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当たらな生活、冒険者家業
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新しい家と仲間を得て、俺は暫くこの国に腰を落ち着けることにした。
家の諸々は雇い入れたメイドなどがやってくれるので、俺たちは冒険者ギルドに向かい適当な依頼を探した。
「ファースト様、これなどどうでしょうか?」
ルシファーが一枚の依頼書を見せてきた。
~村のそばにゴブリンが巣を作り困っています。
討伐依頼 報酬 金貨1枚 日時 即日
依頼者 コンフェグ村 イーリア~
俺はそれをみながら、二人のレベル上げにちょうどいいと思い受けることにした。
この依頼を誰も見向きもしないのは、魔物の状況と報酬からだ。
ゴブリンは単体では弱いが、巣を作るほど大きくなると危険度が跳ね上がる。
さらにその様な可能性があるのに報酬が金貨1枚では割が合わないのだ。
依頼書を受付に持って行き手続きを頼むと
「ファースト様、この依頼をお受けいただきありがとうございます。このまま放っておけば国難になる恐れがありました。お気をつけてください。」
とお礼を言った。
目的地まで馬車を雇い向かう、2日の行程だ。
途中野営をしたとこで、魔物が意外といることに気づいた。
「目的のゴブリンはかなり大きな巣を作っている可能性があるな。」
と独り言を言いながら
「二人ともいいレベル上げの機会だから、可能な限りゴブリンを倒せよ。」
と言うと二人とも装備の確認を始めたのだった。
次の日の昼に目的の「コンフェグ村」に着いた。
村人の顔には不安の色しか見えない。
村長に挨拶をすると、村長病気で伏せっており代わりに依頼者イーリアが対応した。
孫娘だそうだ。
「依頼をお受けいただきありがとうございます、しかし既にゴブリンはかなりの数になっている様で、討伐は難しいと・・・。」
と言うイーリアに
「気にする必要はない、ただこの村の防御では、溢れ出たゴブリンを防げないだろう。少し許可するが構わないか?」
と聞けば「お願いします」と頭を下げた。
俺は二人に偵察兼ゴブリン狩りを指示して、村の周囲を確認した。
「深いがいい水脈がある、森の木とコンクリでいいか。」
と独り言を言いながら、土魔法で村を大きく囲むような堀を作り始めた。
幅10m深さ5mの掘りだ、これに水を入れればかなり防衛力は上がるだろう。
近くの森に行き、太い木を何本も切り倒すと収納を繰り返して村に戻る。
収納していた丸太にすると、「性質変換」を駆使して鋼鉄の様な強度を与える。
堀の内側に等間隔で穴を掘り、丸太を埋め込む。
丸太と丸太の間を土魔法で掘り下げた分の土を壁の様に積み上げる。
積み上がった土を「性質変換」でコンクリート用に丈夫な壁に変える。
ここまでの作業に3時間、その全容を知ったイーリアが腰を抜かす様に驚く。
「これは今つきられたのですか?」
とやっとの思いで聞いてきたイーリアに
「ああそうだこれならゴブリン程度なら問題ないだろう。」
と答えて昼食の用意をする。
今日の昼食は、オークの肉を細かく裁断してこねたハンバーグだ。
その頃討伐兼偵察を終えた二人が帰ってきた。
「いい匂いですね。美味しそうです。」
と言うソーニャに
「報告が先だろう。」
と言えば
「はい、ゴブリンの巣を見つけました。数はおよそ300で、ゴブリンキングの存在を確認しました。」
