カワウソの僕、異世界を無双する

コプラ@貧乏令嬢〜コミカライズ12/26

文字の大きさ
58 / 148
包囲網

ガブリエルの牽制

しおりを挟む
「ジュ、ジュシア!あっちまで行こうよ!」

僕とアルフレッドが見つめ合っていると、ガブリエルが僕の手を引っ張ってトンネルの出口まで急に走り出した。僕は慌てて小走りで、ガブリエルと一緒に滝壺の後ろのトンネルを抜けた。

「何あれ。何が夜の散歩にはロマンチックだよ。こんなじめついた所の何処がロマンチックなんだよ。どうかしてるよ。」

そう歯を剥き出して、アルフレッドの言ったことに真っ向から文句を言うガブリエルに、僕は困ってしまった。後ろからアルフレッドがついてくるのに、流石に格上の家の相手にその態度はダメだろう。


「…ガブリエル様、もっと大きくなったら飛び込みをさせてもらいましょう。アルフレッド様、まだガブリエル様にはワイルドな遊びは難しい様です。今日は素敵なお庭を見せて頂いてありがとうございました。」

すると、ガブリエルが急に僕に食ってかかった。

「ジュシア!僕だって滝壺にジャンプくらい出来るよ!」

すると困り顔のアルフレッドがガブリエルに尋ねた。


「ガブリエルは泳げるのかい?泳げないならやめておいた方が良いよ。」

少し涙目のガブリエルが可愛くて、僕は思わずガブリエルに尋ねた。

「じゃあ、僕が一緒に飛び込んであげるよ。どうかな。」

するとガブリエルの目が喜びで輝いて、コクコクと頷いた。少し離れた場所で様子を見ていたケニーが、慌てて近づいてきてガブリエルに言った。

「ガブリエル様、まさか滝から飛び込むとかしませんよね?ジュシア、坊ちゃんはまだ7歳だ。危険すぎる!」


するとアルフレッドがにこやかに近づいてきて言った。

「泳ぎの上手なジュシアと一緒なら大丈夫でしょう。私も一人で飛び込んだのは学院へ入って直ぐでしたから。いざとなったら私も飛び込んで引き上げましょう。一度やったら楽しくて何度も飛び込みたくなると思うな。取り敢えず上から覗いてみたらどうかな?」

侯爵家の御令息にそう言われたら、ケニーも何も言えなかった。僕たちはもう一度裏のトンネルに入って階段を登ると、滝の上から滝壺を覗き込んだ。少し高いけれど、大人の背ほどの高さだから僕にはどうってことは無かった。


「ガブリエル、どうする?別に飛び込まなくたって良いんだけど。僕もガブリエルくらい小さな頃は、こんな危険な遊びはしなかったよ。」

僕がそう言うと、ガブリエルは少し迷ったみたいだったけれど、滝壺の向こうから僕らを見上げているアルフレッドを、チラッと見ると首を振って言った。

「ジュシアと一緒なら怖くないから。」


僕はクスッと笑うと、取り敢えず脱げるものを脱いで飛び込んだ方が良さそうだと話して、下に戻ろうとガブリエルを促した。その時にガブリエルの足元が滑ったのが見えて、僕は慌ててガブリエルをキャッチすると、一緒に着の身着のまま滝壺へと真っ直ぐに落ちて行った。

しおりを挟む
感想 124

あなたにおすすめの小説

愛され少年と嫌われ少年

BL
美しい容姿と高い魔力を持ち、誰からも愛される公爵令息のアシェル。アシェルは王子の不興を買ったことで、「顔を焼く」という重い刑罰を受けることになってしまった。 顔を焼かれる苦痛と恐怖に絶叫した次の瞬間、アシェルはまったく別の場所で別人になっていた。それは同じクラスの少年、顔に大きな痣がある、醜い嫌われ者のノクスだった。 元に戻る方法はわからない。戻れたとしても焼かれた顔は醜い。さらにアシェルはノクスになったことで、自分が顔しか愛されていなかった現実を知ってしまう…。 【嫌われ少年の幼馴染(騎士団所属)×愛され少年】 ※本作はムーンライトノベルズでも公開しています。

わからないから、教えて ―恋知らずの天才魔術師は秀才教師に執着中

月灯
BL
【本編完結済・番外編更新中】魔術学院の真面目な新米教師・アーサーには秘密がある。かつての同級生、いまは天才魔術師として名を馳せるジルベルトに抱かれていることだ。 ……なぜジルベルトは僕なんかを相手に? 疑問は募るが、ジルベルトに想いを寄せるアーサーは、いまの関係を失いたくないあまり踏み込めずにいた。 しかしこの頃、ジルベルトの様子がどうもおかしいようで……。 気持ちに無自覚な執着攻め×真面目片想い受け イラストはキューさん(@kyu_manase3)に描いていただきました!

病み墜ちした騎士を救う方法

無月陸兎
BL
目が覚めたら、友人が作ったゲームの“ハズレ神子”になっていた。 死亡フラグを回避しようと動くも、思うようにいかず、最終的には原作ルートから離脱。 死んだことにして田舎でのんびりスローライフを送っていた俺のもとに、ある噂が届く。 どうやら、かつてのバディだった騎士の様子が、どうもおかしいとか……? ※欠損表現有。本編が始まるのは実質中盤頃です

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

婚約破棄されて森に捨てられたら、フェンリルの長に一目惚れされたよ

ミクリ21 (新)
BL
婚約破棄されて森に捨てられてしまったバジル・ハラルド。 バジルはフェンリルの長ルディガー・シュヴァに一目惚れされて、フェンリルの村で暮らすことになった。

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…

月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた… 転生したと気づいてそう思った。 今世は周りの人も優しく友達もできた。 それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。 前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。 前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。 しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。 俺はこの幸せをなくならせたくない。 そう思っていた…

嘘はいっていない

コーヤダーイ
BL
討伐対象である魔族、夢魔と人の間に生まれた男の子サキは、半分の血が魔族ということを秘密にしている。しかしサキにはもうひとつ、転生者という誰にも言えない秘密があった。 バレたら色々面倒そうだから、一生ひっそりと地味に生きていく予定である。

目撃者、モブ

みけねこ
BL
平凡で生きてきた一般人主人公、ところがある日学園の催し物で事件が起き……⁈

処理中です...