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王都で家と奴隷を買う
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ーー 王都の宿、これで最高級かよ。
宿を尋ね一番良い部屋を取った、この王都でも1・2を争う宿だと言う。
振りはと言うとバスタブにお湯を溜めてその中で身体を洗う、西洋風のお風呂だ。
「ガッカリだ。」
最高級の宿でこれなら、自分で作ったほうがマシだ。
次の日から俺は、家を探す事にした。
イエズ商会を通じて、不動産を扱っている商会を紹介された。
「ここなどうどうでしょう?月金貨20枚です。購入の際は金貨1000枚です。ある貴族の別荘として建てられた物件で、大きな湯船が特徴です。」
と内覧をしながら説明を受ける。
「確かに悪くないが・・・広すぎではないか?」
「冒険者で成功を収められる方でしたら、当然パーティーを組まれるでしょう。そうなるとこの程度の広さは必要になりますよ。」
と言われ、確かにそうだなと思った。
「分かった、手持ちが金貨500枚しか今はないが、近い内に入るアテがある。手付けを払うので半月ほど抑えておいてくれ。」
と金貨300枚を商人に渡した。
その後イエズ商会に立ち寄り
「お金が足らなかった、大きな魔物を持っているがギルドに買い取らせるべきか悩んでいる。」
と言うと
「お金なら私がお貸ししたものを、そうですね物によりますがオークションというものがあります。魔物は何ですか?」
と聞かれ
「中庭を借りるぞ。」
と言ってそこに首を切断した地竜を取り出す。
「これは・・ドラゴン!しかも切り口以外ほとんど傷がない見事なもの。」
と感心した後
「これならばやはり、オークションがよろしいでしょう。かなりの値が付きます。」
と太鼓判を押された。
7日後、オークションが開催された。
目玉品として出されたドラゴンは、金貨3000枚で落札された。
俺は残金を支払い家を手に入れた。
さらに家の事をするメイドなどを雇えと言われ、料理人2人、庭師1人、メイド2人、家庭教師1人、執事1人を雇う事になった。
セント~料理人~25歳、若いが店を持っていたほどの腕を持つ。
スージー~料理人補助~16歳、料理人見習い
シャレド~庭師兼御者~40歳、元冒険者
モニカ~メイド長~38歳、貴族に屋敷で働いた経験あり
シルビー~メイド~16歳、メイド見習い
セバス~執事~50歳、貴族に仕えていた経験あり
キャロル~家庭教師~22歳、男爵家の娘
の7人で、キャロルとモニカ以外は屋敷に住み込みすることになった。
給金は、キャロル、セバス、モニカが金貨5枚、セントシャレドが金貨3枚、スージー、シルビーが金貨2枚がこの辺りの相場だそうだ。
俺は別に支度金を金貨1枚、年に2回のボーナスを出すことを約束したが、ボーナスの意味がわからなかったようだ。
家庭教師のキャロルに何を習うかと言うと、礼法とこの国の歴史だ。
やはり知識が欠けているのは問題だと感じ、この際勉強する事にしたのだ。
屋敷の敷地はかなり広かったので、別に大きな建物を建てた。
そこには俺の秘密の作業場を作る予定だ。
どうも俺のスキルは特別のようで、特に錬金と魔クモの織物はしばらく秘密にしておこう。
森に行き魔クモを捕まえて、卵を幾つか取り上げる。
育成の部屋を作り、魔クモの好きな餌を準備して育てる。
6ヶ月も育てていると新しい世代が生まれる。
それをさらに飼い慣らすと、人に慣れたクモとなる。
糸を定期的に回収し、お湯で洗い糸巻きに巻いていく。
作業が煩雑になったことから、人手を増やす事にしたが秘密を漏らしたくないと。
スマイルさんに相談すると奴隷商を紹介された。
◇ 奴隷商人ミネヤ
「ここは誠実な男が営んでいる奴隷商です。話をつけていますので、気に入った奴隷がいれば購入してください。」
と言われ商会に入る。
「いらっしゃいませ、タケヒロ様。既に準備は出来ております、ここでお待ちを。」
