一般人に生まれ変わったはずなのに・・・!

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魔王の副官

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ーー 南大深林、魔王の副官

大森林には魔王とその副官が居る。

「魔王様、また勇者が懲りもせずやって来ました。」
「またか。前回あれだけやられたのに懲りもしない馬鹿者め。今度もコテンパンにしてやりなさい。」
「はい。このゾロン命に替えましても魔王様には近づけません。」
と言うと、オオカミ顔で二本足で歩くオオカミ男のような魔物が部屋を出ていく。

ゾロンと名乗った魔物はまさしくオオカミ男、魔王の魔力で種族進化した魔物だ。
配下はオオカミ系の魔物と猿系の魔物そしてヘビ系の魔物だ。
その数配下最大の2万、森の中に配下を忍ばせ、罠を仕掛ける。

「今度こそ俺が、勇者の息の根を止めてやる。」
意気込むゾロンを遠くから見つめる魔王に、笑顔はない。


南大森林に入って2日目、霧の深い場所に勇者パーティーは、入り込んでいた。
「霧のため周囲の様子が分かりずらい、待ち伏せの可能性もある。皆気を引き締めて。」
と言う冒険者の言葉に皆気を引き締めていた。

すると昼を過ぎた頃に3組のうちの1組のサブパーティーが姿を消していることに気づいた。
「何時からいないんだ?」
「分からない、隣の者しか見えにほどの深い霧だった。迷っているのではないか?」
と言うことで暫くその場で待つも、結局その日は合流することはなかった。
「不味いな。」
冒険者が言う言葉に意味は皆よくわかっていた。

その日は早めに野営をする事にした。二つのパーティーは、すぐ近くにテントを立てて結界の魔道具を起動した。
「この魔道具があるだけで、かなり助かっている。」
冒険者らがそう言いながら食事の準備をする。

私はこの結界の魔道具の位置を確認する。
この魔道具はそれぞれの位置が分かるようにしているのだ。
「少し手前を東にそれた場所で野営の準備をしたようだ。」
場所を確認した私は、多分このパーティーが襲われる可能性が高いと予想して空に舞い上がると、野営の場所に移動を始めた。

「おいどうやら俺たちは、魔王の罠にかかってしまったようだ。この結界の強度に命を託すしかないかもしれねえな」
リーダーがそう言うと
「確かにおかしな霧だ、しかしこれはエストニア伯爵の魔道具だろう。それなら俺は安心して寝て英気を養うよ。」
と言うとゴロンとテント内で転がる男は、元セガール王国の冒険者だ。
「お前がそう言うなら、俺らも信じて休もうぜ。」
ほこのメンバーもそう言いながら休み出した。

その頃そのパーティーを囲んでいた魔物軍団は、困っていた。
「あの結界を破ることができないだと!」
「はい、あの結界はドラゴンの鱗よりも強固です。結界を解除するまで攻撃しても傷一つつけられない。」
と、魔法の得意な魔物が言い出した。
「くそー、他のパーティーも同じものを持っているのか。昼間の移動中かバラバラになった時しか攻められないか。」
ゾロンはそう言うと悔しさに唇を噛んだ。

私は上空から霧を作っている魔物使いの魔物を見つけると、その後ろにそっと降り立ってその魔物の首を狩る。
同じことを三度行うと、霧が嘘のように晴れ出した。
「どうした、霧が晴れ出したぞ。」
魔物の話し声が聞こえ出した、どうやら魔王の配下がいるようだ。

声のする方に気配を消して近づく。
大きなオオカミのような顔の魔物が怒り狂って、周囲に当たりまくっている。
その怒りの行動に合わせて、近くの魔物をことして行くと、周りの魔物がオオカミ男の攻撃で仲間が死んでいると勘違いし始めて、距離を取り始める。

「おいお前ら、なんで俺から離れるんだ?」
と言いながら周りを見て、死んでいる魔物を見つけて。
「これは俺がしたのか?」
と聞くが、誰も答えなく自分を怖がっているだけ。

