土下座で女神に頼まれて仕方なく転生してみた。

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新しい住まい

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ーー 新しき住まい、その前に。


その後すぐに家の契約を結ぶと、必要な家財と下働きやメイドが手配され、3日後には住めるだろうと言われた。
それまで商会の離れで過ごすことになった。

その間にファーストは、診察に訪れた医師の様子を確認していた。
訪れた医師は完全に完治した娘を見て
「信じられぬ。あの毒や呪いを受けながら・・今一度。」
と呟きながら
「これは一時的に良くなった様に見えるが、悪い状況です。この薬を朝晩服用してください。」
と言うとそそくさと商会を出た。ファーストはその薬を取り上げるとその医者の後を追った。


  とある屋敷にて


医師の後つけると大きな屋敷に入っていった。
ここは領主の館の一つの様だ。

「どうした今頃、娘が死んだか?」
と尋ねる太った主人の様な男、それに医師が答える
「それが・・治っていたのです、全て。」
と答える医師に
「そんな筈はあるまい、あの毒は解毒薬がない上に呪いは高位の司祭でなければ解呪できないはずと聞いておる。」
と言う男。

そこにお茶を持ってきたメイドの隙を見てファーストはあの薬を3倍ずつ入れてやる。
お茶を飲みながらこれからのことを話し合う男と医師の体調に、異変が少しずつ現れ始める。
ファーストはそれを確認するとメモをそっと置く
[お前達が飲んだお茶には、例の毒が入れてある。結果は自分達が一番知っておろう。悔やみながら死ぬが良い。]
と書かれていた。

そのメモを見た男達は慌てた、解毒薬がないと言うことで使用した毒を飲んでしまったのだ。
慌てて2人は黒幕の所へ急いで向かう。


それから2人を乗せた馬車は別の屋敷に向かった。
どうやらここは国王の息子で王都を領地としている息子(次期国王)の屋敷の様だ。
「どうした?領主代理。それにガセル(医師)。」
と青い顔の2人に声をかけた領主。
「それが・・あの娘が病から回復しておりさらに何者かが、我らにあの毒を飲ませたのです・・どうか解毒薬を・・。」
と言う領主代行に
「そうか。それで術師が死んだのか。分かった皆ご苦労だった後にことは気にせず死んでくれ。」
と言いながらカップの酒を煽った。
「は?何ですと?解毒薬をいただけないと言うのですか?何故なのです今までの事を期した書類を私は持っているのですよ。」
と最後のカードを切った領主代行に
「屋敷ごと燃やして終えば良かろう、一族も皆殺しにしてやろう。」
と答える領主に怒りの顔を見せる領主代行。
しかしその時、領主の具合が悪くなる
「何だこれは?」
胸を抑える領主を見て、医師が
「貴方も毒を盛られたようですね。」
と一言。

「馬鹿な!あの毒には解毒薬はない。」
と焦り出す領主。
その後3人はその場で動けなくなり、王国からの医師団が解毒を試みるが全く出来ない。
そこで領主らは、件の商会を呼びつけ解毒方法を聞き出すことにした。
その時にはファーストは領主代行の秘密のメモなどを見つけて、所持しているのだがそれを知らない。
城の兵隊はさも罪人の様に、医師に化けたファーストを城に連れて行き。
「お前が毒を領主様に盛ったのだろう。さっさと解毒の薬を出せ。」
と命令してきたが、ファーストは
「何のことかさっぱりわかりませんな。毒とはどれのことですか?毒自体がなければ解毒薬など作れませんが。」
と断ると。

これがその毒だと別の男が持ってきた。
そこでファーストは、
「その毒はどこから入手したのですか?少なくとも商会にはその様な毒はありませんでしたよ。」
と答えるとその男は
「その様な詮索は不要だ、さっさと解毒薬を作れ!」
と命じた
「申し訳ありません。私は解毒薬を作っておりませんので、お断りします。」
と答えると牢に押し込められた。

