宝剣の精霊と添い寝皇女

一花カナウ

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宝剣の精霊と添い寝皇女

「俺の鞘になって」

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 エイレーネーが言葉の意味を反芻していると、まもなく沈黙が訪れた。
 青年は口を閉ざしたままエイレーネーの様子をうかがっている。

「えっと……あの……ペトロスさま、なのですか?」
「信じられないなら、剣の姿に戻ろうか」

 彼の周囲に光が集まる。その影が変化し、エイレーネーが握り締めた手の中に柄が現れ、やがて長剣が姿を明らかにした。

「本当に……ペトロスさま?」

 手のひらに伝わる重みに思わずふらつくと、すぐに長剣は青年の姿に戻った。

「わかったか?」
「ペトロスさま!」

 エイレーネーは青年に抱きついた。
 刃に触れれば身体は傷つくが、この姿であれば直接触れ合える。エイレーネーはそれが嬉しくて、抱き締めて頬ずりをした。

「ペトロスさま。嬉しい。こうして触れ合えるなんて」
「エイレーネー。君がこんなにも喜んでくれるとは思わなかった。毎晩求婚したのに、なんの返事もしないから、俺は所詮は性具の代わりでしかないのかとばかり」
「せ、性具だなんてとんでもない! 私はあなたさまと結ばれたくて――あなたさま以外には触れられたくないから、いっそのことあなたさまで身体を貫いて命を絶ってしまおうかと」
「そんな真似はさせぬ」

 互いの身体が一瞬離れ、心細くなって見上げたエイレーネーの顔にペトロスの顔が近づいた。

「え……あ、んっ?」

 唇が触れる。軽く合わさって離れたのち、再び重なる。初めての口づけに戸惑ううちに、エイレーネーの小さな舌は彼の厚い舌に絡め取られた。

「んっ。ふぅっ……」

 どう応えたらいいかわからない。呼吸の仕方もわからなくなって、息苦しくなってきた。意識がぼんやりするのは息ができないからだろうか。

「エイレーネー……」
「は、はい」

 うっとりと見上げていると、互いの唇が銀糸で結ばれているのがわかった。どんな装飾品よりも儚くて美しい。

「エイレーネー。俺の鞘になって」
「鞘になると、私はどうなるのでしょうか?」
「俺と結ばれ、離れられなくなる。――嫌か?」

 ペトロスに問われて、エイレーネーはすぐさま首を横に振った。

「嫌だなんてとんでもありません。私はあなたさまに全てを捧げます。命が尽きるまで、是非ともあなたさまのお側に」
「そうか……よかった。では、儀式に移ろうか。君を満足させることができればいいのだが……」
「私はあなたさまに触れていただけるのであれば、充分に満足ですわ」

 エイレーネーが応えると、ペトロスはふっと笑ってエイレーネーの秘所に手を伸ばした。

「――そうだな、新たに蜜が溢れてきている。ゆっくりほぐしていこう」
「やっあっ」
「エイレーネー。怖がらないで」
「こ、怖くはないのです。あまりにも、気持ちがいいから、声を抑えられなくて」
「ならば、声は抑えなくていい。たくさん聴かせて」
「恥ずかしいです」
「すぐに気にならなくなるさ」

 改めて唇が重なる。水音が二つに増えた。
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