伯爵令嬢の秘密の愛し子〜傲慢な王弟は運命の恋に跪く

コプラ@貧乏令嬢〜コミカライズ12/26

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引き寄せられる運命

ヴィンセントside夜のしじまに鳴く鳥は※

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強引なやり方でエリザベスと結婚式まで持ち込んだのは我ながら呆れる様な傲慢さだった。エリザベスの冷たい物言いに、思わずエリザベスからテオを奪い取る様な事をチラつかせたのは今でも後悔が押し寄せてくる。

自分も捕虜生活が長かったとは言え、大の大人の男だ。それは予想していないとしても、耐えて乗り越えるべき事だった。一方エリザベスはどうだったろう。あの祭りの日に、すべきでは無かった情熱に流されてしまったのは大人の私の責任だった。


『何て事を言うの!私がテオを手放す事などあるわけないわ!何度絶望で死んでしまいたいと思った事か!その度にテオの顔を見て一歩ずつ前に進んできたのに!人でなし!大嫌いよ、貴方の事などもう愛してなんていないわ…!』

美しい薔薇のアーチの下で、エリザベスの心の奥からの叫びが今でも私を責め立てる。私の想像以上に若かった少女とも言える様な年齢の彼女が、思いがけない妊娠で混乱と絶望を感じたのは男の私にも想像できる。そして伯爵から聞いていた、母親の病気と死。


彼女が被った、たて続きの恐怖はいかばかりだったろうか。私は意識を失ったエリザベスを腕に抱きながら、私たちの失った歳月を思って神を恨んだ。そしてどんな事をしても、たとえエリザベスに恨まれようとも彼女を私の絶対的な庇護の元二度と他人から軽んじられることの無い様に手を尽くそうと決意したのだった。

そして結婚式の日、私は大聖堂で目の前へ歩み寄って来るエリザベスを見つめてハッとした。私は大きな間違いをしたのでは無いかと。エリザベスは心から愛する者と幸せになるべきなのでは無かったか。彼女の無垢な美しさはそれが相応しいと思い知らされた。


けれども私の中のドロドロとした嫉妬心がそれを許さなかった。彼女は私のものだと叫ぶ声に支配された私は、そのまま彼女を自分の妻にした。張り詰めた表情のエリザベスが私を真っ直ぐ見上げたら、手放すのは無理だった。

私は自分勝手にも彼女の意思にお構い無く、エリザベスを絡め取った。少なくとも式の間エリザベスが幸せそうに見えのが、私の後ろめたさを軽くしてくれたが…。


疲れた様子のエリザベスを早めに晩餐会から引き揚げさせて、私は悪友達に囲まれていた。

「まさかヴィンセントがエリザベス嬢の秘密の相手だとは思いもしなかったぞ。お前の不幸な状況で今まで彼女も悲しい思いをして来たんだ。幸せにしてやれよ。」

そう言って笑いながら祝いの盃を掲げる彼らに、エリザベスから子供を取り上げると脅して結婚にこぎ着けたのだとは到底言えなかった。私は悪魔の様な男なのかもしれない。エリザベスは酷い男に捕まってしまったのだ。



しかし美しい夜着に仄かに透けるしどけない立姿ながら、頬を赤らめて身体を強張らせているエリザベスを見て、私の胸の奥から湧き上がって来るのは胸いっぱいの幸福感と情熱だった。

破裂しそうな胸の鼓動を感じながら差し出した手に、恐る恐るエリザベスから乗せられたその細い手を握ったら、自然身体は動いていた。甘い唇を味わいながら、私はエリザベスを二度と失うことは出来ないと思った。


私たちはエリザベスの言う様にお互いの事をよく知らないけれど、少なくとも私はエリザベスに運命を感じている。それは説明のできない湧き上がる感情で、決してこの人を離してはいけないという焦燥感にも似たようなものだった。

あの厳しい捕虜生活を支えたのは、エリザベスとの嵐の夜の思い出ではなかったか。しかし目の前のエリザベスはあの夜を凌駕するしどけなさと美しさだった。私を受け入れる小さな口の中を丹念になぞれば、呻く様な甘い声が私の胸を掻きむしった。


思い出より大きく感じる胸は、テオを産んだせいなのか成熟した女のそれで、春の薔薇の蕾の様に赤く色づいて尖っていた。その誘惑めいた魅惑の果実は指先に引き剥がせない感触を連れて来て、直ぐに唇で触れて可愛がりたくなってしまう。

「あぁっ、ん。」

耳をくすぐるエリザベスの甘い声が、私をいつに無く昂らせた。それから私はエリザベスの様子を見ながら丹念に愛撫していった。それはぎこちないエリザベスの様子から、あの祭りの日以来男と女の触れ合いから遠ざかっている事があからさまだったし、その事実が私を舞い上がらせたせいだ。


エリザベスに素晴らしい経験をして欲しいと願い、同時にそれが二人の距離を近づける気がした。最初はぎこちなかったエリザベスもあの時の様に花開くようにリラックスして行った。

そしてエリザベスの甘い蜜壺に指を這わせると、ぬらぬらと潤って私の指先を喜ばせた。ああ、この甘い場所に今すぐ私の剛直を突き立てたい。そう息を荒くしながらも、私は身体をひねらせて欲望を堪えるエリザベスの姿に見惚れていた。


彼女は私にもたらされた贈り物だ。それを4年前に確かに受け取っていたのに、運命は私達を引き裂いた。けれどこうして再び私達は巡り会って甘い時間を過ごしている。

私は疼く自分自身をエリザベスの柔らかな尻に押しつけて時々なだめながら、私の手の中でしっとりと汗ばんで浅い息を甘く繰り返すエリザベスの蜜壺を掻き回した。

もう直ぐ、もう直ぐ私達はもう一度永遠に結ばれるのだ。








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