次第に具合の悪くなる3人、このままでは死んでしまうと思い悩んだ領主は。
「あの者を探して薬をつくらせよ。」
と側近に命じ始めた。
命じられた側近は、裏組織のあるスラムに向かいある組織にまとめ役に合うと
「我が主人がその方が紹介した薬師の毒を盛られて苦しんでおる、あの者を探して解毒薬をつくらせよ。」
「それは出来ない相談ですな。あの時決して解毒薬を作らせるわけにはいかぬから、薬師は殺せと言われたのはあなた方のほうでしょう。」
「何、それではあの薬師は生きていないと言うのか?」
「さあ、それは・・・これ次第ですよ。」
と金を意味する合図をするまとめ役。

「おのれ調子に乗りよって!」
と言いながら剣に手をかけるが、相手の手下の方が多い。
「幾らで薬を持ってくるのだ?間に合わなければ、お前らも皆殺しになるのは逃れられんぞ!」
と凄む側近にまとめ役の男は。
「そうですな、一人分金貨500でいかがでしょうか。」
「足元を見おって、分かった直ぐに一人分持って寄越せ!」
と言うと側近は帰っていった。」

「お頭、薬師はもうこの国にはおりませんぜ。どうするので?」
と言うと手下に
「なあに俺が何もせずにアイツを逃したと思っていたのか?3人分の解毒薬を作らせていたんだよ。」
と笑いながら話したて
「おい!この薬を3倍に薄めて来い。」
と一つの薬瓶を渡した。
「これで3回は金が取れるぜ。」
とほくそ笑む男だった。

暫くすると領主邸に薬が届けられた。
「これに間違いないのだろうな。」
と言う側近の金を求める使いの男、
「本物かどうかも分からぬ薬に金を出せるものか。」
と取り合わない側近に
「わかりやした、そのお言葉お頭にしっかり伝えます。後悔しないことですな。」
と含みを持った男の言葉に、不安を感じたが側近は男を追い出した。

薬をにませると、領主は容体が持ち直した。
しかし完治とまではいかない状態が続く、他の二人はそのまま死んでしまった。

「どうしたのだ?薬は効いているはずなのに、体調が回復しない。」
容態を見た医師が
「まだ毒が消えきっていないようです。先程の薬はもう無いのでしょうか?」
と側近に尋ねる、ここで側近はあの男の言葉を思い出す。
「やられた、薬を薄められたのか。」

「おい!兵を集めよ。領主様を謀る犯罪者どもを徹底的に叩く、そして薬を手に入れるのだ。直ぐに兵を集めよ!」
側近は強硬手段に出たのだ。

その動きを嗅ぎ取ったスラムの犯罪者たちは、防戦の準備をとり始めた。


ーー スラムの市街戦。


領主兵2000人がスラム街に向かう、スラム街はと言うとバリケードを築き完全に抵抗姿勢を見せる。
スラム側は時間をかければいいのだ、毒は薄まったと言えでも効果は続いているのだ。
早めに解毒薬を飲まなければ完治できるかわからないのだ。

領主兵は、強引な手に出た、火を放ったのだ。
出口を塞ぎ、火を放ってスラムの人間共に闇に葬ろうと考えたのだ。

燃え盛る炎に逃げ場を失ったスラムの住人、阿鼻叫喚の地獄絵図がそこにあった。
まとめ役の男は、
「あいつらバカなのか。ここまでやられて俺が薬を渡すと思っているのか。苦しんで死ねばいい。バカな野郎どもが・・はははは。」
その言葉を残して、男の姿はその後誰も見たものはいなかった。
当然薬も見つけることができず、領主は10日後に苦しみながら死んでいった。


その頃ファーストは、いつの間にかそのゴタゴタの騒ぎの中、牢を抜け出して新しき家に戻っていた。
当然領主の側近がファースト扮する医師を探し回るも、ようとしてそのゆくへは分からなかった。
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