病床の末期癌患者は、異世界で若さと健康を取り戻す。

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村の生活と近くの街

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ーー 文化的格差どうする?


この世界はかなり文化的水準が低いと思われる。
特に僻地の開拓村なんぞ、原始時代かよと思うほど何も無い。
まず武器自体まともなものを持っていない。

刃先だけ何かの金属製のものであとは木製だ。
ナイフや包丁もあまり切れそうもない。

釘もない様で、木枠をツルで縛って小屋を立てている様だ、当然上下水道もないいや井戸すらまともなものではない。
こんな不衛生な場所で濁った水を飲んでいれば病気にならない方がおかしい。

俺はセレナにある提案をした。
「ここ俺の家より全然良くないよな。ここもあそこの様にしていいかな?」
と言うと
「本当に!もしそうできたらみんな喜ぶと思うの。」
と答えたので、
「まず俺が井戸を掘り綺麗な水を飲める様にしたら、村長に伝えてくれるか。」
と頼んで、井戸を掘る事にした。

村の周りを歩いて水脈を探す、村から50mほど森側の所に水脈が通っている感じがする。
地面に手を突きながら穴を掘るスキルを発動する。途中から穴に入って足を使って掘っていく。
かなり深いところまで掘ると急に水が染み出してきた、近いぞと思いながらもうひとかきすると。
勢いよく水が噴き出した。みるみるうちに穴が水で満たされ、その勢いで俺は地上へと押し上げられた。

すぐ地の近くに大きな穴を掘り水を溜め始める。
穴のそばに手を着き穴の内側に錬金で金属パイプの様にコーティングし、湧き出る水を溜めた池も同じ様にコーティングを施す。

収納から取り出した竹製のパイプを繋ぎながら、村まで引き柵の間から村の中に。
柵を乗り越え村に入るとそこの大きな溜池を作る。その水を竹パイプで各家庭の近くに配管して大きな素焼きの壺に水が溜まり様に仕掛ける。

同じ様に各家庭の前に素焼きの水瓶を据え付け終わると、排水に取り掛かる。
側溝を掘りながらその水が綺麗な水と交わらない様に注意しながら、反対側の柵から外に出すと掘りを掘りながら村を一周する。
掘りは村よりもかなり大きめに作り、幅5mほどもある。
飲み水と反対側付近で水脈を探すともう一つ見つけそこも掘ると、同じように水量が豊富で堀に引き入れた。
堀から溢れた水を流すためのすいろも掘り進め、かなり遠くまで水路を作るとそこの大きめの溜池を作った。
その日はそこで終了だ。
村に入るとムラは大騒ぎをしていた。
「おい、本当にお前がこの水を引いてきたのか?どうやったんだ。」
と村長が俺に質問責めをしてきたので、外の出ればわかるよと言ってセレナの家に戻っていった。

「すごいよタケヒロ、みんなよろこんでいたよ。」
と言うセレナに俺は
「この程度で喜んでもらって困るよ、今からもっと変わるんだから。」
と宣言した。


  ーー 家を建て直そう。

ローマンコンクリートを大量に作りながら、街の基礎を作り上げる。
家の土台を画一化して、建築資材の無駄をなくすのだ。
堀のすぐ内側に河原から持ってきた石を石垣の様に積み上げながら、隙間にコンクリートを流し込むと立派な城壁が出来上がる。

あとは同じ工事をするだけなので、石やコンクリートを準備して村人に任せる。

俺は基礎を作った家の建て替えだ、まずセレナの家を建て替えて気に入れば建て替える様に言えばいい。
元の小屋をバラして収納すると、ローマンコンクリートで外郭を作っていく、金属の支柱を包む様にコンクリートを固めていくと2日もすると、立派な3階建が完成した。
一階は水回り、2階は食堂や倉庫で3階が個人の部屋や寝室になる。
一階は立派なカマドに水を引き込んだ水瓶が置かれた。
排水は家の前の側溝に流れ込む様にしている。
トイレの水も側溝を通じて排水される。
常時水が流れているので、衛生的で匂いも少ない、側溝には蓋をしてゴミや泥が入らない様にしている。

