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辺境伯の使者

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色々なことを自重無しに始めた俺は、意外と早く噂がこの街を巡っていた。
この街を治める辺境伯からの使者が来たのは、商業ギルドの契約が済んで数日後のこと。

「辺境伯様の使者ですか・・それで俺に何か御用でしょうか?特に接点はなかったと思いますが。」
「はい今回お伺いしたのは初めてのことです。ただ貴方様がこの街で王都まで影響を振り撒くような発明や数十年ぶりのSランクの魔物の素材をオークションに出品されたのは分かっております。」
『え!名前を伏せて出品したのに、個人情報ダダ漏れじゃないか。』
「それで辺境伯様が俺に用というのは・・何か問題がありましたか?」
「いえいえ、問題というものではなくそれ以上にこの街に富と人をもたらしたことの対するお礼と考えてください。」
という使者の言葉を信じると、
・辺境伯の治めるこの街が俺の便利発明品で、賑わっている事が良いこと
・オークションで珍しい素材を出したのがこの街の冒険者で、その実力が評価されていること
・王都に影響を与える俺に顔繋ぎをして今後の関係を作りたいこと
ということだろうか。
「はいそれで辺境伯様は、俺に何をお求めで?」
「物分かりがお早くて助かります、主人は貴方と友好な関係を築きたいと考えております。そこで夕食会にお誘いして忌憚ないご意見や人柄を確認したいと申しております。」
「歯に絹着せぬお話助かります。特に予定はございませんので予定はそちらにお任せします。それと俺には3人の仲間がいるので、4人での参加でも構いませんか?」
「勿論でございます。それでは3日後の午後にお迎えにあがらせてもらいます。」
「はい3日後ですね。それと辺境伯様へのお土産は何がいいでしょうか?参考までにお教えくださると助かります。」
と話を向けると
「はい我が主人は、辺境伯のため魔物狩りの装備や武器またはポーションを集めるのがお好きです。さらに奥様やお嬢様方は美容と甘味に目がございません。」
とサラッと教えてくれた使者に俺は、「できる男」のレッテルを貼り付けた。

去っていく使者を見ながらカティーが
「ご主人様、辺境伯というものは何でございますか?」
と聞いてきた他の2人も聞き耳をたたえている
「まずこの世界には俺のよく知らないが幾つかの国に分かれてそこの住む者を統治して一つの世界が作られている。これを王国と言うそこの代表は国王と言われるもので、その下に貴族と呼ばれる者たちが国を細分化して治めておるのだが、その中で他国と接する又は危険な森と接する領地を治めて危険を防いでいる者に辺境伯という地位があるのだ。
この街はその辺境伯が治める街の一つということだ。」
と話すとコロネは首を傾けてぽやっとしているが、ムラサキとカティーは頷いていて理解しているようだ。
「まあここを治める辺境伯が俺にとって敵になるようならここを出ていくことになるだろう。まずは人となりを見てみようかな。」
と言いながら俺は、お土産を用意するために情報収取に街に繰り出した。


ーー 辺境伯 side

私は、セントレア王国の北端に領地を持つタイガード辺境伯である。
我が領地は魔境と呼ばれる大森林と接する、故に魔境から溢れ出る魔物を倒し防いで王国の民を護るのが私の任務である。
その私が知らぬ間に魔境でSランクの魔物を倒した者がいると知ったのは、偶然だった。

王都のオークションで週10年ぶりの出物があった、AやSランクの魔物の魔石や素材だ。
その数や種類からしてかなり強いパーティーが数十体の高ランクの魔物を倒した事がわかった。
ただ出品者は、匿名であり担当者に尋ねるも若い男が1人で交渉に来たと言うことだった。
その後、我がアレクサンドリアの街で面白いものが売り出されていると耳にした。
部下をやってその仔細を確認すると、
・トイレや風呂・シャワーという便利な魔道具がかなり噂になっている
・お湯を作り出す魔道具や煮炊きのできる魔道具が売り出されている
・この王国では珍しいスパイスや塩砂糖が安く売り出されている
・ゴムという物がありそれを使った下着や服はとても着心地が良い
・スプリングという物が発明され、ベットやソファーに使うととても寝心地が良い
などと数多くの発明や輸入品が街に数多く提供されているようだが、その提供者はまだ若い男1人だという。
冒険者ギルドで確認したところ、最近この街に流れて来た冒険者がかなりの強さがあり、Aランクの魔物の素材を売りに来た事がある。
これらの話をまとめると、この街に来て冒険者になった男が魔境の高位の魔物を狩り素材を売っている、ここで売れないものは王都のオークションに出品したようだ。
街に溢れ始めた便利な魔道具やスパイス類についてもこの男が関わっているらしい。
これだけ分かればこの男を知りたいともうのは、辺境伯としては当然のこと。
できれば良い関係を築き今後もこの領地の防衛に尽力してもらえるようにお願いしたい。
そこで私は、この者に夕食会の誘いをかけてみたのだが、快く受けたようだ。
明日の夕食が楽しみだ。

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