異世界大冒険〜ある女性の新たな人生

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孤児の聖女と呼ばれて

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ーー 聖女と言われ始めたが、そこまで子供は好きではない。

私は前世ではそこまで子供は好きではなかった、自分の子供は別だが他人の子供は躾がなっていないので嫌いと言えた。
そこで私は、孤児院の子供には特に躾と教養に力を入れさせた。
「親のいない子供が独り立ちするには、教養と技術と礼儀が大切だから。」
と言う理由で、教養や礼法を教える教師にそれぞれがなりたい職業の教師を呼ぶと、厳しくも丁寧に教えさせた。
初めの頃は、不平や真剣さがなかった子供らも次第にその大切さがわかり出したのか、真面目に教えを受けるようになり、その後は良い人材を産む施設となった。
私は、孤児院の横に教会を建てた、これは女神のみを敬うものでこの世界の宗教とは別物と考えて作った。
よってここで働く神父やシスターは、他の教会の者と違うスタンスを取ることになる。
シスターは直ぐに集まった。
孤児を救う施設の横にできた教会ということもあり、女神を敬い子供らを助けたいと思う、シスターは結構いるのだ。
しかし神父はなかなか見つからず、結局私は代理神父となった。
「私は少女ですよ!」
と愚痴りながら運営を始める。
お金は山の様にあるので、心配はしていないが早く子供らが独り立ちできるのを待つしかない様だ。


ーー ホワイト侯爵家の孤児院  side


孤児院が出来上がって、初めに集められたのは、侯爵領内の孤児や親が病気や怪我で働けなくなった者たちの子供らだ。
初めは自分達を捕まえてどこかに奴隷として売るのだろうと思い、抵抗したり逃げ出したりしていたが。
美味しいご飯に寒くなく暖かい寝床は、次第に子供たちを虜にし始めた。
そしてベティー子爵の話を聞いた子供たちは時々見かける、美しい少女がこの王国唯一のドラゴンスレイヤーであり、子爵の貴族位を持つ貴族だと知った。
さらにはまだ9歳だと聞くと
「俺の方が年上だ。」「私と同じ歳だわ。」
と言う話になり、時々ベティーが子供に話して効かせる、ドラゴン退治の話に皆が心を奪われ始めた。

「俺も大きくなったら冒険者になって、ドラゴンスレイヤーになってやる。」
と言う男の子や
「私もベティー様の様な綺麗な女性になりたい。」
と言う女の子が増えたのが一番の理由だろう。

大きくひろき開拓された畑は、孤児院と教会で管理運営される様になった。
畑仕事を子供や怪我をしたものなどを日当を払い作物を上育てるのだ。
半年もすると作物が実り始め、食卓を飾り始める。

職人に習い始めた子供らも、スキルのあるものなどは早くもその素質を見せ始め、訓練がてら孤児院の装備品を作り始めていた。

ベティーはそこに侯爵領で始めた、特産品の加工を任せることにし始めた。
美しい生地を裁断して型紙に沿って裁断し、色入りな洋服を縫製するのだ。
その中には自分たちで着る服も含まれている。
子供らの着る服は、一つの宣伝用の服である。
服を仕入れに来た商人らが子供らの服を見ながら品定めをするのだ。
化粧品や武器についても次第に売り物に出来る程度のものができ始め、見習い品として安値で販売しているが、すぐに売り切れる人気商品だ。
「お兄ちゃん、このご飯美味しいね。」
最近この施設にやって来た兄妹が、話をしている。
「こんなにしてもらって、大丈夫なのか?俺たちを奴隷商人に売り飛ばすのじゃないのか?」
兄が心配して呟くと
「最初はみんなそう思うんだ、でもよここを運営しているベティー様が、ドラゴンスレイヤーですごいお金持ちなんだぜ。子供を売り飛ばす以前にそんな面倒なことする理由がねえんだ。それにベティー様はまだ10歳になるかどうかのお年の綺麗な女性だ。心配するな。」
と以前からいる男の子に言われ、本当にそんな子がいるんだろうかと思う兄だった。

ある日、はぐれのワイバーンが孤児院の方に飛んできた。
ワイバーンといえば、1匹でも多大な被害をもたらすA級の魔物だ。
皆恐ろしさに施設に逃げ込むと、震えていた。
すると突然突風の様な風が吹いたかと思うと、ワイバーンの前に女性が空を飛んでやってきた。
「わー、ベティー様だ。」
以前からいる孤児がその姿を見て騒ぎ出す、他の子供らも慌てて窓のほうに集まる。
ワイバーンは、突然現れた少女にイラつき攻撃を仕掛けようと大きな口を開けた。
ワイバーンの記憶はそこまでで消えた、首を斬り飛ばされていたのだ。
魔物が全く気付かぬほどの速度で、その首を刎ねる、首切りベティーの二つ名を持つ冒険者でもあるのだ。