と言われ応接室で待っていると、5人ずつ4組が紹介された。
初めは、若い女性の奴隷ばかり5人。
次は、若い男性ばかり5人。
次は、元冒険者や兵士で手足に障害がある者5人。
最後は、種族が人族以外で手足などに欠損が有る5人。
の20人だ。金額は始めが金貨50~100、次が30~60、20~40、最後が10~20枚と言うところだ。
俺には身体の欠損や障害を治せる自信があった、だから問題は俺との相性だ。
ハーレムを作る気持ちは今は無いので、一番目と2番目はなしだ。
元冒険者2名と元兵士1名、獣人2人とエルフ1人の6人を購入した。
ゼウス~元冒険者~37歳、左足が不自由
アンゲリカ~元冒険者~26歳、右半身が重い火傷
ぜストン~元兵士~左足の膝下と右腕が欠損
メイ~獣人~19歳、オオカミ族両手肘から先が欠損、姉
サリ~獣人~17歳、オオカミ族左足欠損、妹
シルフィー~エルフ~66歳、両目、両耳欠損
の6人だ。
馬車で連れて帰り、別棟の宿舎に連れて行く。
ここも十分な生活が送れるだけの家具や寝具は運び込んでいる。
そしてこれからが本番、一人ずつ治療をして行く。
実は「スキル鑑定」を手に入れたので、その人の実力が分かるようになったのだ。
どの魔物から得たのかわからないが、盗賊に中にそのスキルを持つものがいたのでは無いかと今更思う。ただ肉を食べたりはしていない。
一人ずつ部屋に入れて治療を始める。
俺のドラゴンから得た超再生のイメージで、欠損部の再生をイメージして魔力を流し込む。
すると手足が生え、目が見え耳が再生したシルフィーや姉妹の2人などは特に驚きながらも、涙を流して喜んでいた。
冒険者の二人も酷い裏切りの果ての奴隷落ちだったので、もう一度やり直せると気持ちが上向いていた。
問題はぜストンだ。
彼は亡国の騎士団長だった。
王族を護り切れずに後悔の中にただ生きているのだ。
しかし俺は、既に手を打っている、もう直ぐ知らせが来るはずだ。
獣人姉妹とエルフに魔クモの扱いを教える。
魔クモは、人に慣れているため問題なく糸を採取出来るようになり、糸コマが増えてきた。
ここでスマイルさんに連絡して、機織り機の職人を集めて布を織って貰う。
「流石です、タケヒロ様。やはり貴方がこの布を作っていたのですね。」
と大喜びだ。
実は、開拓村の長は長年付き合いにある商会を裏切れないと、スマイルさんの話を蹴ったのだ。
そこでせめて適正価格で取引できるようにこちらでも、布を織ることにしたのだ。
独占していた商会は、開拓村が他の商会に乗り換える恐れを感じ、買取額を数倍にしたのだ。
◇ 奴隷商人ミネヤ2
奴隷商人ミネヤから連絡が来た。
「ご注文の奴隷を仕入れてきました。どうぞご確認を。」
と言われ別室に向かうと、12歳だと言う少女がいた。
ただし、手足を切断され、犬のように扱われていたそうだ。
今では言葉すら話さないほど、自分の殻に閉じこもっている。
「代金だ」
と金貨500枚を渡して馬車に乗せると屋敷に連れて帰った。
俺はぜストンを呼びつけ、
「お前に再度任務を与える。今から治療する奴隷の面倒を見ることだ。今度はしくじるなよ。」
と言いつけると、奴隷を部屋に連れてくるように命じた。
暫くすると、目を真っ赤にしたゼストンが両手で少女を抱いて部屋に来た。
「良いか多分俺の治療で、身体の問題は解決する。心はどうなるかわからん、お前はその心を護るのだ良いな。」
と言いながら俺は治療を始める。
今回は手足の欠損以外に、心の壊してる少女の精神も治すイメージで、魔力を込める。
激しい痛みが少女を襲う、それまで一言も言葉を発していなかった少女は。
最後は大きな声で泣き始めた。
うまく行ったはずだ。
「今日からお前がこの子の親代わりだ、大切に面倒を見なさい。」
と言いつけて後を任せる。
◇ 亡国の姫
私は、今は亡き王国の第三王女として育てられていた。
しかしある日、臣下の裏切りから王国は滅亡する事になった。
当然王国が滅べば、王族は生きていられない。
しかしあの国は、私に死以上の苦しみを与え続けたのだ。