と報告した、それを横で聞いていたイーリアは青ざめていたが
「問題ないよ安心しな。明日にでも片付けてやるから。」
と言うと皆んなでハンバーグを食べ始めた。
「これ美味しいわ。」
と少し元気になったイーリアがお代わりをしていた。
ーー ゴブリン退治
次の日の日の朝早く、俺らはゴブリンの巣の近くに立っていた。
「装備を確認しろよ、俺が大きな魔法を巣の中心に落とすからそれを合図にゴブリン狩りだ。」
と言うと二人を左右に分けて、まだ寝静まっているゴブリンの巣に無数の岩を落とす。
「アース・ホール」
「ドドドドーン!」
いくつもの岩の落下による、音と振動がゴブリンの巣を襲う。
大半のゴブリンがこの攻撃で死に絶えた。
逃げ惑うゴブリンを二人が襲う、声を上げる暇もなく倒されるゴブリンをみながら俺は親玉を探す。
「いた!アイツがキングだな。」
一際大きなゴブリンを見つけ、前に立ち塞がると驚きの後怒りの顔になるキング。
「ガアアーオ!」
威圧を込めた威嚇をするので、
「うるせー!」
と俺も威圧を込めて叫ぶと、キングとその周辺のゴブリンが固まったように止まる。
「何だ、この程度の物か。」
少々がっかりした俺だが、そのままキングに近づくと刀を振る。
ゴブリンキングの首が落ちる。
周囲のゴブリンは威圧だけで息の根が止まった様に死に倒れる。
その後10分ほどで二人が集まってきた。
「「ファースト様、ゴブリンの殲滅終了しました。」」
と、報告した。
ゴブリンの討伐証明を回収するために、岩を収納しゴブリンの耳を切り取る。
その数330であった。
ゴブリンキング1、ゴブリンナイト4、ゴブリンメイジ3、ゴブリンエリート2
が上位種であった。
次の日村の中に井戸を掘ると溢れる水を外の堀に流した。
「これで依頼は終了したので我らは帰る。」
と言うと歩きながら村を出た。
途中途中、魔物を見つけると倒しながら二人の訓練がてらの移動を行う。
3日目の昼前に王都の城壁が見えてきた。
門兵に挨拶しながら門を潜りギルドに戻ると、受付に依頼達成の報告を行う。
「あ!ありがとうございます。それでゴブリンはどのくらいいたのですか?」
と言うので、大きな耳袋を取り出し
「ゴブリンキング以下330匹分の耳だ。確認してくれ。」
と言うと驚きながらも奥に袋を持っていくと確認作業を行っていた。
その頃ギルド内では、若い女性を連れた若者が大きな顔で受付に来ていると噂が立っていた。
「おいアイツみない顔だが、粋がっているな。先輩として注意せんとな。」
と言いながら普段から評判の悪い冒険者らが五人がファーストの方に歩いてゆく。
「おいお前!最近ここにきたのか?俺ら先輩に挨拶がないが、礼儀を教えてやろうか。」
と絡み出した、そのうちの数人がルシファーやソーニャに触り出したがその瞬間。
「「ドーン、ギィヤー」」
二人に揃って投げられ抑えつかられた。
「お前ら何するんだ!」
声をかけた男が慌てて、ルシファーたちに怒鳴る
「何て、女性に気安くさわれば痛い目に遭うのは当然だろう。弱いんだから遠くで眺めるだけにしておけよ。」
とファーストが挑発する様に言うと。
怒りに血が昇ったか残りの三人がファーストに飛びかかろうとした。
しかしその手足は一歩も動かすことはできなかった。
「おめえ何をした」
男がやっと声を出すと、ファーストは
「何も、お前の体の方が正しい判断をしたんじゃねえか。もしそれ以上かかって来れば腕か足を切り飛ばすとこだったんだが。」