「凄い!いつ切ったか見えなかった。」
子供らが大騒ぎしていると、ワイバーンを収納したベティーは、孤児院に降りてきて
「誰も怪我はしていませんか?」
と聞いて回り、無事だと知るとホッとした顔で
「それでは皆さん、また今度」
と言い残すと空に舞い上がり、屋敷のほうに飛んでいった。

「やっぱりベティー様はすげーぜ。空まで飛べるなんて。」
と興奮した冒険者希望の男の子が、言えば
「今日のドレスもとても素敵、私もドレスが似合う女性になりたい。」
と全く違う感想を言っていた。

その日不安で兄妹でいた二人も、今日の活躍を見て
「本当にすごい人がいたんだ。もう大丈夫だ。」
と安心した様だった。


ーー 社交パーティーにて本格デビュー


お母様から
「今夜のパーティーは貴方も行きます。準備をしておいてね。ドレスは私が準備したものを、いいわね。」
と言われた私は、次女のスージーに準備をしてもらう。

今夜のパーティーは、王家の人も参加する大きなパーティーの様だ。
事前にお母様からある依頼を受けていた。
「10歳くらいでいいの若返る化粧水が2つほど欲しいわ。偶然できる頃よね。」
と言われて準備してきている。

パーティー会場に馬車で向かう、出迎えた人に招待状を見せて中に入る。
夜のパーティーは初めてな私、ちょっと緊張している。
お母様がそっと耳打ちしてくれる
「ベティーほど美しい参加者はいないわ、ドンと構えて微笑んでいなさい。」
と。
コクリと頷き、堂々とした歩みでパーティー会場に入る。
そこは不思議な夜の世界だった。
蛍光灯の光ではないくせに、意外と明るい魔法灯。
長いテーブルに今流行りの料理やデザートが並んでいる。
ウエートレスらがお酒などをトレーに乗せて招待客に間を回る。

その様子を見ながら、この世界のパーティーを実感していると、お母様が手招きしていた。
慌ててお母様の側に行くと一人の女性に紹介された。
「王妃クリスティーナ様よ。王妃様私の娘ベティーです。」
と紹介された、私は
「初めまして王妃様、ベティーと申します。」
と挨拶を行うと
「ええ、聞いていますよ。今代のドラゴンスレイヤー様だと。」
と言う王妃にお母様がそっと耳打ちする。
「え!」
と小さな声を上げた王妃様、お母様が合図をする。
私は偶然できた若返りの化粧水を差し出す。
お母様がそれを王妃に手渡して控室に向かう。
残された私は、そこで同じくらいの少女に気づく。(16歳ほどの姿の私と同じ)

「貴方がホワイト侯爵家のドラゴンスレイヤーですか?」
と聞かれ
「はい、ベティー子爵です。お名前を伺ってもよろしいかしら。」
と言えば
「ああそうね、私は王女のシルミーナよ。よろしくね。」
と言われ、改めて挨拶を行うと
「私お友達が少ないの、本当の意味でね。貴方にお友達になってほしいわ、どうかしら?」
と言われ私は答える
「私こそ、お友達がおりませんの、初めてのお友達になってくださいますか?」
と答えれば
「ええ、いいわ。今日から私たちはお友達よ。今後私のことはシルと呼んでね。」
と言うので
「それではシル、私のことはベティーでお願いするわ。」
と答えて、お友達となった。

1時間ほどすると、明らかに若返った王妃様とお母様がパーティー会場に現れて、会場内の貴婦人らがどよめき始める。
私とシル王女は、年頃に話に夢中になっていた。
「シル、楽しそうね。」
と言う王妃の声で二人とに振り向いて驚いた。
「!お母様、とても若々しくなって!どうされたのでしょう?」
と言う王女に微笑みで答える王妃。
その後は四人でお話を続け、その日のパーティーは終わった。

帰りにお母様が、
「ベティー、今日はとても良かったわ。今後もパーティーに呼ばれることが多くなると思うけど、女にとって社交は武器であり戦場よ。しっかりね。」
と言われた。
女も戦いはどの世界でも無くならないのね。

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