ベッドは木製であるが、大きな獣の皮を木枠に張り付けている為、クッションがよくその上の毛皮も柔らかく温かい。

食器類も村の中で釜を作り粘土で成形した後、素焼きして釉薬を塗って焼き上げた本格派の陶磁器だ。
ホークやナイフそれに箸を金属で錬成し、一揃い作り置きした。

ーー 最近の研究は絹を作る事だ。

魔グモを捕まえてティム出来ないか研究中である。
魔グモはかなり太い糸を吐くのだが、絹の様にキメが細かく非常に丈夫なのである。
魔グモの糸をお湯に通すと、サラサラとなりそれを糸巻きに巻き付けて回収するのだ。
機織り器を作り、集落の女性に織り方を伝授するとすぐに布地を織り始めた。
この布は非常に高値で街で取引されるようになったが、製造原料から方法までわからないので他では同じものが作られる心配はない。
ここでも俺が魔クモをかなり多く捕まえては、糸を吐かせるからできる事であって。
簡単には魔クモは捕まえることはできない。

この布で縫製した服はとても着心地が良く、掛け布団用にも利用している。
糸はあの不思議金属の糸で、細いのに非常に丈夫なのだ。

出来上がった家を見て、セレナとその母親がポカンと口を開けたまま固まっている。
「どうしたの自分の家だよ中に入って、中を見て。」
と言うと我に帰った2人は、恐る恐る家に中に入って行った。

「わー。綺麗な水がこんなに溢れている。」
「えー。お風呂まである、これどうやって沸かすの?」
「わー。あのベッドだ。これ寝心地が良くて暖かいやつだ、このかけ布団はサラサラで羽みたいに軽いわ。」
触っては驚き、驚いては大声を上げる2人の声はいつまでも聞こえていた。

「これからお風呂の沸かし方を教えるよ。」
と言うと僕は外の方に周り、焚き口に火のついた薪を投げ入れる、それに火吹きだけで炎を勢いよく燃え上がらせると薪を足してから
「お湯の温度がちょうどいい具合になったら、火を弱めんるんだよ。じゃないと入れないほど熱くなるからね。」
と注意して、初めての内風呂を2人に味わってもらったのだ。

「いいお湯だったわ、こんな幸せここに来てセレナが産まれた以来よ。」
と母親が呟くと
「私もお父さんが生きていた頃以来の幸せな気持ちだわ。」
と喜んでくれた、それを聞いた俺は
「この程度で喜ばないでほしいな、これからもっと便利になるんだからね。」
と俺は言うと食事の準備を始めた。

今日は魚の干物の塩焼きと竜のステーキだ。
竜という生き物はとてつもなく美味い、どんな料理をしても美味いのだ。
そして気になったことを聞いてみる
「強い獣を倒したり食べたりしたら、身体に力が湧いたりスキルを覚えたりするという話を聞いたことはあるかい?」
と。すると2人は首を横に振り
「聞いたことがないけど、強い魔物を倒すとその人も強くなる様な話は聞いたことがある」
と、母親の方が答えたが詳しくは知らないそうだ。

このことはしばらくは黙っていよう。

「タケヒロ、このお肉とってもおいしいよ、なんの肉なの。」
と聞かれて
「大きなトカゲだよ。」
と答えておいた。


ーー 街に行ってみよう。


村の城壁が完成したところで、俺は村人が利用している街に行く事にした。

「明日、街に行こうぜ。買い物もしたいしこの世界のお金も見てみたい。」
とセレナに声かけると嬉しそうに頷いた。
今村の中は、自宅の建設ラッシュだ。セレナの家があまりにも住み良さそうなので、皆が真似し始めたのだ。


街は、ウエスタンという名前だ。

馬車に村の産業と化した、魔クモの布と魔物の素材を積み込み街の商会に下ろすのだ。
街に着いた、ここはそこそこ立派な城壁で囲まれた城塞都市と言うものだ。

門を潜る際に身分証の提示を求められた、俺は開拓村の一員という事で必要なかったが身分証が欲しいところだ。

商会に荷を下ろしに行く、
「今回もあの布はあるかね?かなり取引が来てるんだよ。」
商会の担当者が荷卸しを手伝いながら、無のを確認していく。
今まで開拓村の商品は、魔物素材が主で金額的にもあまり強い魔物でなかったので、一度でも金貨5~10枚程度だったのが今では50~80枚ほどになったという。