と言うと受付カウンターに向き直って、男らを無視した。
ルシファーらに押さえつけられていた男らも二人に蹴飛ばされてふらふらと立ち上がった。
五人の冒険者は、そこに集まった冒険者の笑いものになっていると分かり、このままではいられないと覚悟を決めたか、剣を抜くと
「許せねえ、お前らの手足を切り飛ばして奴隷省に売り飛ばしてやらー。」
と言いながらファーストの方に一歩足を踏み出したその時、風が吹いた。
五人はそれぞれの両足を斬り飛ばされていた。
「「「イデーッ!足がー!」」」
床を転げ回る冒険者を無視しているファースト達。
そこにさわぎを聞きつけたギルマスが現れた。
「何を騒いで・・・どうしたんだこれは。」
とその場にいた冒険者らに聞くがみな
「「分からない、突然そこの冒険者に襲い掛かろうとして・・次に瞬間こうなっていた。」」
と言う話ばかり。
ギルマスはその話からファーストたちが何かをしたと思い
「お前ら話聞くからちょっと来い。」
と声をかけたが、ファーストは全く反応しない。
イラッとしたギルマスがファーストの襟を掴もうと手を伸ばした瞬間、天地が反転して床に叩きつけられていた。
「何だ!!」
驚いたギルマスは、起き上がりながらファーストを見直すと顔色を変えた。
「おま・・貴方は、ファーストと言う名の冒険者か?」
と問えばファーストは初めてギルマスに顔を向け
「そうだ俺はファーストだ、今依頼の完了の報告で手続き中だ、要件は後にしてくれ。」
と言うとまた前を向き直した。
ギルマスは、床に転げ回っている冒険者を医務室に連れて行かせるとギルド職員に
「あの男はどこの依頼を受けたんだ」
と聞いてきた。
「コンフェグ村のゴブリンの巣の討伐です。」
と答えたら職員に頷くと、裏の方に姿を消した。
ギルド内は静寂に包まれていた。
いかに普段鼻つまみの冒険者と言え、目の前で両足を斬り飛ばされたのをみたのだ。
あの男が他の冒険者に何もしないでと言うと保証はない。
皆静かにギルドを後にした。
静かになったギルドに数を確認してきた職員が戻ると
「あれ?えらく静かですね。ファースト様、330のゴブリンの耳確認できました。中に上位種が10体ありました。報酬は金貨1枚で買取額は金貨150枚です。お確かめください。」
と報酬と買取金額をカウンターに置いた。
ファーストはそれを無造作に掴むと
「また来る」
と言い残しギルドを後にした。
ーー 王都冒険者ギルドのギルマス side
先日、コンフェグ村の依頼を受けた者がいると聞いた俺は、この後この依頼がスタンピードかゴブリンキング発生の報告か、どのみち王国に依頼をする案件になると確信していた。
王国に打診をしているがあまりいい回答は無い。
しかし、馬車で2日の森でもしゴブリンキングの発生やそれからのスタンピードとなれば、この王都の被害を受けないはずもなく、そのために確かな情報がほしかったのだ。
えらくギルドの方で騒ぎ声が聞こえる、またアイツらが騒いでいるのか。
と思いながら部屋から出てみると、アイツらが床を転げ回っている、しかも両足を斬り飛ばされて。
その相手が誰かわからない状態、付近の顔見知りの冒険者らに聞くもカウンターに居る若い冒険者に絡んだらしいがするとこの状態になっていたと言う。
俺はその若い冒険者に声を掛けるが無視するので、襟首を掴んで引きずろうとした途端、床に倒れ天井を見ていた。
何が起きたかわからなかった、現役を離れたといえ元S級の俺が・・!
