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社交界の華
マイケルside事件の前兆
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妹アンナマリーの社交界デビューは大成功でもあり、一方で新しい嵐を王都中に撒き散らした。妹には度々驚かされてきた僕だが、今回ばかりは全く予想もつかなかった。そして我が家にとっても見過ごすことのできない事件だったんだ。
順番に入場するデビュタント達を眺めながら、僕は身内贔屓を発揮してアンナマリーが一番素敵だと確信していた。ある意味、このデビューは結婚相手を求めますという、婚活市場への意思表明なんだ。僕達若い貴族は勿論、30代の独身貴族迄、新しい結婚対象として考える相手になるんだ。
僕はこのデビュー以降、きっと贈り物やら、見合いの手紙がわんさか届くだろうと思った。デビュー前でさえ、僕や兄の友人達から探りを入れられたり、贈り物を送っていいかと聞かれるほどなんだ。一度でも会ったことのあるキース達なんて、こっちが引く程のマリーへの入れ込みようだった。
僕がそんな事をぼんやり考えていると、扉を開けてアンナマリーが入場してきた。朝、チラッと見ただけだったので僕はよく見ようと身を乗り出した。僕はホールの人間が同じ顔をしている事に気づいた。驚愕と喜び。僕は不思議に思いながら歩き寄って来るアンナマリーを見つめた。
軽やかな足捌きで王の面前に進む僕の妹は、キラキラと輝いていた。家にいる時の扱い辛い妹の面影はそこには無くて、ただ純粋に美しさと無垢と、華やかさ、そして意思の強さが感じられた。僕は思わず感心して、兄の顔を見たが、アンソニーもまた驚きに満ちた顔をこちらに向けた。
僕たちは二人で頷くとこの出し物を見逃さないように目を凝らした。アンソニーが妹をダンスホールへ連れ出すと、僕は両親の側へ寄って行き、囁いた。
「今回のデビューで、アンナマリーには沢山の求婚者が現れそうですね。」
父上と母上は、嬉しそうに、いや、寂しそうに微笑んだ。しかし僕たちのそんな感傷も一気に吹き飛ぶ事件が起きたんだ。
ダンスの終盤を迎え、次のダンスの相手かなと気持ちを準備している、僕の目の前を横切った人物が居た。その鋭い銀色とも緑色とも言えない独特な瞳と、王族特有の煌めく金髪を撫でつけた御仁は両親に一言囁くと、礼をしてさっさとアンソニーからマリーを拐って行ってしまった。
気がつけば、王弟閣下とマリーが見つめ合って、何か囁き合いながら踊り始めていた。僕たちは目の前の事に、全く事情把握が出来ずにただぼんやりと二人の様子を見つめていたんだ。
順番に入場するデビュタント達を眺めながら、僕は身内贔屓を発揮してアンナマリーが一番素敵だと確信していた。ある意味、このデビューは結婚相手を求めますという、婚活市場への意思表明なんだ。僕達若い貴族は勿論、30代の独身貴族迄、新しい結婚対象として考える相手になるんだ。
僕はこのデビュー以降、きっと贈り物やら、見合いの手紙がわんさか届くだろうと思った。デビュー前でさえ、僕や兄の友人達から探りを入れられたり、贈り物を送っていいかと聞かれるほどなんだ。一度でも会ったことのあるキース達なんて、こっちが引く程のマリーへの入れ込みようだった。
僕がそんな事をぼんやり考えていると、扉を開けてアンナマリーが入場してきた。朝、チラッと見ただけだったので僕はよく見ようと身を乗り出した。僕はホールの人間が同じ顔をしている事に気づいた。驚愕と喜び。僕は不思議に思いながら歩き寄って来るアンナマリーを見つめた。
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僕たちは二人で頷くとこの出し物を見逃さないように目を凝らした。アンソニーが妹をダンスホールへ連れ出すと、僕は両親の側へ寄って行き、囁いた。
「今回のデビューで、アンナマリーには沢山の求婚者が現れそうですね。」
父上と母上は、嬉しそうに、いや、寂しそうに微笑んだ。しかし僕たちのそんな感傷も一気に吹き飛ぶ事件が起きたんだ。
ダンスの終盤を迎え、次のダンスの相手かなと気持ちを準備している、僕の目の前を横切った人物が居た。その鋭い銀色とも緑色とも言えない独特な瞳と、王族特有の煌めく金髪を撫でつけた御仁は両親に一言囁くと、礼をしてさっさとアンソニーからマリーを拐って行ってしまった。
気がつけば、王弟閣下とマリーが見つめ合って、何か囁き合いながら踊り始めていた。僕たちは目の前の事に、全く事情把握が出来ずにただぼんやりと二人の様子を見つめていたんだ。
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