お陰で村で使う穀物や日用品などのを十分に賄うことができる様になった。
これは売値はかなりの金額だな、気をつけないと村を襲う奴が出ないとも言えないかも。
俺は少しばかり危機感を上げておく。

俺はセレナに冒険者ギルドと言うものに連れていかれる、
「ここは昔私のお父さんもやっていたんだけど。魔物を狩ったり薬草を取ってはここに納品すると報酬がもらえるし、身分証も作ってもらえるの。」
と聞いて俺は
「よし俺もここで身分証を作るよ。」
と言うと中に入って行った。
結構大きな建物で、中は雑多な感じがした。
受付用のカウンターと食堂、それに壁の一部が掲示板になっている。

受付カンターに向かい
「身分証を作りたい。」
と言うと受付に座っていた女性が、紙を差し出し
「これに必要事項を書いてね。」
と渡してくれた、俺は紙にわかる程度書き込むと再度受付に出した。
「はい受け付けました、受付料は銀貨1枚です。」
と言われたところで俺がお金を持っていない事に気づいた。すると後ろにいたセレナが
「はい、銀貨1枚です。」
と俺の代わりにお金を出してくれた。
「タケヒロにはみんなお世話になっているでしょ。このくらい全然大丈夫よ。」
と言ってくれた。

名刺サイズの特殊なカードを手渡され、ここに血を垂らしてと言われた。
指を切って血を垂らすと、淡き光る。
「はいこれで登録は終わりよ、ランクはFね。」
と言いながら俺は身分証を手に入れた。
そこで
「魔物の素材を持ってきたけど買い取ってくれるの?」
と聞くと
「向こうに買取専用のカウンターがあるから、あそこに出すのよ。」
と教えてくれた。

俺は買取カウンターに向かい
「魔物の素材があるがここで買い取ってくれるのか?丸ごとでもいいのか皮と肉に分けたものがいいのか?」
と、聞くと
「どっちでもいいぞ、解体専門の者がいるからな。大物なら裏の倉庫に小物ならここで受け付けるぜ。」
と言われ裏に向かった。

裏は大きな倉庫になっていて、解体の職員が数人いた。
「どうした何か用か?」
1人の職員に聞かれ
「大きな魔物をいくつか持ってきたどこに出せばいい?」
と聞いたら、その辺でいいと言われ。
俺は収納から魔熊、魔猪を次々に取り出したら、20頭ほどで
「そこまでだ、収納魔法を使えるのか。これ以上は無理だギルドで待っていてくれ、これが引換証だ。」
と言われてギルド内に戻った。

「何か食べて待つか」
と言いながらセレナと食堂に向かい、ウエートレスに
「おすすめを二つ」
と頼むと
「飲み物は?」
と聞かれ、進められるままにエールを頼んだ。

「俺の肉料理の方がうまいな。」
「これもぬるくて美味いとは言えないな。」
と感想を言いながら、食事をしていると手続きをした受付嬢から呼ばれた。

「魔物の素材の納品が一定数に達しているので、ランクが上がります。冒険者証を出してください。」
と言われ出しと何か手続きをしていたのだろう、
「ランクが二つ上がってDランクになりました。素材の代金はカードのチャージしますか?」
聞かれ金額を聞いた後、金貨10枚以外はお願いした。
「すごい金額だったね。私初めて聞いたよ。」
と言うセレナ、金貨250枚だったからだ。

その後は商会を巡りセレナの欲しがるものを買って帰ることにした。


ーー 悪意に晒された、さあどうする?