最近よく聞く情報が頭をよぎった。
そこで若い男に
「おま・・貴方は、ファーストと言う名の冒険者か?」
と問えばその男は初めてこちらを向いて
「そうだ俺はファーストだ、今依頼の完了の報告で手続き中だ、要件は後にしてくれ。」
と言うとまた前を向き直した。
これで判明した、コイツは各国の国王も膝まつかせる化け物の男だ。
決して上から声をかけてはいけない、立ち塞がってはいけないのだ。
俺は直ぐに倒れている男たちを医務室に運び込ませると、裏の解体所に向かった。
そこでは沢山のゴブリンの耳を確認していたが
「これはゴブリンキングか!これはナイトにエリート、メイジまでいるぞ。」
と言う声を聞き、俺もそれを確認した。
間違いないあの数でこれらを討伐するなど人外なものしか考えられん。
そのあと医務室で男たちの聞き取りをしていた。
初めは自分達は何も悪くない突然切られたと言っていたが、俺が
「嘘を言えばお前達家族もろとも処刑されるだろう。アイツは王国すら潰している化け物だぜ、本当のことを言わなきゃ俺はお前達をこのまま王国に突き出す必要がある。」
と言うと突然、自分達がいつもの様に絡んだと話出した。
俺は
「お前達は運がいい、足だけで済んだんだ。他の国では貴族だろうが皆死んでいる。」
と言うと皆ガクリと頭を落として悔やんでいた。
恐ろしいやつがこの国に来たんもんだ、他の冒険者にも注意する様伝えておこう。
ーー 冒険者家業
この王国に腰を落ち着けて早く3ヶ月が経った。
冒険者として依頼を受けては、二人のレベルアップをして過ごす内に人の国に慣れてきた二人が
「今度お休みに街に買い物に出ていいですか?」
とソーニャが聞いてきた。
そう言えば、小遣いをやっていなかったな。
「これで好きなものを買いなさい。」
と言いながら二人に金貨10枚ずつ渡した。
「これ多すぎますよ。」
と言うソーニャに
「余れば次の時に使えばいいだろ。」
と言うと俺は外に出て行った。
最近ふらりと冒険者ギルドに足を運ぶことが多い。
依頼は色々なものがあり、高難易度なものからたわいのないものまで多種多様だ。
その中にダンジョン探索というのが目に止まった。
「この国にダンジョンがあったのか?」
と思いながら受付嬢に
「あそこのダンジョンの依頼は、この近くにダンジョンがあると言うことか?」
と聞くと
「はい、ファーストさま。最近ダンジョンが見つかったんです。まだ詳しいことがわからないので、調査を兼ねて募集をしています。ファースト様が希望されればギルドとしても大変助かりますが。」
と言うことだった。
「ん~。調査は人に任せよう。攻略の時は声をかけてくれ。」
と言うとギルドを後にした。
こんな感じでスローライフ的な生活を始めた俺は、意外とこの生活が気に入っていた。
家の諸々は雇い入れたメイドなどがやってくれるので、俺たちは冒険者ギルドに向かい適当な依頼を探した。
「ファースト様、これなどどうでしょうか?」
ルシファーが一枚の依頼書を見せてきた。
~村のそばにゴブリンが巣を作り困っています。
討伐依頼 報酬 金貨1枚 日時 即日
依頼者 コンフェグ村 イーリア~
俺はそれをみながら、二人のレベル上げにちょうどいいと思い受けることにした。
この依頼を誰も見向きもしないのは、魔物の状況と報酬からだ。
ゴブリンは単体では弱いが、巣を作るほど大きくなると危険度が跳ね上がる。
さらにその様な可能性があるのに報酬が金貨1枚では割が合わないのだ。
依頼書を受付に持って行き手続きを頼むと
「ファースト様、この依頼をお受けいただきありがとうございます。このまま放っておけば国難になる恐れがありました。お気をつけてください。」
とお礼を言った。
目的地まで馬車を雇い向かう、2日の行程だ。
途中野営をしたとこで、魔物が意外といることに気づいた。
「目的のゴブリンはかなり大きな巣を作っている可能性があるな。」
と独り言を言いながら
「二人ともいいレベル上げの機会だから、可能な限りゴブリンを倒せよ。」
と言うと二人とも装備の確認を始めたのだった。
次の日の昼に目的の「コンフェグ村」に着いた。
村人の顔には不安の色しか見えない。
村長に挨拶をすると、村長病気で伏せっており代わりに依頼者イーリアが対応した。
孫娘だそうだ。
