魔法のない異世界に転生した、唯一の魔法使い。

モンド

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魔法三昧

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禁忌の魔法

この世界では唯一の魔法使いということは、俺に魔法を教えてくれる者もいないということだ。
しかしここは異世界、今まで使った魔法も『こういう魔法が欲しい』と願い魔力を込めれば、なんとかものになった。
これからもそんな感じでいいのだろう。

それでは、新しい魔法を開発していこうか。

俺は、
 ・壁を抜ける魔法~透過の魔法
 ・空を飛ぶ魔法~飛行魔法
 ・二つ以上の魔法属性を掛け合わせて作る魔法~混合魔法
 ・死んだばかりであれば蘇生する魔法~蘇生魔法
 ・身体能力を飛躍的に活性化させる魔法~超絶身体強化魔法
 ・地中を泳ぐように進む魔法~地中遊泳魔法
 ・水の中でも行動できる魔法~水中魔法
 ・姿を透明化する魔法~透明化魔法
 ・同じ能力の自分を複製する魔法~分身魔法
 ・時間を操る魔法~タイムトラベル魔法
 ・etc
などと思いつく限りの魔法を創造していった。
中には「必要か?」と言えるものもあるかもしれないが、そこは俺だけの問題だから良い。

魔境に造った領地は、名を『マジック領』とした当然それが町の名でもある。
デイリック侯爵家からの嫌がらせもなく2年が過ぎた。
マジックの町の人口も今では、5000人程になり臣下も初めに比べるとかなり増えた。

現在外周の城壁を二回りほど拡張中である。
俺が建材を魔法で創り出し、それを元に住民を使って建設しているのだ。
公共工事というものだ、移住したばかりの住民は、金のないものが多い。
この公共事業で日々の生活と少しばかりの蓄えをもたらし、それぞれの職業へと巣立っていくのだ。

安定した生活は、家族を作り更なる需要を増やし出す。
一辺が5kmから15kmに拡大している町は既に街又は都市と言える規模に成りつつある。
各建設現場では、複数の俺が現場監督として姿を見せており、魔物や労災事故に速やかに対処している。
住民は、現場現場が離れているため、俺が特別な移動手段で現場を回っていると思っているようだ。

そう言えば、寝かせていた酒がいい具合に出来上がり、これも一つの特産品として王都ばかりか外国にも引っ張りだあこのようだ。
税を5年免除してもらっている関係で、クールザン辺境伯には定期的に酒や化粧品それと武器等を納めている。


ーー 20歳になった俺に花嫁候補が押しかけてきた。


ケージ=マジック男爵として20歳を迎えた俺にクールザン辺境伯から呼び出しがあった。

「お久しぶりです、辺境伯様。本日はどのようなご用件でしょうか?」
心当たりのない俺は、辺境伯に面会すると直ぐに用件を尋ねた。
「……実は…。言いずらいのであるが、男爵に嫁ぎたいと我が辺境伯邸に押しかけてきている女性がいるのだ。」
どうやら辺境伯でも断れない相手のようだ。
「どちらのお嬢様でしょうか?」
「ああ、実は第四王女殿下のシルベスター王女なのだ。」
「どうしてそのような高貴な女性が田舎の私の元に?」
「どうやら我が娘が王都の学園で男爵の話をしたのがきっかけで、政略結婚するぐらいならと国王に「将来性のある者の元に嫁ぎたい」と懇願して許しを得たようなのだ。申し訳ない。」
と言いながら頭を下げる辺境伯を手で制し
「頭を下げる必要はありません。よくわからない貴族の娘よりはいいかもしれませんし。私に会ったら心変わりするかもしれませんので。」
と答えて、その後の対応を話し合った。

2日後、シルベスター王女との会食が辺境伯邸において行われた。

「お待ちしておりましたわ。私は第四王女のシルベスターです。シルクとお呼びいただけると嬉しいですわ。」
と満面の笑顔で自己紹介してきた第四王女。
「初めまして。私は辺境に住うケージ男爵家です。」
と答えると、
「ケージ男爵様。突然押しかけるようにこちらに参りましたが、私は本気で嫁ぐ決意です。よろしくお願いします。」
と改めて俺に会いにきた理由を口にした。
さすが王家の娘、その美貌は際立っておりその後の会食時の会話でも、利発さが目に止まった。

