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悠久の時を微睡む
本来の姿
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ロクシーの何とも言えない仄めかしに僕は戸惑いつつも、ロクシーを散歩に連れ出した。どうしても今のロクシーの姿を見ておきたかったんだ。竜になったロクシーをね?
離宮の奥には王家の森へと続く広大な敷地が広がっている。これは僕がここに住む時に、王様がロクシーの事も一緒に考慮してくれた結果だ。もっとも竜の加護のある国というだけで、この国にはメリットしかないのだからそれも当然なのかもしれない。
「ロクシー、君の本当の姿を僕に見せてくれる?」
僕が隣に立った美しい青年になったロクシーにそう頼むと、ロクシーはニヤリと嬉しげに微笑んで、聞いた事のない声で細く長く叫んだ。
それは僕の頭の中を揺らす様な、痺れる音だった。ロクシーは竜人のまま宙に浮かび上がると、みるみる美しい竜の姿になった。
背中は金をまぶした様な青銅色の鱗が光って、手足や顔は黄金に艶めいていた。淡い琥珀色の鋭い眼差しが前方を見据えて、美しく黒光りする枝分かれした角が頭上に二本突き出ていた。
ロクシーはほのかに透ける美しい膜の張った翼を大きく拡げて、一度その場で羽ばたいた後一気に空へと登っていった。あの金色の竜ほどではないけれど、ロクシーの大きさはそこそこ遜色のないものになっていると思った。
若い竜の漲る勢いで、響き渡る鼓膜を震わす喜びの声は僕の胸を熱くした。一直線に森へと滑降していく竜の姿は美しく、気高かった。
僕は思わず胸が熱くなって、ロクシーと呟いた。すると森の中へと消えたロクシーが僕の前に空気を震わす声を張り上げて現れた。ゆったりと羽ばたくロクシーの姿はもう一人前といえる雄々しい姿だった。
王宮からは離れて崖の方へ来ていたけれど、離宮や建物のあちこちに沢山の獣人たちが顔を見せていた。そこには妃たちも見えた。僕は丁度良い機会なので、ロクシーに頼むことにした。
「ロクシー、僕を乗せたりは出来るのかなぁ。」
するとロクシーは少し小さくなって僕の側の地面に降り立つと、しゃがみ込んだ。
『マモルの考えは安直だと思うけどね、まぁマモルの立場が盤石になるのならアピールも必要かもね。』
そう僕の頭の中に話しかけると、僕が竜の首の後ろに乗り込むや否や、空気を裂いて飛び立った。それは胸が躍るような素晴らしい経験で、僕はロクシーの角に捕まりながら王宮の前を手を振って飛んでみせた。
皆の大騒ぎを横目で見ながら、僕はまさしく竜の加護を持つ不老不死の人間の地位を確立したんだ。それはこの世界で脆弱な人間である僕が、軽んじられない様にするために必要な事だった。
離宮の奥には王家の森へと続く広大な敷地が広がっている。これは僕がここに住む時に、王様がロクシーの事も一緒に考慮してくれた結果だ。もっとも竜の加護のある国というだけで、この国にはメリットしかないのだからそれも当然なのかもしれない。
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僕が隣に立った美しい青年になったロクシーにそう頼むと、ロクシーはニヤリと嬉しげに微笑んで、聞いた事のない声で細く長く叫んだ。
それは僕の頭の中を揺らす様な、痺れる音だった。ロクシーは竜人のまま宙に浮かび上がると、みるみる美しい竜の姿になった。
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若い竜の漲る勢いで、響き渡る鼓膜を震わす喜びの声は僕の胸を熱くした。一直線に森へと滑降していく竜の姿は美しく、気高かった。
僕は思わず胸が熱くなって、ロクシーと呟いた。すると森の中へと消えたロクシーが僕の前に空気を震わす声を張り上げて現れた。ゆったりと羽ばたくロクシーの姿はもう一人前といえる雄々しい姿だった。
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『マモルの考えは安直だと思うけどね、まぁマモルの立場が盤石になるのならアピールも必要かもね。』
そう僕の頭の中に話しかけると、僕が竜の首の後ろに乗り込むや否や、空気を裂いて飛び立った。それは胸が躍るような素晴らしい経験で、僕はロクシーの角に捕まりながら王宮の前を手を振って飛んでみせた。
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