「依頼をお受けいただきありがとうございます、しかし既にゴブリンはかなりの数になっている様で、討伐は難しいと・・・。」
と言うイーリアに
「気にする必要はない、ただこの村の防御では、溢れ出たゴブリンを防げないだろう。少し許可するが構わないか?」
と聞けば「お願いします」と頭を下げた。
俺は二人に偵察兼ゴブリン狩りを指示して、村の周囲を確認した。
「深いがいい水脈がある、森の木とコンクリでいいか。」
と独り言を言いながら、土魔法で村を大きく囲むような堀を作り始めた。
幅10m深さ5mの掘りだ、これに水を入れればかなり防衛力は上がるだろう。
近くの森に行き、太い木を何本も切り倒すと収納を繰り返して村に戻る。
収納していた丸太にすると、「性質変換」を駆使して鋼鉄の様な強度を与える。
堀の内側に等間隔で穴を掘り、丸太を埋め込む。
丸太と丸太の間を土魔法で掘り下げた分の土を壁の様に積み上げる。
積み上がった土を「性質変換」でコンクリート用に丈夫な壁に変える。
ここまでの作業に3時間、その全容を知ったイーリアが腰を抜かす様に驚く。
「これは今つきられたのですか?」
とやっとの思いで聞いてきたイーリアに
「ああそうだこれならゴブリン程度なら問題ないだろう。」
と答えて昼食の用意をする。
今日の昼食は、オークの肉を細かく裁断してこねたハンバーグだ。
その頃討伐兼偵察を終えた二人が帰ってきた。
「いい匂いですね。美味しそうです。」
と言うソーニャに
「報告が先だろう。」
と言えば
「はい、ゴブリンの巣を見つけました。数はおよそ300で、ゴブリンキングの存在を確認しました。」
と報告した、それを横で聞いていたイーリアは青ざめていたが
「問題ないよ安心しな。明日にでも片付けてやるから。」
と言うと皆んなでハンバーグを食べ始めた。
「これ美味しいわ。」
と少し元気になったイーリアがお代わりをしていた。
ーー ゴブリン退治
次の日の日の朝早く、俺らはゴブリンの巣の近くに立っていた。
「装備を確認しろよ、俺が大きな魔法を巣の中心に落とすからそれを合図にゴブリン狩りだ。」
と言うと二人を左右に分けて、まだ寝静まっているゴブリンの巣に無数の岩を落とす。
「アース・ホール」
「ドドドドーン!」
いくつもの岩の落下による、音と振動がゴブリンの巣を襲う。
大半のゴブリンがこの攻撃で死に絶えた。
逃げ惑うゴブリンを二人が襲う、声を上げる暇もなく倒されるゴブリンをみながら俺は親玉を探す。
「いた!アイツがキングだな。」
一際大きなゴブリンを見つけ、前に立ち塞がると驚きの後怒りの顔になるキング。
「ガアアーオ!」
威圧を込めた威嚇をするので、
「うるせー!」
と俺も威圧を込めて叫ぶと、キングとその周辺のゴブリンが固まったように止まる。
「何だ、この程度の物か。」
少々がっかりした俺だが、そのままキングに近づくと刀を振る。
ゴブリンキングの首が落ちる。
周囲のゴブリンは威圧だけで息の根が止まった様に死に倒れる。
その後10分ほどで二人が集まってきた。
「「ファースト様、ゴブリンの殲滅終了しました。」」
と、報告した。
ゴブリンの討伐証明を回収するために、岩を収納しゴブリンの耳を切り取る。
その数330であった。
ゴブリンキング1、ゴブリンナイト4、ゴブリンメイジ3、ゴブリンエリート2
が上位種であった。
次の日村の中に井戸を掘ると溢れる水を外の堀に流した。
「これで依頼は終了したので我らは帰る。」
と言うと歩きながら村を出た。
途中途中、魔物を見つけると倒しながら二人の訓練がてらの移動を行う。
3日目の昼前に王都の城壁が見えてきた。
門兵に挨拶しながら門を潜りギルドに戻ると、受付に依頼達成の報告を行う。
「あ!ありがとうございます。それでゴブリンはどのくらいいたのですか?」
と言うので、大きな耳袋を取り出し
「ゴブリンキング以下330匹分の耳だ。確認してくれ。」
と言うと驚きながらも奥に袋を持っていくと確認作業を行っていた。
その頃ギルド内では、若い女性を連れた若者が大きな顔で受付に来ていると噂が立っていた。
「おいアイツみない顔だが、粋がっているな。先輩として注意せんとな。」
と言いながら普段から評判の悪い冒険者らが五人がファーストの方に歩いてゆく。
