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変わる関係
休暇
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私は給金を手に、いそいそと家路を急いでいた。官吏になって初めての休みだったので、はやる気持で家へ急いだ。官吏は交代で休むので、同期でも休みの日付けは違う。呉敏英は私よりひと足早く休暇に入っていた。
私は黄翔海に、自分の休暇がいつから始まるか教えるべきかと思ったが、今更態度を変えるのも躊躇われて、結局手紙も出さぬまま寮を出たのだった。
少し行くと目の前に、大柄の黄翔海の従者が馬車の隣に立っていた。
「朱永明様、朱家のお屋敷までお送りします。黄翔海の御指図です。」
私はここで揉めても目立つだけだと、諦めて馬車に乗り込んだ。以前なら有無を言わさずに、黄翔海の屋敷に連れて行かれたはずだ。けれども今日はそうではないらしい。
私の屋敷に到着すると、従者は言った。
「明日の朝、お迎えに参ります。…宜しいですか?」
私は明らかに黄翔海が私に気をつかってくれた事が分かって、心が温かくなった。思わず頷くと、黄翔海からだという包みを、迎えに出て来た上の弟に手渡すと立ち去って行った。
弟は黄家の馬車と手元の包みを交互に見ると、私に躊躇いながら尋ねた。
「永明兄さん、あの、もしかして兄さんと黄翔海様は、その…。」
私は弟にどう言っていいか分からなかったので、にっこり微笑んで言った。
「物好きで、世話好きな男なのさ。さぁ、給金が出たから美味しいものでも食べよう。母上はお待ちか?」
そう言って先に屋敷の中に入った。家族には私が黄翔海の情夫などと知られたくはなかった。しかしこうして黄翔海の世話になっている一方で、身体の関係を持っているのは情夫そのものでは無いだろうか。
私は、明日黄翔海のところに行ったのなら、この際話をつけるべきだと思った。私が月影だろうが、こうして皇帝の覚えめでたければそう問題にはならないだろう。
実際月影は女で、私は男。違うと言えばそのまま通ったのだ。あの時は突然のことで動揺してしまっただけだ。今となっては黄翔海に対して恨む気持ちはほとんどないけれど、かと言ってこの関係は苦々しい。
そう思いながら私は、先日寮へ押しかけた黄翔海を引き止めたのが自分だという事を、思い出して失笑した。結局私も自分の寂しさ、不安な気持ちを黄翔海を利用して晴らしているのだ。
私は今となっては、居心地が良くなって来たこの情夫の関係を手放せるのだろうかと、一人考え込んでいた。
私は黄翔海に、自分の休暇がいつから始まるか教えるべきかと思ったが、今更態度を変えるのも躊躇われて、結局手紙も出さぬまま寮を出たのだった。
少し行くと目の前に、大柄の黄翔海の従者が馬車の隣に立っていた。
「朱永明様、朱家のお屋敷までお送りします。黄翔海の御指図です。」
私はここで揉めても目立つだけだと、諦めて馬車に乗り込んだ。以前なら有無を言わさずに、黄翔海の屋敷に連れて行かれたはずだ。けれども今日はそうではないらしい。
私の屋敷に到着すると、従者は言った。
「明日の朝、お迎えに参ります。…宜しいですか?」
私は明らかに黄翔海が私に気をつかってくれた事が分かって、心が温かくなった。思わず頷くと、黄翔海からだという包みを、迎えに出て来た上の弟に手渡すと立ち去って行った。
弟は黄家の馬車と手元の包みを交互に見ると、私に躊躇いながら尋ねた。
「永明兄さん、あの、もしかして兄さんと黄翔海様は、その…。」
私は弟にどう言っていいか分からなかったので、にっこり微笑んで言った。
「物好きで、世話好きな男なのさ。さぁ、給金が出たから美味しいものでも食べよう。母上はお待ちか?」
そう言って先に屋敷の中に入った。家族には私が黄翔海の情夫などと知られたくはなかった。しかしこうして黄翔海の世話になっている一方で、身体の関係を持っているのは情夫そのものでは無いだろうか。
私は、明日黄翔海のところに行ったのなら、この際話をつけるべきだと思った。私が月影だろうが、こうして皇帝の覚えめでたければそう問題にはならないだろう。
実際月影は女で、私は男。違うと言えばそのまま通ったのだ。あの時は突然のことで動揺してしまっただけだ。今となっては黄翔海に対して恨む気持ちはほとんどないけれど、かと言ってこの関係は苦々しい。
そう思いながら私は、先日寮へ押しかけた黄翔海を引き止めたのが自分だという事を、思い出して失笑した。結局私も自分の寂しさ、不安な気持ちを黄翔海を利用して晴らしているのだ。
私は今となっては、居心地が良くなって来たこの情夫の関係を手放せるのだろうかと、一人考え込んでいた。
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