって言ったけど、あれ、撤回してもいいかな。」

私は野村さんが酷く真剣な眼差しで話し出したので、どこに話が転がっていくのか分からずにカップをソーサーに置くと椅子に座り直した。野村さんは真っ直ぐに私を見つめると言った。

「俺としてはもっと自分の事良く知ってもらいたい。それじゃあ、3回会うだけじゃ全然足りないと思うんだ。それに君のストレスの防波堤になりたい。だから、俺をお試しで良いから彼氏にしてくれないか。」


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