俺は余計に不審に思い
「何故とお聞きしても宜しいでしょうか?」
「あ、そうですね。分かりましたお話しします。」
と答えると第四王女は、王都の学園の話をし始めた。

話をまとめると、
 ・ある日突然辺境伯領に現れた青年が、農業から土木、建築に至るまでの作業をまるで
  魔法のように行った。
 ・化粧品や剣それに酒などの特産品を生み出し、辺境伯領に富をもたらした。
 ・魔の森を開拓し、今では大きな街として国内外との交易で潤っている。
 ・身分に関係なく優秀な者を召し抱え、内政も安定している。
これらの事から、王女殿下は俺を身も知らない他国の貴人より嫁ぎ甲斐があると思い、国王に願い出たのだと言う。

ここまで言うのであれば、
「それでは、暫く我が領邸で暮らしてみますか?それで何人ほど連れてきていますか?」
と共周りの数を尋ねると
「私専属の侍女2名、メイド3名、執事1名と警護の騎士が5名です。」
と答えた。
執事以外は全て女性のようだ。
「分かりました準備が整い次第我が領に向かいましょう。」
と答えて会食と話し合いは終わった。


   押しかけ嫁は、意外に出来る王女


ーー シルベスター=ド=ユーラシア(15)

私は、学園の同級生である辺境伯の長女メリーゼから聞いていた、魔の森を領地として大きく繁栄しているというケージ男爵にとても興味を持っていた。

話を聞けば聞くほどケージ男爵は、「かつての魔法使い様」のようでありいつしか憧れからお慕いする対象へと変わっていったのだった。
我が王国には、王家だけにあるルールが存在する。
娘が嫁ぐ際、基本は他国の貴人がセオリーであるが、娘本人が望むのであれば王族の身分を捨てて好きな者のところに嫁ぐ事を許す。
ただし、その者が次の条件を満たしているとき。
 ・髪は黒髪又はシルバー
 ・瞳は黒又は黄金
 ・特別なスキルを多数有している
というものである。
これは初代国王が定めたルールという事であった。

シルベスターは、辺境伯領内に住み着いた男がこの条件に当てはまる事を知って、様子を探らせていたようだ。
そして男爵隣魔の森を開拓しして成功している今、このルールを持ち出して国王を説得したようだ。
初めは乗り気でなかった国王も王妃が化粧品で買収されたようで、根負けした形だ。

シルベスターは、身の回りを世話する者たちから信頼できる者11人を厳選し連れてきたのだった。

侍女やメイドはともかく、騎士の5人は何故魔境に共して来たかというと
 ・長女以外はあまり良い縁談がない
 ・それぞれの家は、そこまで裕福でない
 ・剣は使えるが女らしさでは一歩下がる自分に劣等感があった
 ・今話題の男爵家には、優秀な独身男性が多くいると聞いていた
と言うのが本音のようだった。
そこで私は、直ぐに顔合わせとばかりに集団お見合いのような会食をして頂くようにお願いした。

ケージ男爵は、私が降嫁するために最低でも子爵の位が必要と、子爵の陞爵が決まっている。
当然その家臣には、騎士爵を任命できる権限があり、その数は騎士爵家を保つだけの年俸を保証できる数となる。
するとケージ男爵は、その莫大な蓄財で10人や20人の騎士爵を任命することができる。
私と共この土地にやって来た騎士達や侍女メイドにも良い縁があればと、願わずにはいられない。

彼女達の話はここまで、私はと言うと毎日驚きの連続なのだ。
彼はまるで魔法使い様のようなのだ。
どこにでも存在しどこにもいない、なんでも出来て何でも作り出す。
優しくて気が利いて、領民を愛している。

王家の者として育った私にとってこれ以上の殿方はいません。

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感想 1

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みんなの感想(1件)

湖
2025.10.05

隷属の首輪から解放したのに襲いかかってくるやつなんて活かす意味ない、家族が人質に囚われていることなんて言い訳にならない

解除

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