私を最後まで守っていたゼストンも最後は大きな傷を負って倒れた。
私は心を殺してただ生きていたのだ、無理だと分かっていても、いつか見返すために。
そして今日私の心にまた陽の光が当たり出した。
その光はある少年から出たもので、私の心まで差し込んできた。
そして会いたかったゼストンが目の前に、貴方もここで生きていたのね。
「また会えて嬉しいわ、ゼストン。」
と言うと
「姫、不甲斐ない私を許すと言うのですか?これほどの仕打ちを受けたにもかかわらず。」
と涙を流しながら床に頭をつけるゼストンの頭を上げさせ
「私は最後まで私の盾になってくれた貴方を誇りに思っていました。またこうして会えた今、新しい身体と気持ちで生き直そうと思います。貴方もそうしませんか?」
と言うと
「ご主人様から、お前が父親がわりに面倒を見ろと、言いつけられました。今日より私を父と思って共に生きていきましょう。」
と手を握り頷き合った。
ーー 冒険者と商人の二足の草鞋
俺は冒険者ギルドで依頼を受けながら、自宅で布と食器類の作成をしている。
窯で焼く陶磁器は、他では手に入らないと今では引く手数多な商品なのだ。
冒険者の依頼は、元冒険者と元兵士3人を連れて魔物狩りから盗賊狩りまで、最短でこなす優秀さ。
ランクももう直ぐAになりそうだと受付嬢に言われた。
自宅では最近、シルフィーに魔法を教えてもらっている。
「ご主人様は我々と違う決まりの中で生きておられるようです。魔法もこんなに直ぐに習得するなど、信じられません。」
と言われながら、かなりの魔法が使えるようになった。
獣人姉妹には、身体強化を教わっている。
彼女らは忍びのような情報収集の仕事を与えようと考えている。
この世界で3年の月日が経った。
18歳(仮)となった俺は、新たな気持ちでこの世界で生きることを決めていた。
姿も何もかも違うのだ、名前はそのままだが。
これから俺の思うままに自由に生きてやるもう2度と、あのような思いをしたくは無い。
俺の道に立ち塞がるものは、誰であっても許さない。
この時、タケヒロ=タイクは本当の意味で生まれ変わったのだ。
宿を尋ね一番良い部屋を取った、この王都でも1・2を争う宿だと言う。
振りはと言うとバスタブにお湯を溜めてその中で身体を洗う、西洋風のお風呂だ。
「ガッカリだ。」
最高級の宿でこれなら、自分で作ったほうがマシだ。
次の日から俺は、家を探す事にした。
イエズ商会を通じて、不動産を扱っている商会を紹介された。
「ここなどうどうでしょう?月金貨20枚です。購入の際は金貨1000枚です。ある貴族の別荘として建てられた物件で、大きな湯船が特徴です。」
と内覧をしながら説明を受ける。
「確かに悪くないが・・・広すぎではないか?」
「冒険者で成功を収められる方でしたら、当然パーティーを組まれるでしょう。そうなるとこの程度の広さは必要になりますよ。」
と言われ、確かにそうだなと思った。
「分かった、手持ちが金貨500枚しか今はないが、近い内に入るアテがある。手付けを払うので半月ほど抑えておいてくれ。」
と金貨300枚を商人に渡した。
その後イエズ商会に立ち寄り
「お金が足らなかった、大きな魔物を持っているがギルドに買い取らせるべきか悩んでいる。」
と言うと
「お金なら私がお貸ししたものを、そうですね物によりますがオークションというものがあります。魔物は何ですか?」
と聞かれ
「中庭を借りるぞ。」
と言ってそこに首を切断した地竜を取り出す。
「これは・・ドラゴン!しかも切り口以外ほとんど傷がない見事なもの。」
と感心した後
「これならばやはり、オークションがよろしいでしょう。かなりの値が付きます。」
と太鼓判を押された。
7日後、オークションが開催された。
目玉品として出されたドラゴンは、金貨3000枚で落札された。
俺は残金を支払い家を手に入れた。
さらに家の事をするメイドなどを雇えと言われ、料理人2人、庭師1人、メイド2人、家庭教師1人、執事1人を雇う事になった。
