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フィールドワークは危険がいっぱい⁉︎
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太陽が天頂に到達する前に、私は目的の場所に案内されていた。馬から降りて、アナスタージウスの説明に耳を傾ける。
「ここが僕が管理している実験場だよ。ここでは魔導植物の中でも危険性が少ないものを中心に育てているんだ」
実験場だと説明されたその場所は、雑木林のような場所だった。周囲に魔力結界が施されているので、内部からも外部からも簡単には出入りできないようになっている。
王宮内の植物園よりは広そう……
雑木林の奥は薄暗くて、どことなく不気味に見える。視界内に映る草花の中にも、私が知らない植物がいくらかあった。
「危険性が低いだけで、危ないものは危ないから気をつけて」
「は、はい……」
雑木林の入り口にある東屋に馬を繋ぐと、アナスタージウス室長は背嚢を背負う。早速中に入るようだ。彼は胸ポケットから札を一枚取り出すと、私に渡した。
「僕の後ろをしっかりついてきてね。中を案内するよ」
私はこのお札以外は荷物を持たなくていいらしい。アナスタージウス室長はほかの荷物をまとめると慎重に歩き出す。
「はい! よろしくお願いいたします!」
こうして、私たちは室長が管理しているという雑木林に足を踏み入れたのだった。
獣道のようになっている通路を歩きながら、私はアナスタージウス室長の解説を聞いていた。
雑木林の入り口は魔物避けの植物が中心に植えられており、次は医療用や食用の植物が植えられている。植物同士の相性もあるので、放っておいてもうまく育つように調整するのは大変だったらしい。
本当に植物を愛していらっしゃるのね……
説明をするアナスタージウス室長はいつも以上に活き活きしており、とても楽しそうだ。植物の研究は彼にとって生きがいなのだろう。
「――室長は、どうして植物を専攻することにしたのですか?」
不意に気になって問えば、アナスタージウス室長は立ち止まって向き合ってくれた。私も立ち止まって、彼を見上げる。こんなふうに近くで立つことも少ないので、改めて身長差を感じた。
「そうだね……余計なことを言わないから、かな」
少し困ったような顔をして、彼はそう告げた。
「喋らないことが重要なら、動物でも鉱物でもよかったと思うんですけど」
王立魔導研究所では動物も鉱物も研究の対象にしている。魔法そのものを研究の対象にできるくらいなので、植物を選ばなければいけないということはない。
まあ、研究所勤めになる前から植物好きだったそうだけど。
私の指摘に、アナスタージウス室長はますます困った顔をした。
「うーん。そういう面では、ほどほどに世話がしたかったんだろうね。自分が手を加えたことがわかる程度の成果が欲しかったというか。――僕は基本的にズボラだからね、手間がかかりすぎると続かないんだ」
ズボラ……確かにそういう傾向はある気がするけど。
自分のことに無頓着なだけかと思っていたが、彼が自分自身をズボラな人間だと評価していることを知って、そんなものだろうかと考えた。
「ここが僕が管理している実験場だよ。ここでは魔導植物の中でも危険性が少ないものを中心に育てているんだ」
実験場だと説明されたその場所は、雑木林のような場所だった。周囲に魔力結界が施されているので、内部からも外部からも簡単には出入りできないようになっている。
王宮内の植物園よりは広そう……
雑木林の奥は薄暗くて、どことなく不気味に見える。視界内に映る草花の中にも、私が知らない植物がいくらかあった。
「危険性が低いだけで、危ないものは危ないから気をつけて」
「は、はい……」
雑木林の入り口にある東屋に馬を繋ぐと、アナスタージウス室長は背嚢を背負う。早速中に入るようだ。彼は胸ポケットから札を一枚取り出すと、私に渡した。
「僕の後ろをしっかりついてきてね。中を案内するよ」
私はこのお札以外は荷物を持たなくていいらしい。アナスタージウス室長はほかの荷物をまとめると慎重に歩き出す。
「はい! よろしくお願いいたします!」
こうして、私たちは室長が管理しているという雑木林に足を踏み入れたのだった。
獣道のようになっている通路を歩きながら、私はアナスタージウス室長の解説を聞いていた。
雑木林の入り口は魔物避けの植物が中心に植えられており、次は医療用や食用の植物が植えられている。植物同士の相性もあるので、放っておいてもうまく育つように調整するのは大変だったらしい。
本当に植物を愛していらっしゃるのね……
説明をするアナスタージウス室長はいつも以上に活き活きしており、とても楽しそうだ。植物の研究は彼にとって生きがいなのだろう。
「――室長は、どうして植物を専攻することにしたのですか?」
不意に気になって問えば、アナスタージウス室長は立ち止まって向き合ってくれた。私も立ち止まって、彼を見上げる。こんなふうに近くで立つことも少ないので、改めて身長差を感じた。
「そうだね……余計なことを言わないから、かな」
少し困ったような顔をして、彼はそう告げた。
「喋らないことが重要なら、動物でも鉱物でもよかったと思うんですけど」
王立魔導研究所では動物も鉱物も研究の対象にしている。魔法そのものを研究の対象にできるくらいなので、植物を選ばなければいけないということはない。
まあ、研究所勤めになる前から植物好きだったそうだけど。
私の指摘に、アナスタージウス室長はますます困った顔をした。
「うーん。そういう面では、ほどほどに世話がしたかったんだろうね。自分が手を加えたことがわかる程度の成果が欲しかったというか。――僕は基本的にズボラだからね、手間がかかりすぎると続かないんだ」
ズボラ……確かにそういう傾向はある気がするけど。
自分のことに無頓着なだけかと思っていたが、彼が自分自身をズボラな人間だと評価していることを知って、そんなものだろうかと考えた。
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