僕は傲慢男のセフレ

コプラ@貧乏令嬢〜コミカライズ12/26

文字の大きさ
7 / 14

覚悟がないセフレの関係

しおりを挟む
 単なる性欲の解消の相手に、タカはなぜ僕を選んだんだろう。それは最初から疑問だった。突然僕に降りかかったこの難問は僕がいくら考えても答えなど出なかった。

 タカはこの手の事に慣れている様なのに、男相手は経験が浅い気がした。だからタカに、どうして男を、僕をセフレに選んだのか思わず尋ねてしまったんだ。


 すると僕からズルリと出てゴムの処理をした後、タカは横たわった僕を見下ろして短い髪を少し掻きむしった。

「…言わなかったか?女は面倒なんだ。しょっちゅう連絡をくれって煩いし、妊娠させない様に気をつけなくちゃいけないだろ?寮にいると、そう外出するのもかったるい。

 その点、男なら寮内で気にせず会えるし。誰でも良いわけじゃないけどな。…奏は俺の好みだったって事だ。何だ不満なのか?それに奏だって、いきなり俺とそう言う事になっても抵抗無かっただろう?…俺、奏に嫌だって言われてないよな?奏は男が好きなんだろ…?」


 僕はそう言われて、聞かなければ良かったと正直思ってしまった。セフレはセフレだ。都合の良い相手で、取り替えのきく相手。僕は一体何を期待したんだろう。僕は黙って身体を起こして立ち上がると、シャワールームに向かって歩き始めた。

「…もう部屋に戻ったら。」

 これ以上タカの顔は見たくなかった。まるで自分が便利なオナホになった気持ちだった。僕自身が男が好きだとか考えた事もないのに、タカが相手だから出来ただけで、他の男とこんな事が出来るとは思えなかった。


 背中に刺さる視線を感じながら、シャワールームに篭って温かなお湯を頭から浴びながら、僕は全て間違ってしまったのかもしれないと思った。タカの事を好きな気持ちが、タカに穢されていく気がした。

 憧れと、純粋な好きと言う恋心をタカに利用されて、踏み付けにされている。肌を合わせている時は幸せだと思っていたのは、自分への騙しだったのかな。


 でもこの関係を僕は手放せるのだろうか。僕の気持ちはタカにあって、身体の関係だけだとしても、タカを誰よりも身近に感じたかったその欲が今の関係になったんだ。

 僕はため息をついてシャワーの栓を捻り止めた。ポタポタと水滴が落ちるのを眺めながら、僕は外の音に耳を澄ました。もうタカは帰っただろうか。何となく顔を合わせるのは気不味い。


 ガチャリとサッシのドアを開けると、タカが横に立っていて黙ったまま僕をタオルで拭き始めた。

「…すまん。言い過ぎた。無神経な事言った‥よな?」

 僕は黙ってタカに雫を拭き取られながら呟いた。

「…僕は今までこんな経験ないんだ。だから自分の性癖も分からない。他の誰かと同じ様にしてみたらハッキリするのかな…。安田君に頼んでみようか。抱いてくれって。」


 するとタカはピタリと手を止めると、僕の顎を掴んで強張った顔で僕を睨みつけた。

「あいつは男は抱かない。それに執行部内で奏を誰かと共有する気はない。…試すなら俺の知らない男にするんだな。」

 そう冷たく言い放つと、踵を返して部屋を出て行ってしまった。僕はノロノロと床に落ちたタオルを拾うと、結局僕がセフレに成りきれないのがこの状況を生んだのだと思った。

 さっきまで気持ち良くて、それこそ嬉しかったはずなのに、もう僕とタカの関係は壊滅的になってしまった。僕が要らぬ事を知りたがったせいなのか、タカは言い過ぎたって謝ってくれたのに。


「もう無理だよ…。」

 僕にはやっぱりセフレなんて無理なんだ。いくら好きな相手だからって、タカに良いように踏みつけにされたくは無かったし、タカにもそんな男になって欲しくなかった。やるなら僕の知らないところですれば良い。

 僕はきっと欲張りになってしまったんだ。タカに優しく愛撫されて、もっと愛されたくなってしまった。このままセフレを続けるなら、僕もタカを利用するくらいじゃないとダメだ。…僕にそんな事出来る?


 僕は鏡に映る自分の顔を見つめて、さっき掴まれた顎に赤く指の跡がついているのに気がついた。

「…タカを僕のセフレにすればいいのかな。」

 鏡の中の僕の顔はそんな冗談に笑えてなくて、耳に届く声はひび割れていた。











しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

【完結】悪役令息の役目は終わりました

谷絵 ちぐり
BL
悪役令息の役目は終わりました。 断罪された令息のその後のお話。 ※全四話+後日談

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

殿下に婚約終了と言われたので城を出ようとしたら、何かおかしいんですが!?

krm
BL
「俺達の婚約は今日で終わりにする」 突然の婚約終了宣言。心がぐしゃぐしゃになった僕は、荷物を抱えて城を出る決意をした。 なのに、何故か殿下が追いかけてきて――いやいやいや、どういうこと!? 全力すれ違いラブコメファンタジーBL! 支部の企画投稿用に書いたショートショートです。前後編二話完結です。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

処理中です...