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変わる関係
黄家のお迎え
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「…翔海様が乗ってらしゃるとは思いませんでした。」
朝迎えに来た馬車に乗り込むと、奥の席に翔海が座ってこちらを見つめていた。心の準備が無くて一瞬固まったものの、気を取り直して挨拶を済ませた私に翔海が言った。
「今日はせっかくの休暇だからな。少し足を伸ばそうと思ったのだ。永明は仙明境へ行ったことはあるか?そこに私の別邸があるのだ。今夜はそこでゆっくりと過ごそう。」
私は仙明境と聞いて、心が浮き立った。科挙の勉強をしている時に、風光明媚で有名な場所のひとつとして知っていたのだ。私はあまり大袈裟に喜ばない様にしながら、翔海に微笑んだ。
「美しいと評判の仙明境ですか。青い水辺の美しさで有名ですよね?今から行くのですか?私、何の用意も…。」
すると翔海はニヤリと笑って言った。
「何も心配要らない。必要なものは全て揃っている筈だ。永明は美しい仙明境を楽しめば良い。」
そう言うと、私を引き寄せて隣に座らせた。従者の出立しますの声の一瞬後に動き出した車輪の音と振動は、私たちの口づけの音を消してくれた。
なだめる様な翔海の唇は、私をくすぐる様に啄んで、その一方、私の様子を伺っている様だった。私は、翔海のその唇に呼び起こされる、ジクジクした快感の高まりに身体が波打ってくるのを感じた。
翔海は顔を離して、私を覗き込むとうっそりと笑って言った。
「…私の我慢も随分鍛えられそうだ。お前の唇はいつも甘くてやめられない。もう少しだけ口づけを…。」
そう言うと、今度は私の口内を味わう様に、舌を伸ばして柔らかな粘膜をまさぐった。無意識に私もまた翔海の熱い舌を撫でて、甘く吸った。やめられないのは私も一緒なのだろうか。
不意に身体を起こした翔海は、強張った顔を背けて、私をそっと席に座らせて言った。
「まったく。いつの間にか永明に私が翻弄される様になってしまった。これ以上口づけを続けると、この場でお前をとことん貪ってしまいそうだ。」
ぼんやりとしていた私は、翔海の言葉にハッと我にかえると、熱くなった顔を背けて薄い御簾越しに見える外の景色を眺めるともなく眺めた。
私の指に、翔海の大きな手が重ねられて握られると、私は恐る恐る翔海に向き直った。
「可愛い私の猫は、懐いては離れていくな?さぁ、私に寄り掛かって微睡なさい。まだ先は長いぞ。」
そう言って腕を回すと、私を香りの良い着物に包み込んだのだった。
朝迎えに来た馬車に乗り込むと、奥の席に翔海が座ってこちらを見つめていた。心の準備が無くて一瞬固まったものの、気を取り直して挨拶を済ませた私に翔海が言った。
「今日はせっかくの休暇だからな。少し足を伸ばそうと思ったのだ。永明は仙明境へ行ったことはあるか?そこに私の別邸があるのだ。今夜はそこでゆっくりと過ごそう。」
私は仙明境と聞いて、心が浮き立った。科挙の勉強をしている時に、風光明媚で有名な場所のひとつとして知っていたのだ。私はあまり大袈裟に喜ばない様にしながら、翔海に微笑んだ。
「美しいと評判の仙明境ですか。青い水辺の美しさで有名ですよね?今から行くのですか?私、何の用意も…。」
すると翔海はニヤリと笑って言った。
「何も心配要らない。必要なものは全て揃っている筈だ。永明は美しい仙明境を楽しめば良い。」
そう言うと、私を引き寄せて隣に座らせた。従者の出立しますの声の一瞬後に動き出した車輪の音と振動は、私たちの口づけの音を消してくれた。
なだめる様な翔海の唇は、私をくすぐる様に啄んで、その一方、私の様子を伺っている様だった。私は、翔海のその唇に呼び起こされる、ジクジクした快感の高まりに身体が波打ってくるのを感じた。
翔海は顔を離して、私を覗き込むとうっそりと笑って言った。
「…私の我慢も随分鍛えられそうだ。お前の唇はいつも甘くてやめられない。もう少しだけ口づけを…。」
そう言うと、今度は私の口内を味わう様に、舌を伸ばして柔らかな粘膜をまさぐった。無意識に私もまた翔海の熱い舌を撫でて、甘く吸った。やめられないのは私も一緒なのだろうか。
不意に身体を起こした翔海は、強張った顔を背けて、私をそっと席に座らせて言った。
「まったく。いつの間にか永明に私が翻弄される様になってしまった。これ以上口づけを続けると、この場でお前をとことん貪ってしまいそうだ。」
ぼんやりとしていた私は、翔海の言葉にハッと我にかえると、熱くなった顔を背けて薄い御簾越しに見える外の景色を眺めるともなく眺めた。
私の指に、翔海の大きな手が重ねられて握られると、私は恐る恐る翔海に向き直った。
「可愛い私の猫は、懐いては離れていくな?さぁ、私に寄り掛かって微睡なさい。まだ先は長いぞ。」
そう言って腕を回すと、私を香りの良い着物に包み込んだのだった。
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