サレ妻の冒険〜偽プロフで潜入したアプリでマッチしたのが初恋の先輩だった件〜

キノ

文字の大きさ
5 / 15

5. 初デートの余韻 ※

しおりを挟む
 駅に着くと、タカシは優しく微笑んで、ナツの手を離した。

「また今度は夕飯でも食べに行こう。また連絡するね。じゃあね」

 タカシはそう言って、手を振った。ナツはなんとかタカシに向かって笑顔を作って手を振ると、タカシに送り出されるように、駅の階段を上って行った。

 ナツはしばらく駅のホームでぼーっとしていた。

 初恋の先輩との夢のような初デート。爽やかだった先輩は、ユーモアとアダルトな魅力を併せ持つ大人の男性へと成長していた。タイムマシーンで15年前に戻って中学生の自分に自慢してやりたい、「こんな未来が待ってるぞ」って教えてやりたい。それだけに、あっけない幕切れの後、立ち戻るべき現実との距離をまだ掴めないでいた。

(そうだ、最寄り駅に着いちゃう前に、今の派手なメイクを落とさないと)

 我に返ったナツは、ゆっくりと駅のトイレに向かった。

  ・
  ・
  ・

 タカシと駅前で別れ、化粧直しに入ったトイレで、ナツは自分の下着が湿っていることに気づいた。タカシとの触れ合いで、知らず知らずのうちに身体が反応していたのだ。

(え……こんなに?)

 ナツは驚いた。レストランで会話して手を握っただけで、こんなにも濡れてしまうなんて。自分の身体の反応に戸惑いを覚える。

 そのとき、スマートフォンが震え、タカシからのメッセージが届いた。

「今日はありがとう。アイちゃんのこといろいろ知れてうれしかった!また予定連絡するね!」

 メッセージからタカシの優しい笑顔、温かい手の感触、そして甘い香りが蘇ってくるようだった。嬉しく思いながらも、社交辞令なのかなと疑う気持ちも芽生えていた。

(次はないかもしれない。カフェだけで終わったってことは…)

 ナツは自分に言い聞かせた。これでいいんだ。これ以上進展しないほうが…。

「私もタカシさんとのお話、とっても楽しかった!それにとっても素敵なカフェで、ご馳走さまでした」

 未練が悟られないように、でも決して失礼にはならないように。何度も書いては消して、ようやく返事を送信したのだった。

●心の奥底の欲望

 ユウトはまだ帰宅していないはずと予想しつつも、玄関のドアを緊張しながら開ける。予想通り。ナツは急いで風呂場に向かった。ニセの「アイ」の痕跡を、早く消し去りたかった。

 服を脱ぎながら、湿り気を帯びたお気に入りの下着をまじまじと見つめる。淡いピンク色のレースがあしらわれた可愛らしいデザイン。お気に入りの、だからこそ普段はめったに着ない下着だった。

(私、無意識のうちになにを期待していたんだろう)

 自分の心の奥底にある欲望を覗き見るようだった。

 湯船につかりながら、ナツはタカシとの会話を思い出していた。彼の優しい笑顔、低い声、大きな手、そしてもしかしたら起こり得た展開……。想像は次第にエスカレートしていく。

 ナツの手が自然と下半身に伸びた。秘めやかな花園に息づく花びら。触れると、ビリッとした快感が走った。

(ダメ…ユウトが帰ってくるかもしれないのに…)

 理性では止めようとしても、体は正直だった。

 タカシのほっそりとした指、短く切りそろえられた爪を思い浮かべる。あの指で愛撫されたら……。ナツは目を閉じ、タカシに抱かれる自分の姿を想像した。

(あぁ……タカシ先輩……)

 小さな吐息が漏れる。指先で自身の秘所をなぞると、すぐに熱を帯びてしまった。花びらを優しく刺激すると、背筋に快感が走る。

 想像の中で、タカシはナツの首筋に口づけし、耳たぶを甘噛みする。ナツは現実でも首筋に指を這わせ、タカシの唇の感触を再現しようとした。

「んっ……あぁ……」

 喘ぎ声が漏れる。湯船の中で、ナツの指の動きは徐々に激しくなっていった。

 想像の中のタカシは、ナツの胸に手を伸ばす。現実でも、ナツは左手で自分の胸を揉みしだいた。双丘の頂上で息づく桃色の実が既に固く尖っており、指で転がすと快感が全身を駆け巡る。

「はぁ……、もっと……」

 ナツの指は、花びらを中心に小刻みに動き回る。もう一方の左手は、胸を揉みしだくのを止めず、さらに快感を高めていく。

 ナツはふらふらと立ち上がって風呂の縁に腰掛けた。想像の中で、タカシはナツの中に指を挿入した。現実でも、ナツは右手の中指を花芯の中に滑り込ませる。代わりに、左手を次は花びらの上で踊らせる。

「あっ! んっ……!」

 花芯の中は熱く潤っていて、指がスムーズに出入りする。タカシの指で掻き回されているような錯覚に陥り、ナツは快感に身を震わせた。

「はぁ……あぁ……」

(タカシ先輩に抱かれたら…どんな感じなのかな…)

 ナツは目を閉じ、タカシの逞しい肉棒を想像した。想像に併せて、花芯の中に挿入する指を二本に増やしてみる。

「はぁっ…んっ…」

 ナツの吐息が湯気に混ざって立ち昇る。指の動きが激しくなるにつれ、快感も高まっていった。

(タカシ先輩の…あそこ…大きい…)

 想像の中で、タカシがナツを抱きしめ、キスをし、そして…

(タカシ先輩、イッちゃう……!)

「あっ!」

 ナツの体が弓なりに反り、つま先まで力が入る。そして、強烈な快感が全身を駆け巡った。

「んっ……!」

 ナツは大きく息を吐き出し、ゆっくりと目を開けた。荒い息をしばらく繰り返す。しばらくの間、ナツは快感の余韻に浸っていた。

  ・
  ・
  ・

 やがて我に返ったナツは、自分のしたことに赤面した。

 ナツが自分でする快楽を覚えたのは中学生の頃のこと。その頃、幾度となく、タカシを相手として想像していたことをナツは思い出した。しかし、タカシのたくましい身体や大きな手指を間近で見た今日の自慰行為には、あの頃とは比べ物にならないリアルな快感があった。

(あの頃と比べると、なんてエッチになっちゃったんだろう…)

 現実に戻ったナツは、背徳感と満足感が入り混じった複雑な気持ちになった。

(そもそも夫がいるのに、タカシ先輩のことを思い浮かべてするなんて……)

 ナツはゆっくりと立ち上がり、シャワーで体を洗い流した。鏡に映る自分の姿を見つめながら、ため息をつく。夫への背徳感、タカシへの想い、そして自分の欲望。これからどうすればいいのか分からなかったが、少なくとも今は、タカシともう一度会いたいという気持ちでいっぱいだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

処理中です...