御曹司の恋〜君は悪魔か天使か〜

コプラ@貧乏令嬢〜コミカライズ12/26

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新しい関係性

征一sideつれない美那

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 これは私にとって、はじめての挫折なんだろうか。他人が聞いたら傲慢だと思われるかもしれないが、今まで自分から手に入れたいと思った女性は簡単に手にして来た。

 学生の頃はその事で随分安易な付き合いもしたけれど、さすがに大人になったらそうもいかない。まして女性は結婚の2文字をチラつかせてくる。

 私は家のこともあり、仕事が楽しくもあり、それなりのプレッシャーがあった。そんな私にとって結婚は、まだ遥か彼方にあるものだった。


 自然、割り切った大人の関係になれる相手を選ぶ様になった。しかし、付き合い初めにはそう言っていた相手でさえ、いつの間にか二人の関係をどう考えているのかと私に決着を迫ってくる。

 それは付き合う際の約束とは違うと言っても、彼女達は状況が変われば約束も変わるものだと言い張る。

 私は付き合う相手を複数にしたことは無いし、付き合っている間は誠実に対応していたと思っていた。けれど、彼女達にしてみれば、未来の無い関係自体が不誠実という訳なのだ。

 流石の私も女性に懲りてきて、やり甲斐も感じていた仕事にのめり込んでいた。


 それなのに弟が大怪我をして、日常が非日常になったあの日から、私の世界は急に思わぬ方向へと転がり始めた。

 目の前に現れた小悪魔な女は、私を抜け出せない非日常の世界へと引きずり込んだ。私の前にチラチラと現れては、心を揺さぶっていく。忘れられない熱いキスを与えたと思えば、私を遠ざけようと必死になって。

 別れ話でも無いのに、この私をののしる女なんて今まで会ったこともない。もしかして、罵られるのが好きなのかと、自分にそんな性癖があったのかと勘違いしそうになる。


 隙があり過ぎて、他の男に良いように食われそうな美那が放って置けなくて、私は今日も彼女を見つめてしまう。なのに彼女は難しい顔をして私を見つめないように頑張っている。

 何度か抱き寄せたあの時の甘やかな眼差しと唇。仕事中なのに、瞬時にそんな事に気を散らすなんて、私らしくない。きっと、女遊びに長けた柴田に言わせたら、私が恋をしてるとでも言うのかもしれない。

 あいつにこんな状況を知られたら、きっと爆笑されるだろうけど。


 私はため息をつくと、今日も私に冷たく対応するけれど、有能な美那を連れ出して仕事のアシスタントを頼むのだろう。これが私の精一杯の公私混同しないという約束の証明なんだ。贔屓ではなく有能さを買っているのだから。

 私はチラッと美那の顔を盗み見て、今、佳境になっているプロジェクトの最終決断をまとめたもののチェックを終わらせた。すっかり遅くなってしまって、このフロアには私と高木と田中、そして美那しか残っていない。

 皆、それぞれ与えられた仕事をこなしている。最近立て続けに残業が続いたせいか、皆の顔色も良くない。私は、PCを閉じると皆に声を掛けた。


 「今日はもうこれで終わりにしよう。流石に連日これ以上遅くなると、身体がもたないだろう?プロジェクトもおおよそ纏まったし、月曜日に部長決裁が降りればこの案で上に通せる。皆、お疲れ様。」

 三人は口々にお疲れ様でしたと挨拶を返した。高木と田中は独身で、このまま帰っても同じだからご飯だけ食べて帰りませんかと誘って来た。私は美那の顔色が良くないのが気になって躊躇していたが、美那が参加すると言うので同行することにした。


 背が高くて痩せ型の高木は、表情豊かな顔つき通りに色々目端が効く有能な男だ。遠距離に恋人がいるらしく、時々恋人に会いたがっているのを隠そうとしないのが、有能な男だけに何ともアンバランスだ。

 田中は美那のひとつ下の入社2年目の若い男だ。人懐っこい性格で、部内のムードメーカーだが仕事はそつなくこなしている。サクラフーズは食料品専門商社だが、海外との取引がメインなので優秀な人材が揃っていた。


 私たちは会社のビルの近くの洋風居酒屋に入ると、高木が適当に料理を選んで注文した。美那にだけは食べたいものを聞いていたのが、さすが恋人のいる男という所だろうか。

 皆でおつかれ乾杯をして、食事という名の飲み会が始まった。美那も料理が美味しいとご機嫌だ。そう言えば、私は美那とゆっくり食事をしたこともないんだと、今更ながらこのハッキリしない関係を恨めしく思った。…いや、親密な知り合いだったか。


 「橘代理は、あちこち色んな会社で仕事してますが、うちの会社はどうですか?」

 高木が随分と威勢良く生々しい話を振って来た。私は苦笑いしながら、答えた。

「…そうだな。思いの外優秀な人材が揃っていて嬉しい驚きだったよ。まぁ、今は仕事の話は置いておいて、趣味の話でもしよう。」

 すると、田中が美那を見つめながら迷っていたが、思い切ったように言った。


「あのっ、田辺さんてコスプレするって噂があるんですけど!本当ですか?」
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