セント~料理人~25歳、若いが店を持っていたほどの腕を持つ。
スージー~料理人補助~16歳、料理人見習い
シャレド~庭師兼御者~40歳、元冒険者
モニカ~メイド長~38歳、貴族に屋敷で働いた経験あり
シルビー~メイド~16歳、メイド見習い
セバス~執事~50歳、貴族に仕えていた経験あり
キャロル~家庭教師~22歳、男爵家の娘
の7人で、キャロルとモニカ以外は屋敷に住み込みすることになった。
給金は、キャロル、セバス、モニカが金貨5枚、セントシャレドが金貨3枚、スージー、シルビーが金貨2枚がこの辺りの相場だそうだ。
俺は別に支度金を金貨1枚、年に2回のボーナスを出すことを約束したが、ボーナスの意味がわからなかったようだ。
家庭教師のキャロルに何を習うかと言うと、礼法とこの国の歴史だ。
やはり知識が欠けているのは問題だと感じ、この際勉強する事にしたのだ。
屋敷の敷地はかなり広かったので、別に大きな建物を建てた。
そこには俺の秘密の作業場を作る予定だ。
どうも俺のスキルは特別のようで、特に錬金と魔クモの織物はしばらく秘密にしておこう。
森に行き魔クモを捕まえて、卵を幾つか取り上げる。
育成の部屋を作り、魔クモの好きな餌を準備して育てる。
6ヶ月も育てていると新しい世代が生まれる。
それをさらに飼い慣らすと、人に慣れたクモとなる。
糸を定期的に回収し、お湯で洗い糸巻きに巻いていく。
作業が煩雑になったことから、人手を増やす事にしたが秘密を漏らしたくないと。
スマイルさんに相談すると奴隷商を紹介された。
◇ 奴隷商人ミネヤ
「ここは誠実な男が営んでいる奴隷商です。話をつけていますので、気に入った奴隷がいれば購入してください。」
と言われ商会に入る。
「いらっしゃいませ、タケヒロ様。既に準備は出来ております、ここでお待ちを。」
と言われ応接室で待っていると、5人ずつ4組が紹介された。
初めは、若い女性の奴隷ばかり5人。
次は、若い男性ばかり5人。
次は、元冒険者や兵士で手足に障害がある者5人。
最後は、種族が人族以外で手足などに欠損が有る5人。
の20人だ。金額は始めが金貨50~100、次が30~60、20~40、最後が10~20枚と言うところだ。
俺には身体の欠損や障害を治せる自信があった、だから問題は俺との相性だ。
ハーレムを作る気持ちは今は無いので、一番目と2番目はなしだ。
元冒険者2名と元兵士1名、獣人2人とエルフ1人の6人を購入した。
ゼウス~元冒険者~37歳、左足が不自由
アンゲリカ~元冒険者~26歳、右半身が重い火傷
ぜストン~元兵士~左足の膝下と右腕が欠損
メイ~獣人~19歳、オオカミ族両手肘から先が欠損、姉
サリ~獣人~17歳、オオカミ族左足欠損、妹
シルフィー~エルフ~66歳、両目、両耳欠損
の6人だ。
馬車で連れて帰り、別棟の宿舎に連れて行く。
ここも十分な生活が送れるだけの家具や寝具は運び込んでいる。
そしてこれからが本番、一人ずつ治療をして行く。
実は「スキル鑑定」を手に入れたので、その人の実力が分かるようになったのだ。
どの魔物から得たのかわからないが、盗賊に中にそのスキルを持つものがいたのでは無いかと今更思う。ただ肉を食べたりはしていない。
一人ずつ部屋に入れて治療を始める。
俺のドラゴンから得た超再生のイメージで、欠損部の再生をイメージして魔力を流し込む。
すると手足が生え、目が見え耳が再生したシルフィーや姉妹の2人などは特に驚きながらも、涙を流して喜んでいた。
冒険者の二人も酷い裏切りの果ての奴隷落ちだったので、もう一度やり直せると気持ちが上向いていた。
問題はぜストンだ。
彼は亡国の騎士団長だった。
王族を護り切れずに後悔の中にただ生きているのだ。
しかし俺は、既に手を打っている、もう直ぐ知らせが来るはずだ。
獣人姉妹とエルフに魔クモの扱いを教える。
魔クモは、人に慣れているため問題なく糸を採取出来るようになり、糸コマが増えてきた。
ここでスマイルさんに連絡して、機織り機の職人を集めて布を織って貰う。