「おいお前!最近ここにきたのか?俺ら先輩に挨拶がないが、礼儀を教えてやろうか。」
と絡み出した、そのうちの数人がルシファーやソーニャに触り出したがその瞬間。
「「ドーン、ギィヤー」」
二人に揃って投げられ抑えつかられた。
「お前ら何するんだ!」
声をかけた男が慌てて、ルシファーたちに怒鳴る
「何て、女性に気安くさわれば痛い目に遭うのは当然だろう。弱いんだから遠くで眺めるだけにしておけよ。」
とファーストが挑発する様に言うと。
怒りに血が昇ったか残りの三人がファーストに飛びかかろうとした。
しかしその手足は一歩も動かすことはできなかった。
「おめえ何をした」
男がやっと声を出すと、ファーストは
「何も、お前の体の方が正しい判断をしたんじゃねえか。もしそれ以上かかって来れば腕か足を切り飛ばすとこだったんだが。」
と言うと受付カウンターに向き直って、男らを無視した。
ルシファーらに押さえつけられていた男らも二人に蹴飛ばされてふらふらと立ち上がった。
五人の冒険者は、そこに集まった冒険者の笑いものになっていると分かり、このままではいられないと覚悟を決めたか、剣を抜くと
「許せねえ、お前らの手足を切り飛ばして奴隷省に売り飛ばしてやらー。」
と言いながらファーストの方に一歩足を踏み出したその時、風が吹いた。
五人はそれぞれの両足を斬り飛ばされていた。
「「「イデーッ!足がー!」」」
床を転げ回る冒険者を無視しているファースト達。
そこにさわぎを聞きつけたギルマスが現れた。
「何を騒いで・・・どうしたんだこれは。」
とその場にいた冒険者らに聞くがみな
「「分からない、突然そこの冒険者に襲い掛かろうとして・・次に瞬間こうなっていた。」」
と言う話ばかり。
ギルマスはその話からファーストたちが何かをしたと思い
「お前ら話聞くからちょっと来い。」
と声をかけたが、ファーストは全く反応しない。
イラッとしたギルマスがファーストの襟を掴もうと手を伸ばした瞬間、天地が反転して床に叩きつけられていた。
「何だ!!」
驚いたギルマスは、起き上がりながらファーストを見直すと顔色を変えた。
「おま・・貴方は、ファーストと言う名の冒険者か?」
と問えばファーストは初めてギルマスに顔を向け
「そうだ俺はファーストだ、今依頼の完了の報告で手続き中だ、要件は後にしてくれ。」
と言うとまた前を向き直した。
ギルマスは、床に転げ回っている冒険者を医務室に連れて行かせるとギルド職員に
「あの男はどこの依頼を受けたんだ」
と聞いてきた。
「コンフェグ村のゴブリンの巣の討伐です。」
と答えたら職員に頷くと、裏の方に姿を消した。
ギルド内は静寂に包まれていた。
いかに普段鼻つまみの冒険者と言え、目の前で両足を斬り飛ばされたのをみたのだ。
あの男が他の冒険者に何もしないでと言うと保証はない。
皆静かにギルドを後にした。
静かになったギルドに数を確認してきた職員が戻ると
「あれ?えらく静かですね。ファースト様、330のゴブリンの耳確認できました。中に上位種が10体ありました。報酬は金貨1枚で買取額は金貨150枚です。お確かめください。」
と報酬と買取金額をカウンターに置いた。
ファーストはそれを無造作に掴むと
「また来る」
と言い残しギルドを後にした。
ーー 王都冒険者ギルドのギルマス side
先日、コンフェグ村の依頼を受けた者がいると聞いた俺は、この後この依頼がスタンピードかゴブリンキング発生の報告か、どのみち王国に依頼をする案件になると確信していた。
王国に打診をしているがあまりいい回答は無い。
しかし、馬車で2日の森でもしゴブリンキングの発生やそれからのスタンピードとなれば、この王都の被害を受けないはずもなく、そのために確かな情報がほしかったのだ。
えらくギルドの方で騒ぎ声が聞こえる、またアイツらが騒いでいるのか。
と思いながら部屋から出てみると、アイツらが床を転げ回っている、しかも両足を斬り飛ばされて。
その相手が誰かわからない状態、付近の顔見知りの冒険者らに聞くもカウンターに居る若い冒険者に絡んだらしいがするとこの状態になっていたと言う。
俺はその若い冒険者に声を掛けるが無視するので、襟首を掴んで引きずろうとした途端、床に倒れ天井を見ていた。
何が起きたかわからなかった、現役を離れたといえ元S級の俺が・・!
