【完結】婚約破棄され追放された聖女 ~帰ってきてくれ? 帰るわけないでしょう~

つぼみ

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第九話 王妃様に呼ばれました

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 ノルデン王国の結界が壊れた気配がした。
 魔獣の気配もある。
 かなりの数だ。

 関係のない一般市民がかわいそうだけど私がどうこうすることは出来ない。

 ノルデン王国が滅ぶのも時間の問題だ。

 私は今日もシニストラ王国の王宮にいた。
 聖女として結界の維持をしているのだ。

 隣国に魔獣が溢れたら必然的にこの国も危険になる可能性がある。
 国王様がそう考えたらしくて、今ここで働いている聖女全員で祈りをささげている。

「失礼します」

 急に神殿の中に王妃様が入ってきた。

 あれ?
 王妃様も結界に魔力を流してる?

「急に来てしまいすみません。ソフィアさんに用事がありまして」
「わかりました。いますぐ行きますね」

 別に私の場合は神殿にいなくても結界を維持できる。
 だから私は魔力を結界に流しながら、王妃様と一緒に神殿からでた。
 
「それで、用事というのは……?」
「ノルデン王国のことよ。一応元ノルデン王国の聖女だったあなたに意見を聞きたくって」

 てことは何かしらの支援をするってことかな。

 王妃様の部屋についた。
 王妃様のあとをついて、中に入る。

 ソファーに座ると、王妃様が話し始めた。

「ノルデン王国にいる方々をシニストラ王国に避難させたいと思うのだけどどう思うかしら? ああ、もちろん避難できるのは王族とかかわりのない人と、王宮でむりやり働かせられていた人だけよ」
「関係ないのに巻き込まれてしまった方々もたくさんいますしね……。いいと思います」

 それなら私も大賛成。
 だって、王族の人達は聖女がいなくて平気って本気で思っていたみたいだし。

「それと、もう一つ。ソフィアさんはどこからでも結界に魔力を流せるわよね」
「はい」
「それだったらいいわね。今度会わせたい人がいるの。都合がいいときに神殿に迎えにいくから待っていてもらっていいかしら?」
「はい、かまいません」

 会わせたい人って誰だろう?
 これでカミラさんとかだったら気まずいけど……。
 王妃様の様子を見るかぎりそうじゃない気がする。

「誰なのかは当日までのお楽しみよ。きっとソフィアさん喜ぶと思うわ」
「わかりました。楽しみに待っていますね」
「ええ、それでは。神殿に戻っていいですよ」
「はい」

 王妃様とわかれ、私は神殿に戻った。
 神殿に戻ると、聖女仲間のみんなが近づいてきた。

「ねえねえ、ついにソフィアさんにも婚約の話かしら」
「どなたを紹介してもらえたの?」
「気になるわ」

 ……えっと。
 もしかして会わせたい人って婚約者候補?

「すみません。まだ、会わせたい人がいるとしか……」
「あら、そうだったの。決まったら教えてね」
「はい」

 私の婚約者候補ってどんな方なんだろう。
 王妃様ってセンスよさそうだし、きっといい人だよね。
 楽しみかも。

 次はテーラル様みたいな感じじゃなくてまじめな人がいいな。

「さっ、仕事に集中しましょう」
「ええ」

 魔獣が隣国にいるかぎりここも危険だし。
 みんなで頑張ろーと拳を突き上げ、私たちは聖女の仕事に戻った。
 
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