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辺境の地で
シモン兄様
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僕が不貞腐れて愛馬のメリーを城へ走らせていると、後から来たシモン兄様が僕に並走して来た。僕はまだ小型の牝馬しか乗るのを許されてないので、シモン兄様の愛馬にとっては早足程度だ。僕はメリーが少し可哀想になって歩かせると、シモン兄様に言った。
「シモン兄様、先に行って。僕はのんびり帰ります。」
最近一段と背が伸びたシモン兄様は僕に笑いかけて言った。
「僕がアンドレアと一緒に行きたいんだ。ダメかい?」
シモン兄様の煌めく金髪と、僕と同じ水色の瞳を見つめて、僕は悪戯っぽく笑った。
「シモン兄様は王都へ行っても女の子たちを泣かせるんでしょうね。領地のあの子達には、もうお別れを済ませたんですか?」
シモン兄様はまた少し困った顔で僕に言った。
「一体誰からそんな話を聞いてくるやら。お前は本当に困った令嬢だ。普通9歳の令嬢は、そんな事に気づかないはずだぞ?」
僕はフンと顔を逸らして言った。
「剣の訓練をしていれば、自然耳に入って来ますとも。僕は馬鹿じゃない。聞こえないふりで全て聞いてます。でもシモン兄様も気をつけないと。女の子達も馬鹿ではないですからね。せいぜい嫌われて立ち去った方が後々面倒がないですよ。」
シモン兄様はますます困った顔をしていたけれど、突然笑い出して言った。
「ははは、本当にアンドレアは侮れない。これはフレッドにも忠告しておいた方が良いかもしれないな。アンドレアに気をつけろって。」
僕は肩をすくめて言った。
「フレッド兄様は、食べることと、剣の事しか頭にないですからね。僕がシモン兄様を心配する様な事もありませんよ。どちらかと言うと、もっとその手の事があっても良いくらいです。本当に色気が無いったら。」
僕はいつもお腹を空かせている三男のフレッド兄様を思い浮かべて微笑んだ。本当にあの人は愛すべき存在だ。そんな僕の顔をマジマジと見つめて、シモン兄様は僕に言った。
「…アンドレアと話していると、まるで同世代の仲間と話してるとついつい錯覚してしまうよ。お前は明日10歳になるお姫様だと言うのに。明日は母上もずっと準備して楽しみにされている。兄上も来ることだし、期待は裏切るなよ?」
僕はため息をついて言った。
「ええ、よく分かっておりますわ、シモンお兄様。私もお母様の事を愛してますから、悲しませる様な事はしないつもりですの。ましてあのオリバーお兄様がいらっしゃるならね?流石に私も猫を被りますわ。」
僕がにっこり笑うと、シモン兄様は顔を顰めて呟いた。
「アンドレアが令嬢らしくする時は、それはそれで何とも言えない気分になるよ。まったくお前はつかみどころがないよ。」
「シモン兄様、先に行って。僕はのんびり帰ります。」
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「シモン兄様は王都へ行っても女の子たちを泣かせるんでしょうね。領地のあの子達には、もうお別れを済ませたんですか?」
シモン兄様はまた少し困った顔で僕に言った。
「一体誰からそんな話を聞いてくるやら。お前は本当に困った令嬢だ。普通9歳の令嬢は、そんな事に気づかないはずだぞ?」
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シモン兄様はますます困った顔をしていたけれど、突然笑い出して言った。
「ははは、本当にアンドレアは侮れない。これはフレッドにも忠告しておいた方が良いかもしれないな。アンドレアに気をつけろって。」
僕は肩をすくめて言った。
「フレッド兄様は、食べることと、剣の事しか頭にないですからね。僕がシモン兄様を心配する様な事もありませんよ。どちらかと言うと、もっとその手の事があっても良いくらいです。本当に色気が無いったら。」
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「ええ、よく分かっておりますわ、シモンお兄様。私もお母様の事を愛してますから、悲しませる様な事はしないつもりですの。ましてあのオリバーお兄様がいらっしゃるならね?流石に私も猫を被りますわ。」
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