最近よく聞く情報が頭をよぎった。
そこで若い男に
「おま・・貴方は、ファーストと言う名の冒険者か?」
と問えばその男は初めてこちらを向いて
「そうだ俺はファーストだ、今依頼の完了の報告で手続き中だ、要件は後にしてくれ。」
と言うとまた前を向き直した。
これで判明した、コイツは各国の国王も膝まつかせる化け物の男だ。
決して上から声をかけてはいけない、立ち塞がってはいけないのだ。
俺は直ぐに倒れている男たちを医務室に運び込ませると、裏の解体所に向かった。
そこでは沢山のゴブリンの耳を確認していたが
「これはゴブリンキングか!これはナイトにエリート、メイジまでいるぞ。」
と言う声を聞き、俺もそれを確認した。
間違いないあの数でこれらを討伐するなど人外なものしか考えられん。
そのあと医務室で男たちの聞き取りをしていた。
初めは自分達は何も悪くない突然切られたと言っていたが、俺が
「嘘を言えばお前達家族もろとも処刑されるだろう。アイツは王国すら潰している化け物だぜ、本当のことを言わなきゃ俺はお前達をこのまま王国に突き出す必要がある。」
と言うと突然、自分達がいつもの様に絡んだと話出した。
俺は
「お前達は運がいい、足だけで済んだんだ。他の国では貴族だろうが皆死んでいる。」
と言うと皆ガクリと頭を落として悔やんでいた。
恐ろしいやつがこの国に来たんもんだ、他の冒険者にも注意する様伝えておこう。
ーー 冒険者家業
この王国に腰を落ち着けて早く3ヶ月が経った。
冒険者として依頼を受けては、二人のレベルアップをして過ごす内に人の国に慣れてきた二人が
「今度お休みに街に買い物に出ていいですか?」
とソーニャが聞いてきた。
そう言えば、小遣いをやっていなかったな。
「これで好きなものを買いなさい。」
と言いながら二人に金貨10枚ずつ渡した。
「これ多すぎますよ。」
と言うソーニャに
「余れば次の時に使えばいいだろ。」
と言うと俺は外に出て行った。
最近ふらりと冒険者ギルドに足を運ぶことが多い。
依頼は色々なものがあり、高難易度なものからたわいのないものまで多種多様だ。
その中にダンジョン探索というのが目に止まった。
「この国にダンジョンがあったのか?」
と思いながら受付嬢に
「あそこのダンジョンの依頼は、この近くにダンジョンがあると言うことか?」
と聞くと
「はい、ファーストさま。最近ダンジョンが見つかったんです。まだ詳しいことがわからないので、調査を兼ねて募集をしています。ファースト様が希望されればギルドとしても大変助かりますが。」
と言うことだった。
「ん~。調査は人に任せよう。攻略の時は声をかけてくれ。」
と言うとギルドを後にした。
こんな感じでスローライフ的な生活を始めた俺は、意外とこの生活が気に入っていた。
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◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
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追加場面もあります
よろしくお願いします!
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