そしてオオカミ男は、すぐ後ろから死神に声を聞いた。
「お前も直ぐに死ぬのさ。」
と言う声を聞いた後、視界が突然下がり始めると首のない自分の姿が見えた。
「俺が・・・。」
その様子を見た配下の魔物は、恐ろしくなりその場を蜘蛛の子を散らすように逃げ始めた。

霧が晴れた森の先にはぐれたパーティーのテントが見えたので、近づき声をかけると、リーダーが顔を出した。
「エストだ、魔王軍は追い払った。ここから北西に1時間の場所で野営をしている。明日にでも来てくれ待っている。」
と伝えると空に舞い上がり勇者の野営地に戻った。

「何処に行ってたの?」
同じテントを使っている、シホンが声をかけた。
同じテントと言っても空間拡張の付与をかけているので、かなりの広さがありその中に個室をいくつか作っているので、アパートのような感じだ。
「逸れたパーティーを探していたんだ。明日には合流できそうだ。」
「・・・そう、分かった。今日の晩御飯は何?」
「晩御飯は、サラダとステーキに出発前に食べたデザートだ。」
「え!すぐお風呂に入ってくるわ。」
と言いながら簡易の浴槽を置いている浴場に走り込んでいった。
することんどは勇者ヒカルが現れて
「先程の話は本当ですか?」
と尋ねるので、オオカミの大きな首を取り出して
「コイツがこの辺りの魔王軍の配下のようです。霧を魔法で出して分散させた後、個別に襲う計画のようでした。」
と言うと、
「かなり大きな首ですね。何故コイツが配下だと?」
「魔王軍の配下は、言葉を話すんですよ。」
と教えてやった。

勇者パーティーは全てこのテント内にいるのだ。
本当は家を出したいとこだったが、サブの分の家がないので仕方なくテント式の方を出しているのだ。


ーー 魔王の憂鬱


俺は邪神様から魔王に進化をさせられた、サラマンダーである。
今の姿はイフリートとサラマンダーの間のような姿だ。
炎を使い、全てを焼き尽くすのが俺の能力で、周囲の魔物を種族進化させる呪いを受けている。
そのため俺の周りには、呪いを受けた魔物が次々に魔王軍の配下として増えている。

俺自体は争い事が嫌いなたちで、できれば他の誰かに魔王をしてもらいたかった。
増えすぎる魔物の配下は凶暴になり、人を襲い出すので他の大森林などに送り込んだが、殆どは狩られたようだ。

そうこの世界には、ドラゴンよりも恐ろしい男が居るのを俺は知っている。
あの男の前では、邪神様といえども無事でいられるか疑問だと思っている。
当然魔王の俺など何分生きていられるか、疑問なとこだ。

できればこの呪いを消してほしいが、話を聞いてくれるかも分からない。
勇者は多分これを殺すことしか頭にないだろうから、俺はあの男に出会うことを願うしかないが・・多分今回同行していると思う。
最後のチャンスに賭けよう。


ーー 勇者ヒカルの憂鬱


僕は女神からこの世界に誕生した魔王を、討伐するために転生させられた。
しかし僕は自信がない。
この世界で僕が一番レベルが高く強いと教えられていたが、あの人物を見れば自分の能力がたいして強いものでないことは、子供でも分かることだ。

剣技は元より魔法やその他の能力どれをとっても、勝てそうなものが見当たらない。
しかも彼は、多分元日本人のはずだ。
この世界に生まれ変わったのだろうが、この世界のことわりから外れた存在だ。
僕以上に規格外なのに女神すら気づいていない、そんな存在て・・・。

ただ分かるのは、彼がいる限り魔王討伐は問題なく終えられるだろうと言うことだ。
でもこんな事で勇者として元の世界に戻してもらえるのだろうか?それが心配だ。
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