「流石です、タケヒロ様。やはり貴方がこの布を作っていたのですね。」
と大喜びだ。
実は、開拓村の長は長年付き合いにある商会を裏切れないと、スマイルさんの話を蹴ったのだ。
そこでせめて適正価格で取引できるようにこちらでも、布を織ることにしたのだ。
独占していた商会は、開拓村が他の商会に乗り換える恐れを感じ、買取額を数倍にしたのだ。
◇ 奴隷商人ミネヤ2
奴隷商人ミネヤから連絡が来た。
「ご注文の奴隷を仕入れてきました。どうぞご確認を。」
と言われ別室に向かうと、12歳だと言う少女がいた。
ただし、手足を切断され、犬のように扱われていたそうだ。
今では言葉すら話さないほど、自分の殻に閉じこもっている。
「代金だ」
と金貨500枚を渡して馬車に乗せると屋敷に連れて帰った。
俺はぜストンを呼びつけ、
「お前に再度任務を与える。今から治療する奴隷の面倒を見ることだ。今度はしくじるなよ。」
と言いつけると、奴隷を部屋に連れてくるように命じた。
暫くすると、目を真っ赤にしたゼストンが両手で少女を抱いて部屋に来た。
「良いか多分俺の治療で、身体の問題は解決する。心はどうなるかわからん、お前はその心を護るのだ良いな。」
と言いながら俺は治療を始める。
今回は手足の欠損以外に、心の壊してる少女の精神も治すイメージで、魔力を込める。
激しい痛みが少女を襲う、それまで一言も言葉を発していなかった少女は。
最後は大きな声で泣き始めた。
うまく行ったはずだ。
「今日からお前がこの子の親代わりだ、大切に面倒を見なさい。」
と言いつけて後を任せる。
◇ 亡国の姫
私は、今は亡き王国の第三王女として育てられていた。
しかしある日、臣下の裏切りから王国は滅亡する事になった。
当然王国が滅べば、王族は生きていられない。
しかしあの国は、私に死以上の苦しみを与え続けたのだ。
私を最後まで守っていたゼストンも最後は大きな傷を負って倒れた。
私は心を殺してただ生きていたのだ、無理だと分かっていても、いつか見返すために。
そして今日私の心にまた陽の光が当たり出した。
その光はある少年から出たもので、私の心まで差し込んできた。
そして会いたかったゼストンが目の前に、貴方もここで生きていたのね。
「また会えて嬉しいわ、ゼストン。」
と言うと
「姫、不甲斐ない私を許すと言うのですか?これほどの仕打ちを受けたにもかかわらず。」
と涙を流しながら床に頭をつけるゼストンの頭を上げさせ
「私は最後まで私の盾になってくれた貴方を誇りに思っていました。またこうして会えた今、新しい身体と気持ちで生き直そうと思います。貴方もそうしませんか?」
と言うと
「ご主人様から、お前が父親がわりに面倒を見ろと、言いつけられました。今日より私を父と思って共に生きていきましょう。」
と手を握り頷き合った。
ーー 冒険者と商人の二足の草鞋
俺は冒険者ギルドで依頼を受けながら、自宅で布と食器類の作成をしている。
窯で焼く陶磁器は、他では手に入らないと今では引く手数多な商品なのだ。
冒険者の依頼は、元冒険者と元兵士3人を連れて魔物狩りから盗賊狩りまで、最短でこなす優秀さ。
ランクももう直ぐAになりそうだと受付嬢に言われた。
自宅では最近、シルフィーに魔法を教えてもらっている。
「ご主人様は我々と違う決まりの中で生きておられるようです。魔法もこんなに直ぐに習得するなど、信じられません。」
と言われながら、かなりの魔法が使えるようになった。
獣人姉妹には、身体強化を教わっている。
彼女らは忍びのような情報収集の仕事を与えようと考えている。
この世界で3年の月日が経った。
18歳(仮)となった俺は、新たな気持ちでこの世界で生きることを決めていた。
姿も何もかも違うのだ、名前はそのままだが。
これから俺の思うままに自由に生きてやるもう2度と、あのような思いをしたくは無い。
俺の道に立ち塞がるものは、誰であっても許さない。
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