荷物をいっぱいに積み込んだ、馬車に乗り込むことは難しいので、俺はもう一台馬車を買い込んだ。
馬付きで金貨50枚、そこそこの値段だが問題ない。
荷物を積んだ馬車に乗り込み荷物をほとんど収納する。
これで馬も負担が少ないだろう。
2台の馬車で軽やかに開拓村に向かう俺たちの後をつける集団がいた。

気配察知で気付いていたが、コイツらは悪い奴らだろうなと思いながらに馬車の方は早めに走らせる。
見場者の後ろをブロックする様に走る馬車が邪魔で追えない奴らは、俺の馬車を最初に襲う事にした様だ。

「セレナ、悪い奴らがきたから手綱を頼むよ。」
と言うと俺は馬車の上に飛び乗った。
追っ手は馬10頭で15人ほど。
手に手になまくら刀を握っている。
俺は弓を取り出し、専用の男に狙いをつけて
「お前達の目的はなんだ?賊なら打ち倒すぞ。」
と声をかけると大きな笑い声がして
「やれるもんならやってみろ、俺たちは黒烏盗賊団だ。」
と言い終わったところで、矢が額を貫通し馬から落ちた。

次々に弓で盗賊を射殺すと、5人ほどで盗賊らは逃げ出した。

御者台の戻りセレナと交代すると
「今日の夜も襲ってくるかもしれないな。」
と呟いた。
「本当ですか?でもタケヒロがいるのに襲うなんて、死ににくるようなもんだと気づかないのかな?」
何を言ってるのかなこの子は。

 ーー 野営のキャンプ


馬車二台を停めて野営の準備をする、皆に今夜盗賊が襲ってくる可能性を伝えるが、誰も慌てない。何故だ?

街で購入した温かい食事を取り出して皆に配る。
「今日は直ぐに移動できる様に、馬車で仮眠を取る様に」
と言ったが荷物はほとんど俺が収納しているので、ゆっくり寝られるはずだ。

夜も深けてきた、見張りをするからと俺は火のそばにいる。

気配を探ると、来たようだ。
馬に乗った気配が30人ほど、総力戦できたかな。
俺は真っ暗な中、小走りで最も近い馬に近づく。

まだ囲む準備はできていないようだ、見張りが3頭の馬で近づいてる様子だ。
剣を抜くと音を殺して3頭の馬に乗る男を切り捨てる。

そのまま集まっている場所に近づくと話し声が聞こえた。
「おい相手は弓を使う者が1人だけだな。」
「ヘイ、そのとうりですお頭。」
「闇夜じゃ弓も役に立つまい、こっちから弓を射かけてやれ!」
「もうすぐ見張りからの連絡があるだろう。」

どうやら見張りが戻ってきたら、襲う算段のようだ。
俺は繋ぎ置いている馬の口輪を切って回り、馬をその場から追い立てる。

「ヒヒンーン。」
馬がいななき、バラバラと逃げ出す。
「おい、馬が逃げ出したぞ!捕まえろ。」
大騒ぎし始めた盗賊らに近づき、心臓を一突きで殺していく。
10人ほど殺した時に
「誰かいるぞ!仲間が殺されている。」
と声が上がり、さらに混乱する盗賊。
さらに突き殺しながら移動していると、
「お前誰だ!」
と声をかけられた、そいつをそのまま刺殺し闇に紛れる。
既に20人は殺されている盗賊らが、仲間の死体を見つけては大騒ぎする。
暗闇の中どこに逃げても怖いためか、次第に集まり始める。

「お頭どうにかしてください。」
「うるせい奴らだ!おい、どこにいる出てきやがれ!」
と大声で叫んだ男のすぐ後ろから声をかける
「呼んだか」
と。
「ひいー。」
声を上げる男の首を斬り飛ばす。
他の男らは恐ろしくて動けないのか、じっとしてるのでそのまま首を切り飛ばして殲滅させた。
俺はそのまま野営地に帰ると火の番を続ける。

魔物の狼系が死体をあせっているのが気配で分かる。
朝には綺麗になってるだろう。
燻製肉を取り出し炙りながら食べて少し休む事にした。

俺はその時気づいていなかった、魔物が襲って来ないことや盗賊が俺を前にして身動きしなかった異変に。
レベルが上がり魔力が漏れ出した俺は、殺気を纏うとその威圧で動けなるようだ。
魔物は自分より遥かに強い気配のものには近づかない。
その事にその時はまだ気づいていないが、村のものは薄々勘づいていた。

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